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カラヤン/ウィーンフィル「ワーグナー・ライブ・イン・ザルツブルグ」

先日、これまで最も聞いた回数の多いCDとして夏川りみの「南風」をご紹介しましたが、これがクラシックとなるとダントツでカラヤン指揮ウィーンフィル演奏の「ワーグナー・ライブ・イン・ザルツブルグ」です。
何百回聴いたか分かりません。厳密にいうと冒頭に入っている「タンホイザー序曲」をです。これはLPからCDに切り替わった頃に購入したCDの1枚だったと思います。当時はオーディオセットではCDプレーヤーを持っていなかったのでCDウォークマンで聴いていました。それでも凄い演奏でした。今聞いても信じられないくらいの壮絶な演奏です。
現在、私が使っているオーディオは、山水のアンプ、CDプレーヤーにイギリス製のスペンドールという小型スピーカーを繋げたものです。おそらく10年以上前に購入して当時買値で15万円くらいのものだったと思います。小さいですが音はとてもよく気に入っています。新宿か秋葉原かどこで買ったのかもう覚えていませんが、この「ワーグナー・ライブ・イン・ザルツブルグ」のCDを持っていって、タンホイザー序曲を大音響で鳴らして聴き比べて決めたのを覚えています。
1987年8月のザルツブルグ音楽祭での演奏ですから、カラヤンが死ぬ2~3年前です。後世に残す録音を意識した当時のカラヤンのライブ演奏は凄いの一言です。
官能的でゾクゾク、ムズムズするような演奏。正直、ヤバイのではないかと思います。それでいて大きく呼吸していてたっぷりした音楽。スケールの大きさ、迫力、陶酔、情熱、この演奏を言葉で言い表すのは難しいです。
以前は、「タンホイザー序曲」ばかりを聴いていましたが、その後、トリスタンとイゾルデの前奏曲と愛の死も併せて聴くようになりました。このCDを聴くまではジェシー・ノーマンの良さは分からなかったのですが、どうして現代のディーバと言われているのかが分かりました。以前は失礼ながらジェシー・ノーマンの声はほら貝のイメージしかなかったのですが、ここでは本当に強くて美しい声を聞かせてくれます。カラヤンとウィーンフィルの好サポートを得て、声という楽器の持つ艶やかさ、迫力が最大限に発揮されています。こちらも陶酔の世界です。
このCDには実写版として「ドキュメント/カラヤン・イン・ザルツブルグ」という記録ビデオがあります。
1987年のザルツブルグ音楽祭におけるカラヤンとウィーンフィルのワーグナーライブやドン・ジョバンニの練習風景、自分の演奏フィルム(ヴェルディのレクイエム)を編集している様子、新人歌手のテスト(今や大物のスミ・ヨー)など多忙な様子が紹介されて、最後に祝祭大劇場でトリスタンとイゾルデの前奏曲と愛の死が演奏されます。当時、カラヤンの音楽界における立場は絶大だったようで、大歌手、名演出家を含めて登場する関係者がカラヤンを見て恐る恐る仕事をしているのがとても面白いです。
この映像は非常に印象的なシーンの連続です。ドン・ジョバンニでツェルニーナ役のキャサリーン・バトルに手を抜かずに歌ってと指示するシーン、タンホイザー序曲の練習でトロンボーンセクションだけが音を鳴らすシーンでのウィーンフィルの美しさ!、カラヤンも投げキスしていますが金管楽器がこんなに美しく響くとは驚きです。そしてスピード狂だったカラヤンが新しいポルシェを納車されてご満悦、ザルツブルグの美しい林道をぶっ飛ばして試運転します。ドイツ車特有のヴォーンというエンジン音(ドイツ車に乗ったことはありませんが)に重なって、タンホイザー序曲が流れるのですが、もう恍惚、陶酔の世界です。
このビデオも大好きで一体何回見たのか覚えていません。長い間、このビデオがDVD化されるのを待っていたのですが、最近、カラヤンのCD大全集のおまけDVDになっていることを知りました。素晴らしい映像なので特別扱いしたくなるのは分かるのですが、これはクラシックが今のような不況ではなく、活況を呈していた時代の貴重な記録です。是非、普通に店頭で購入できるようにしてほしいものです。
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