習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『映画館に行く日』

2021-02-09 21:23:33 | 映画
コロナの影響で映画館が閉まっていた数か月。そんなことは今までなかっただけに、そのどうしようもない毎日に戸惑い、どうしようもない日々を無為に過ごしていた。ステイホームと言われて、自宅待機を強いられ、人と会うこともできず、悶々とした日々を過ごす。そんな2020年の夏のお話。 たった17分の短編映画だけれど、あの日のどうしようもないやるせなさが見事に切り取られる。もちろん、コロナが収束したわけではない . . . 本文を読む
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『小説の神様』

2021-02-08 21:43:24 | 映画
こんな内容の映画が商業映画として作られるのは驚きだ。しかも、一応は高校生のキラキラ青春映画の体を成している。だけど、これはそんなお話ではない。恋愛は描かれないし、部活で青春を謳歌するわけでもない。だいたい文芸部、ってどうよ。しかも、部員はいない(2人だったけど、一応4人)し、活動はしないし。小説を書く、というのがメインストーリーで、でも、それだけでは、お話にはならない。では、そこにどういう仕掛けを . . . 本文を読む
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『哀愁しんでれら』

2021-02-08 21:33:45 | 映画
「シンデレラ」をひらがなで書くとなんだかあまり綺麗な印象を与えない。「しんでれら」は「死んでれら」に見える。「あいつ、もう死んでれら」って感じね。なんだか禍々しい。劇中の青い目の肖像画も気味が悪い。この映画はある種のホラーなのだろうけど、お話自体も、その描き方も中途半端なので、それも気味が悪い。何をしようというのか、よくわからない。ラストだってイメージでしかないのだけど、何も言わないまま終わるので . . . 本文を読む
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シイナナ『シカクの森で二人は』

2021-02-08 21:15:39 | 演劇
シカクは写真のフレームで、視覚で捉えられたその四角に切りとられた死角には何があるのか。何が映っていたのか。仕事を辞めてカメラマンを目指すことにした男が、その最初の被写体として従兄弟と祖母を選んだのは、たまたまだったかもしれない。その夏、帰郷して彼らが暮らす家に行った。高齢の祖母の面倒をひとりで見ているハル。一浪して今年大学に入ったけど、祖母の世話のため十分な学園生活を送れない。でも、彼は文句一つ言 . . . 本文を読む
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『花束みたいな恋をした』

2021-02-03 20:36:47 | 映画
カツセマサヒコの『明け方の若者たち』という小説を読んだ直後にたまたまこの映画を見た。どちらも明大前での飲み会から始まっている。しかも、同じように20代の男女の恋愛もので、5年間の話で、たまたま、だけれども、いろんなところが被っていて驚く。こんな偶然があるんだ、と。 なんとも切ない小説で、同じように切ない映画で、若いころに見た(読んだ)ならきっとかなり感情移入できたはずだ。でも、さすがに60代にな . . . 本文を読む
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フキョウワ『足掻き』

2021-02-01 22:00:16 | 演劇
足掻き(あがき)と書いて「あしかき」と敢えて読ます。自転車を漕ぎ続ける足。その足を搔く。掻きむしる。そんないくつものイメージを掛け合わせていく。とても刺激的なタイトルだ。もちろん、彼らはここで静かにあがいている。そこから始まる。 お話の外枠には作家と編集者がいる。彼が書いている小説が劇中劇として描かれる。しかし、お話自体はこの小説が中心になる。そして、その物語の主人公である女性とその母親との関係 . . . 本文を読む
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『チャンシルさんには福が多いね』

2021-02-01 21:50:53 | 映画
40歳独身女子。映画のプロデューサー。コンビを組んでいた監督が急死して、彼女は仕事を失う。自分の存在に何の意味もなかったのではないかと思わされる。監督をなくしただけで、お払い箱にされるのだから。   職を失い、たったひとりで、これからどうして生きていけばいいのかそんな彼女の戸惑う日々が描かれていく。自分が何をしたかったのか。自分に何が出来るのか。わからない。今まで自分のしてきたことは . . . 本文を読む
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『KCIA 南山の部長たち』

2021-02-01 21:38:08 | 映画
これもまた、たまたま見た映画だ。仕事と芝居の間で2時間ほど時間が空いて、その時間つぶしのために映画館に行く。だから映画は選べない。ちょうどこの映画だけが見ることが出来る時間にはまったので、見た。もちろん、見たくない映画ではなかったからよかった。でも前日の『天国にちがいない』のようなラッキーはなかなかない。残念ながらこれは思ったほど面白い映画ではなかった。真面目な映画だし力のこもった作品ではあるのだ . . . 本文を読む
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『天国にちがいない』

2021-02-01 21:26:12 | 映画
ただ見つめている。目の前に映る出来事のひとつひとつを。そこには感動や怒りや、心の動きもない。ように見える。そこではとんでもないことや、なんでもないことが、無造作に展開している。ただ、見ている。今、自分が見ている世界の現実を、ただ受け入れるだけで、何のリアクションも起こさない。起こせないのかも知れないが。それは諦めなのか、それとも不安なのか。感情はどこかに行き忘れてきたように。   こ . . . 本文を読む
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