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アバド指揮/ルツェルン祝祭管弦楽団「マーラー交響曲第5番」
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大好きな曲なんだけど何枚聴いても決定盤に巡り合えない。その結果、もう数えていないけどおそらく10枚以上あるいは15枚以上のCDを持っている、そんな曲がいくつかあります。
その中でも双璧(というのも変ですが)は、マーラーの交響曲第5番とブラームスの交響曲第2番です。大好きな曲、どの演奏を聴いてもいい演奏、でもどこか物足りないというかどの演奏も同じに聴こえます。個性的な演奏を受け付けない、合わない音楽なのでしょうか。
「復活」、「海」と発売されたアバドとルツェルン祝祭管のコンビでマーラーの第5番のDVDが発売されました。2~3日買うかどうか迷いました。どういう演奏なのか想像できたからです。アバドのマーラー5番はベルリンフィルなどで聴いていますが、正直言ってあまり印象に残らない演奏でした。それがオーケストラが変わっただけで違うかなあと疑問があったからです。おそらくCDだったら買わなかったと思います。ただ、これはDVDだったので、視覚が加わることで何か新しい発見があるのではないかと思い手に取りました。
正直な感想を言うと、第1・3・5楽章は想像以上に普通の演奏でした。一方で第2楽章、第4楽章での最弱音の繊細な表現は絶妙です。え?こんな音楽だったっけと響く箇所があります。これを見る聴くだけでもこのDVDは価値があると思います。
以前、雪国に赴任したことがあり、日本酒を飲み、窓の外に雪が降るのを見ながら、第4楽章、アダージェットをよく聴いていたことを思い出しました。
では、総合的にはどうか。複雑な楽想を圧倒的な音楽として聴かせるマーラーで素晴らしいです。ただ、バーンスタインやウィーンフィルが表現できる世紀末の退廃というか、病的なマーラーは聞かれません。映像で見ると、アバドも楽しそうに指揮をしているような感じがするのは気のせいでしょうか。
迫力の終演を迎えます。終演後も凄まじいブラボーが続きますが、私はもう一度見たい気はしない演奏だと思いました。マーラーファンの方からすると、そもそもアバドはマーラーには向かないと一言で片付けられるのかもしれません。
ただ、そうは言ってもさすがスーパーオーストラです。卓越した音楽です。有名なソリストの演奏の様子を見るだけでも楽しいです。矛盾するようですが、この曲を初めて聴いてみようという方にはこのディスクは今のところ最適のディスクの1枚だと思います。最新の映像で見られることは何といっても素晴らしいです。
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