バックハウス/ベーム指揮「ブラームス ピアノ協奏曲第2番」


 新聞の日曜版に村上春樹の「ノルウェイの森」の舞台となった店や場所を突き止めるサイトが紹介されていたのでノルウェイの森なんて懐かしいなあと思い、ホームページを覗いていました。

 その関連で他のネットを転々としていたところ、とあるサイトでノルウェイの森の「第6章」の舞台となる京都の阿美寮は、「美山荘」がモデルになっているのではないかと書いてあったので驚きました。読んでみると確かに京都駅からバスに乗って山の中を通り宿に着くまでの描写が似ています。宿の門から入ってすぐの駐車場にボルボが停めてあるというのを読むと本当にそうだよ!と思いました(私が行った時も3台のうち2台が外車でした)。ただ、その後の描写は様子が異なるのでなんともいえませんがこの推理は面白かったです。

 この第6章の中盤、ノルウェイの森の上巻の最後のページ(文庫本301ページ)に今回ご紹介するバックハウスとベームによるブラームスのピアノコンチェルト第2番の第3楽章の冒頭シーンが登場します。素晴らしい演奏が好きな本で紹介されると読んでいてうれしくなります。


     我々がコーヒー・ハウスに戻ったのは三時少し前だった。レイコさんは本を
    読みながらFM放送でブラームスの二番のピアノ協奏曲を聴いていた。見わた
    す限り人影のない草原の端っこでブラームスがかかっているというのもなかな
    か素敵なものだった。三楽章のチェロの出だしのメロディーを彼女は口笛でな
    ぞっていた。
    「バックハウスとベーム」とレイコさんは言った。「昔はこのレコードをすりきれ
    るくらい聴いたわ。本当にすりきれちゃったのよ。隅から隅まで聴いたの。な
    めつくすようにね」


 有名なシーンなので私が紹介するまでもありませんが、バックハウスとベームの演奏は、ブラームスの傑作の泣きたくなるくらいの名演です。第3楽章冒頭のチェロ独奏は当時のウィーンフィルのトップのエマニュエル・ブラベックによるものです。本当に泣けます。レイコさんのように口笛で吹いてはいませんが一体何度ハミングしたことでしょうか。ギレリス/ヨッフム盤、ツィマーマン/バーンスタイン盤などよい演奏もありますが、私はこのバックハウス/ベーム盤がずば抜けていると思います。ウィーンフィルも含めて同じ組み合わせの「モーツアルト ピアノ協奏曲第27番」ともども生涯手元に置いておきたい渋い名品です(この2曲をカップリングしているCDが絶対にお得です)。

 残念なことにLP時代から使われていた雰囲気あるバックハウスのジャケット写真がなかったので現在売られているCDのジャケット写真を使用しました。

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