「ジュブレ・シャンベルタン レ・シャンポー」/ドメーヌ・ルー・デュモン(2006年)


 ワインを題材にした漫画「神の雫」の人気、評価は欧米でも広がっているようです。フランスを始めとした有力新聞、雑誌、有名ワイン評論家の賞賛に続いて、料理本のアカデミー賞と言われるグルマン世界料理本大賞を受賞したそうです。
 私も最近読んでいて全21巻中の19巻まで進んでいます。ワインの複雑かつ深遠な世界を分かり易く劇的に表現していてとにかく楽しいです。特に香りを嗅ぎ、ワインを口にした後のお約束の“異空間へのトリップ”はこの漫画の代名詞で毎回ワクワクすると共に優れたワインのスケールの大きさ、飲んでみたいなあという思いを強くさせます。 

 その第9巻で紹介されたフランスのジュブレ・シャンベルタンに構えるドメーヌ・ルー・デュモン、代表は日本人の仲田晃司氏です。岡山県の高梁市出身の34歳。自分の畑を持たずに(高額すぎて簡単には持てない)買い取ったブドウからワインを作るネゴシアンという立場で優れたワイン造りをしているそうです。
 デュモンとはフランス語で山の意味で、これは出身地高梁の山の上に聳える備中松山城をイメージしたものだそうです。また、ワインのエチケットに日本語の「天・人・地」を入れているのが特徴です。

 「神の雫」で紹介されたワインは非常に人気が高くなかなか手に入らないというのでもとより調べてみることもないのですが、岡山のワインショップを検索していた中で、ドメーヌ・ルー・デュモンのワインを多く扱っている店があることを知りました。玉野市にある「RED BOX」という店です。せっかくの機会であり一度行って見ることにしました。
 水島ICから県道を進み、玉野市に入ります。道は整備されているのですが、両サイドは刈り入れを控えた緑色の田んぼです。ほっとする景色の中を進むと店が現れます。
 倉庫のような大型店です。中に入るとビールをケース売りしています。焼酎、日本酒の品揃えも多いのですがあまりお客がいません。値段はかなり安いのでおそらく配達を中心にしたディスカウンター店のようです。

 1階の一角にあるワインセラーをのぞいた後、ホームページに載っていた2階のワインセラーに向かいます。ただ、2階は事務所と物置きのようになっていて、知らない人が階段を登ることはなさそうです。
 ワインセラーの立派な扉を開けるのですが電気が付いておらず真っ暗です。1階のレジのスタッフに中に入っていいかと声をかけるといいですとの答え。ただ、電気のスイッチがどこか分からないのでもう一度尋ねると、2階の事務所のスタッフに電話してくれて、ようやく電気を付けてもらいました。

 セラーの中にはフランス中心の銘酒の数々が眠っていました。値段も付いていますが、おそらく通常はネット販売が中心なんだろうと思います。保存用のセラーという雰囲気です。今回は目当てが違うのでゆっくりは値段を検証しませんでしたがワクワクするような1級、2級、ブルゴーニュのラインナップでした。
 その中でドメーヌ・ルー・デュモンのものはオレンジ色のエチケットが目立つのですぐに分かります。ホームページでも紹介されていた10数種類のデュモンが置いてありました。仲田氏が岡山県出身ということで店が以前から注目していたのでしょうか。これだけの品揃えは圧巻です。
 「神の雫」で紹介された白ワインのムルソー(5980円)、力を入れている赤ワインの中からジュブレ・シャンベルタン・シャンポー(7500円)、一番安いブルゴーニュ・ルージュ(2980円)の3本を購入しました。

 早速、「ジュブレ・シャンベルタン レ・シャンポー」を飲んでみました。薄いルビー色、甘酸っぱい香りが広がります。最近はワインをほとんど飲まないのでうまく表現できないのですが、凝縮ではなく透き通った軽さ、混じり気のない上品な味わい、新鮮な果物の心地よいすっぱさ。ボルドーのような複雑な苦味はなく、ぶどうジュースでも飲んでいるような軽やかさ。一人で1本飲むと(少しだけ妻も飲みましたが)だんだんと酔うのですが、私は変わってもワインの印象は最後まで変わらない。

 久しぶりなのですが、大好きなブルゴーニュらしいフルーティなワインでした。これは間違いなく美味しい。ただ、比較できるほど多くのブルゴーニュを飲んでいる訳ではありません。7500円の価値があるのかどうか。
 そこで、日を改めて「ブルゴーニュ・ルージュ」を飲んで比べてみました。結論から言うと、微妙な違いしか私には分かりません。レ・シャンポーを100とすると85~90くらい。香りやフルーティな味わいなどの第一印象はあまり変わらないのですが、喉の奥に後味として苦味が残ります。それでもこの程度であれば・・・十分な水準です。
 舌の肥えた方であればもっと違いが分かるのでしょうが私レベルであればこの程度です。それにしても2千円台でこの水準のワインを味わえるのは驚異的です。ルー・デュモンのファンになりました。

 「神の雫」に掲載されたワインの入手は困難だそうですがワイン関連サイトを頻繁に眺めていると手に入ることもあるようです。
 第1巻でロックバンドのクィーンの音楽のようだと紹介された「シャトー・モン・ペラ」ですが、ワインショップ「エノテカ」のホームページで2007年の先行予約を受け付けていました。2007年ヴィンテージの評判は知りませんが思わず申し込んでしまいました。6本単位の木箱売りですが、1本あたり2400円と安い。一度飲んだことあるのですが開栓すぐでちょっとピンときませんでした。我々は値段から若すぎる(本来飲むべきでない)時期のワインしか味わえないのですが、それでも実力の片鱗を感じるためにデキャンタしてから飲んでみたい。


 「神の雫」を読んで、久しぶりにワインモードになってきました。


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