大好きなクラシック音楽、本、美味しいお店、旅行などの記録です。
休日はソファの上でリラックス!
奥田英朗「無理」
2009年12月26日 / 本
最近は実用書、ノンフィクションを読むことが多いのですが、本当は小説を、とんでもなく面白い同時代小説を読みたい。ただ、桐野夏生の新しい作品をたまに手に取るのですが登場人物が異常すぎてどうも乗れない読み進めません、また、誰とは言いませんが最近売れているエンターテーメント作家らも昔の大味の印象が強くて新作を読む気持ちにはなかなかなりません。
そこで大好きな奥田英朗の新作群像劇「無理」です。奥田英朗では「イン・ザ・プール」や「家日和」なども良かったですが、初期の傑作である「最悪」や「邪魔」のような複数の人間ドラマを並列で書き進めていく群像劇が最高に面白いです。
この物語は、不況の風に晒されるとある地方都市に住む5人が主役。格差社会のどちらかというと中流から下流を生きる市役所職員、スーパーのパート従業員、詐欺紛いの訪問セールスなど。周囲の人間と問題を起こしながらも何とかうまくやっているのですが、やっていられないことも起こり状況は悪化していきます。
それぞれの人物、状況描写がリアルで楽しく笑ってしまう反面、自分の周りにもいそうな、ありそうな現代状況にぞっとするところもあります。
思うようにコトが運ばずに頭を抱えてしまうのですが…結末は意外とあっさり。「最悪」などではここから更に問題が複雑化して主役達は悶え苦しむのですが…そこまで求めるのは無理でしょうか。
それでも本当に楽しめました。やっぱり小説、物語は最高のエンターテーメントです。
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小山薫堂「人生食堂100軒」
2009年12月26日 / 本
放送作家としての仕事は不知なのですが、食の達人として雑誌によく執筆している小山薫堂氏が「dancyu」に連載していたおいしい店・食べ物紹介のページを再編集した本です。一般的、客観的なガイド本ではなく自分が知っているマニアックな店も含めて思い入れたっぷりに紹介するこの手の店案内は大好きです。
金銭面と子供同伴が無理そうな点からも実際に行けそうな店は少ないのですが、文章から小さな写真から美味そうで本当に楽しんでいる様子が伝わってきて幸せな気分に浸れます。
特に面白いのは3万円を超えるようなお金に糸目をつけない高額店の紹介です。普通は自分の好感度を上げるために少し背伸びをすれば手が届くような店を中心に紹介したりするのですが、さすが売れっ子放送作家、金を持っているんだろうし、交遊相手もリッチなのでしょう。一体いくら掛かるんだろうとため息が出るシチュエーションでの有名店会食やおそらく事務所の経費で落としてるんだろうと想像できるレストラン利用があったりと庶民の感覚を超えた豪食ぶりがあっけらかんと紹介されているのも微笑ましいです。羨ましいという感覚を超越しています。
同じような個人的な好きな店紹介本に秋元康氏の「世の中にこんな旨いものがあったのか?」があり、そこで紹介されている店には同感できる店もあれば、美味いことは美味いけどそこまで凄いかなあと首を傾げる店・料理もありました。
この「人生食堂100軒」で紹介されている店も著者には最高でもその他の人にはそうでない店が含まれていることは想像できます。万人向けではない一方で他のグルメ本では紹介されない穴場、知る人ぞ知る店が多く含まれているのが面白いところです。
男が食堂、レストラン、料理に拘るのは恥ずかしいという感覚が昔はあったのですが、おいしいモノを食べることは人生の喜びの重要な一つ、おいしいモノに拘って何が悪いと開き直ってからは、こういう食べる喜び=人生の喜びという姿勢には共感できます。
私にも手の届くB級グルメ、C級スナックの紹介も含まれているのですが、この本で魅惑(?)されるのは業界人などのスーパーリッチが楽しんでいる豪華な食堂利用です。こういう店で食事できたら人生は楽しいです。この本を眺めていると、お金が沢山あるといいなあと思います。ただ、値段が高かろうと旨いものを食べることを人生の活力源にしている著者のポジティブな姿勢と才能があるからこそお金が回ってくるわけで、漠然ともう少しお金があれば美味しいものが食べられるのになあと考えている輩にはいつまで経ってもその機会は巡ってきません。
先日、神戸に旅行した際、駐車場の近くにこの本で紹介されている「あら皮」という高級ステーキ店があったので店の前まで行ってみました。以前ニューヨークで肉屋をやっていたという経歴からなのかニューヨーク風のシンプルな店構えに重厚な扉がありました。いつかこの扉を押して二郎さんが焼く3万円以上のステーキを食べる機会があるのだろうか、あればいいなと思いました。
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