ザ・ビートルズ「マジカル・ミステリー・ツアー」


 デジタル・リマスター盤を毎日聴いています。素晴らしいリマスター、素晴らしいビートルズの音楽に感激です。前回はそれほど違いが分からないのではみたいなことを書きましたが、荒々しい音のシャワー、中期以降は全く別の作品です。修正したいと思います。

 では14作品の中でどの作品が一番良い音に生まれ変わったか。一番好きな作品を挙げるのは難しくて、たった今聴いたアルバムとは別の作品を次は聴きたいとしか答えようがないのですが、音の驚きでは絞ることは出来そうです。

 ただ、前回も書いたように有名曲・ヒット曲ほど原曲のバランスと印象の違いがあまりありません。それでも中期・後期の多彩な楽器を用いたアレンジはリアル感が明らかに増しています。
 複数のアルバムを4~5回聴いてみました。第8作の「サージェント・ペパーズ」も凄いのですが一番驚きを感じるのは第9作の「マジカル・ミステリー・ツアー」でしょうか。どのアルバムも同じなのですが、ドラム、ギター、笛、コーラスなどなどすぐそこで演奏しているようです。結局はなんて凄い演奏、アレンジ、曲なんだろうと聴き惚れてしまいます。ビートルズ世代もビートルズを聴いたことがない方も購入して絶対に損はないと思います。新たな人類の至宝です。


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市橋織江「Gift」


 お気に入りの写真家である市橋織江さんが初写真集を出していることを知り購入しました。注文時のアマゾンでは1~2ヵ月後に出荷となっていたのですが、翌日届きました。

 アイスランド、ベルギー、セネガル、ブラジル、富士五湖、東京、京都、北海道などの風景、街中の写真など196枚。これにそれぞれの写真の撮影場所を記した巻末のミニ写真集が4ページ分あります。200ページという約束で編集したのでしょうか。

 市橋さんの特徴である早朝や暮れなどの太陽光が繊細に変化する時間帯の淡く柔らかな雰囲気の写真が並べられています。
 こういう光の変化を切り取った一枚の作品としての写真集かなあと眺めていると、そうでもなくて海や島や平原などの景勝地として本当に美しい場所の写真もあり、日本では金閣寺の写真、牧場にいるディープインパクトの写真、東京タワーなど多様です。
 何を撮影して何を我々に見せようとしているのか。気に入った「Aloha Book」では著者が紹介したいハワイの好きな景色、モノを撮影するというサブの立場だったわけですが、今回はどこに行ってどういう写真を撮ろうが自由です。巻末に「その時そこにあった事実を、そのまま写真に写すということをただ続けていく為の小さな旅でした。」と著者の言葉があります。旅の中で気に入った風景を気ままに撮影したものか。いえ、それではこんな風景にたまたま巡り合うなんてことはありません。

 私の勝手な想像ですが、これらの景色はそれぞれの街の友人かコーディネーターにあなたのお気に入りの所へ、地元の人が休みの日に出向く所へ連れて行ってくれないかとお願いして旅した場所ではないでしょうか。どの写真にも親密な雰囲気の普段着のちょっといい景色が収められています。そう考えると著者の旅と視点が想像できます。
 まあ、別にそういうことを考えなくても単純に写真眺めて、著者と一緒に世界と日本を旅することができます。正直言って、写真としては題材のハワイへの思いが強くて「Aloha Book」の方が好みですが、市橋風の穏やかさに溢れた写真集です。

 余談ですが、写真の中にテニスのUSオープンの会場の様子を捉えた写真が数枚あります。旅の醍醐味の一つは思いがけない出来事に巡り合わせることですが、私の想定外の出来事で一番幸運に思っていることはニューヨークに旅した際にテニスのUSオープンを観戦できたことです。

 社会人になっての9月の夏休み、2度目のニューヨークでした。初訪問時にマンハッタンの中の主たる観光地は行ったのでテーマは郊外。ブルックリンはコニーアイランド、ブロンクスはブロンクス動物園、クィーンズはシェアスタジアムにしました。ニューヨークメッツの試合は日程中に開催されなかったので外から球場の芝生を見るだけでした。
 想像どおりの美しい芝生を遠くから眺めて、いつか中に入って試合を観たいなあと思いながら(3度目の時に実現)、地下鉄の駅に戻ると来た時には気付かなかった群集がシェアスタジアムとは逆の方向に向かって歩いています。何だこれはと付いていくと「USオープン」の看板が…ゴルフのUSオープンかと思ったらテニスでした。

 早速、チケット売り場へ。一番高い券は3桁でいろんな券があったのですがよく分からないので一番安い10ドルか20ドルくらいの「GROUND」というのを買いました。敷地内ではいろんな試合をやっています。USオープンはプロだけでなく、全米高校選手権、全米大学選手権のようなクラス別の大会もやっているようでした。暫くアマチュアの試合を観戦した後、大きな会場に入ろうとしました。すると係員に止められ、これはGROUND、地べたでやっている試合しか見られない、センターコートに入りたければそのチケットが必要だと言われました。そういうことかあと諦めていると、そのお兄さんが20ドル(確か)くれれば通してあげるよと小声で囁きました。突然のことで戸惑いましたが、まあいいかと札を渡すと、お兄さんが係員の何人かにこの人は顔パスでという指示を出しました。

