レヴァイン/メトロポリタン歌劇場「ワーグナー トリスタンとイゾルデ」


 楽しみにしていたクレンペラー/ウィーンフィルの1968年ライブBOXはロンドンのテロの影響で15日から26日頃に発売が延期されたようです。この連休に全て聴くつもりだったので残念です。

 だからでもないのですが、本日午後はとあるホームページで勧めてあったタイ式のマッサージに行ってきました。いろいろあるコースの中で一番のお勧めが120分(タイでは標準とのこと)の全身マッサージで9千円というのが魅力でした。これまで60分を超えるマッサージは受けたことがなかったので楽しみに店に向かいました。
 とてもよかったです。台湾式の足裏マッサージは好きでたまに会社近くの店に行っていたのですが、タイ式もいいです。始めはマイルドなタッチでツボを圧したり、整体したりと気持ちよくウトウトしたりもするのですが、後半はかなり強い圧し、アクロバティックな整体、ストレッチで刺激的でした。
 タイ式というのはもう少しマイルドなイメージがあったのですがこれはタイ女性スタッフによる本格的なもので、ハードな運動を終えたような満足感がありました。30分で勝負なら台湾式の足裏マッサージの刺激の方が上かなと思いますが、こんな気持ちよさが120分(今日は150分くらい)も続くのならタイ式(この店のケースですが)のコストパフォーマンスもかなり高いと思います。癖になりそうです。

 クラシック音楽でウトウトするというと、なんといってもワーグナーのオペラです。世界中のワグネリアン(ワーグナーファン、サユリストみたいなもの)が年に一度集うドイツのバイロイト音楽祭でも観客席で熱狂的なファンの皆さんも音楽を聴きながらウトウトしているんだそうです。

 2000年11月にアバド指揮ベルリンフィル演奏のザルツブルク・イースター・フェスティバル引越公演「トリスタンとイゾルデ」を上野の東京文化会館で観ました。その時のこと、第1幕では左隣の席の人がずっと寝ていました。頑張ったのですが、私は肝心の第2幕で寝てしまいました。休憩後の第3幕では私の前の席の人が寝ていました。2階の一番後ろの方でしたがS席で5万5千円くらいしたと思います。5万円以上払って、寝に行くとは…。ワーグナーの音楽は陶酔の音楽ですが、一方でとても眠くなる音楽です。クラシック音楽の聴き始めの頃は、モーツアルトやベートーベンなどバリエーションに富む素敵なメロディを好んで聴くので、全て同じ音楽に聞こえるワーグナーやブルックナーを好きになることはないだろうと思うのですが、だんだん、この単調の毒に嵌っていきます。

 前置きが長くなりましたが、レヴァイン指揮メトロポリタン歌劇場による「トリスタンとイゾルデ」のライブのDVDです。

 トリスタンは大好きなオペラです。しかも名盤に恵まれていてどの演奏もとても水準が高いです。クライバーのスカラ座ライブ、バレンボイム/ベルリンフィル、フルトベングラー/フィルハーモニア、最近出たティーレマン/ウィーンフィルなど。その中でどの演奏をお勧めするか悩みました…と言いたいところですが、あまり悩んでいません。やはりオペラというものはそもそも劇場で見るものなので、頻繁に実演に触れられる人を除いて我々一般愛好家には、見られないCDがDVDを勝るということはないと思います。ただ、以前はまともな映像はバレンボイム/バイロイト音楽祭オケしかなかったので迷ったかもしれませんが、最近、レヴァインとメトのDVDが出ました。

 軽いと言われているレヴァインですが、素人の私にはこの演奏が軽いのかどうか分かりません。ただ、十分満足できる演奏水準と映像だと思います。ヘップナー、イーグレンと昔ながらの(?)巨体ですが強力な声量による音楽です。同じく巨体のレヴァインも座っての指揮です。指揮者界では60歳ならまだ中堅のうちかもしれませんが一般的には定年の年齢です。映像もシンプルで、かつ劇的な色彩の演出になっています。特に毒杯を二人が飲むシーン以前は写実的、以降は赤、黄色、青と美しく抽象的なシンプルなライト中心の演出で劇的な切り替えが素晴らしいです。とてもワーグナーの音楽にマッチしています。映像については文章でお伝えすることは出来ないので観ていただきたいとしかいいようがないですが、本当に素晴らしいワーグナーの演奏(DVD)が生み出されたと思います。ニーベルングの指環、ローエングリン、パルジファルにも新時代のDVD決定版が欲しいなあと思います。
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ジミー「君のいる場所」


 台湾の人気絵本作家ジミーのブレーク作となった絵本です。日本で公開されたかどうか分かりませんが、金城武主演で映画化もされています。

 男女が知り合い、恋の始まりの予感があったものの、電話番号を書いた紙を雨に濡らしてしまい連絡が取れなくなる。電話がかかってこないで落ち込む女、また会えないかと探す男、二人の運命は…。他愛無いストーリーですが、絵がとても魅力的で引き込まれます。以前似たような話しを友人から聞いたこともありますし、どこにでもありそうなシチュエーションですが、携帯電話時代の今はもうありえないストーリーなんだと思うと不思議な感じすらします。
 ジミーは妻も気に入っていて、いつもは本を買って帰ると「なんで図書館で借りないのよ、勿体ない」と怒りますが、ジミーの絵本は早く読みたがります。

 「君のいる場所」に続いて、「君といたとき、いないとき」、「地下鉄」という同じタッチの絵本も出ています。だんだん幻想的な雰囲気が増して、絵の精緻さがより細かくなっていますが、どの作品も切ないストーリーと絵で楽しくも余韻の残るものになっています。後の作品には以前の作品の主人公達が群集シーンのどこかで登場するので、それを探すのも楽しいです。

 最新作の「幸せの翼」は、相変わらず魅力的なイラストでよいのですがストーリーのスケールが大きすぎて若干まとまりが悪いような気がしました。それでもジミーの作り出す世界は独特でこれからも新作が楽しみです。まさしく大人のための絵本です。
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