 センターコートは指定席ですが一番上の方は空いていたのでそこに座り、ジム・クーリエとフランス人選手の試合とグラフとサンチェスの試合を観ました。特にテニスが好きなわけではありませんが、本場の大試合の雰囲気は最高で興奮しました。帰国後にちょうど同じ日に4大大会で初めての快進撃を続けていた伊達公子がサブコートで試合をしていて負けたことなどを知りました。
 シェアスタジアムの芝生を仕方なく見に行ったこころ、想定外の巨大な楽しみに巡り合えました。本当にいい思い出になっています。

 これもあって都会の街の海外旅行ではコンサートやスポーツ大会が開催されているかどうかを確認するようになりました。
 新婚旅行はパリ、ロンドンだったのですが、ちょうどウィンブルドンの時期と重なったので、ささやかな披露宴の自己紹介冊子でロンドンではウィンブルドンテニス大会を観戦すると書きました。多くの方に羨ましいと言われたのですが・・・現地に行くと、とんでもない長蛇の列です。当日の試合の列の横に翌日の試合の列がありました。寝袋持って徹夜で並ぶなんて日本人だけかと思っていたらウィンブルドンも同じでした。センターコートは無理としても敷地に入れると思っていたのですが全くダメです。ダフ屋のチケットも凄まじく高額で諦めました。海外でのコンサートやイベントのチケットは日本ほど入手は難しくなくて、最悪、ダフ屋から購入可能で何とかなるものですが、断念したのはウィンブルドンが初めてでした。
 それでもロンドン近郊の駅から会場までの道のり、会場周辺の公園の雰囲気など緑に溢れていて本当に気持ちいい散策になりました。その他の観光名所なんかよりずっと良かったです。今でも大会が始まるとあの時のことを懐かしく思い出します。余談の方が長くなってしまいました。


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岡山いこいの村


 岡山県の東部、瀬戸内市の海沿いの高台にある「岡山いこいの村」という宿に泊まってきました。全国で7番目の「日本の朝日百選の宿」に認定されたと読み、海の眺め、日の出を目的に出かけました。
 昔の国民宿舎でしょうか、今はベネッセが経営しているとはいえ、施設、食事などは期待なしです。ただ、天気がよくないと仕方がないので1週間前に当日それほど悪くないことを確認して予約しました。

 当日は比較的近くにある備前焼の里、伊部駅周辺の窯元を散策してから、山を車で登ります。最後はキラキラ光る緑の木々のトンネルの中を進みます。蓼科や軽井沢などの避暑地を思わせて期待が膨らみます。

 部屋は2階の部屋でした。3階建てで1、2階が宿泊階で20室程度、3階が大浴場と宴会場になっています。
 普通の和室ですが、少し暗いです。窓が海側の東を向いているので昼間の入光が少ないようです。そして、海の眺めです。瀬戸内海の海、島々が見渡せますが、敷地内の木々、斜面の上にぎりぎりひらけています。少しストレスを感じる展望です。それが3階の大浴場からは全てが綺麗に広く見渡せます。絶景。宿泊部屋が3階あるいはもう少し高層の4階や5階にあればと悔やまれます。この宿は「天空のホテル」とも称しているのですが、それは3階と造られなかった4階以上の眺めのことです。惜しいなあ。もの凄くいいリゾートホテルになるロケーションです。

 宿の敷地内は広く多様な体験が出来るようですが夏休み明けの週末だったので誰も出ていませんでした。我々は翌朝のコッコハウスツアーというニワトリの卵を採って、それを朝食で食べるというオプションだけ楽しみました。娘が大喜び、これはお勧めです。
 敷地内も散歩するような感じでもないので、宿に着いてもお風呂に入る以外は特にすることがありません。部屋も少し暗く、目的が宿でゆったりすることだと少し辛いかもしれません。

 夕食は大衆宿のものですがこれが目的ではないので問題なし、十分です。食後、部屋に戻ると、海の上に月が出ていました。そして月明かりで海がきらきらと光っています。とても幻想的です。月光は想定外の景色でした。

 そして翌朝、朝5時半過ぎに起きて日の出を待ちます。ラッキーにも快晴で条件は最高です。少しずつ水平線が明るくなった後、オレンジ色の太陽が顔を出しました。澄み切った空間に太陽の光が広がっていきます。神々しい光。暫しのあいだ、朝日に見とれていました。海からの日の出は以前行った箱根の「江の浦テラス」以来ですが何度見てもいいものです。

 1泊2食で8700円/人のお気軽近場旅行でしたが、目当ての日の出の他に幻想的な月光も拝めて思い出に残る旅行になりました。ロケーションはよいのですが、施設などは少しくたびれているので天気が悪いとどうにも印象が悪くなるかもしれません。それほど混んではいないようなので、天気予報を見てからの予約であればトータルで満足できる宿だと思います。


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