大好きなクラシック音楽、本、美味しいお店、旅行などの記録です。
休日はソファの上でリラックス!
「慶應義塾コレギウム・ムジクム演奏会」(藤原洋記念ホール)

慶応大学日吉キャンパスの協生館にある藤原洋記念ホールで一度コンサートを聴いてみたいとずっと思っていました。先日もバッハのロ短調ミサ曲の演奏会があり、迷ったのですが、その時はバッハを3時間聴く気分ではなくパスしました。
そして本日、ホールの体験が主目的ではあったのですが、演目もベートーヴェンの交響曲第7番他と申し分ありません。どのくらいの人が集まるのか分からなかったのですが無料コンサートということもあり結構な人が開場前に行列を作りました。2階席に向かい上から演奏を眺めました。
慶應義塾コレギウム・ムジクムというオーケストラは慶応大学生のOBも含めたオケかと想像していましたが、プログラムを見ると全て学生です。しかも1年生、2年生がほとんどで若い。
演目は次のとおりです。
1.バーバー「アニュス・デイ」、「2つの小品」
2.ベートーヴェン「カンタータ《栄光の瞬間》」より4曲
3.ベートーヴェン「交響曲第7番」
バーバーは大好きな弦楽のためのアダージョしか知らなかったのですが、「アニュス・デイ」はまさにその曲に歌詞を付けた曲であることを今回知りました。
ここはオケなしで合唱団だけが出てきます。男性30名、女性30名くらいでのアカペラです。聴きなれた悲劇的な旋律のコーラスです。正直、聴き惚れる水準とは言い難いですが好きな曲なので楽しめます。これは有料のレベルではないなと思いながら聴いていました。バイオリンでも何でもそうですが無伴奏は実力がモロに出るので難しいです。それでもホールの響きはいい感じです。
ベートーヴェンのカンタータからオーケストラが登場します。オーケストラの音は意外や高水準です。この曲は初めて聴いたのですが、祝典的なメロディに加えて、2曲目から華やかなドレスをまとったソプラノとソロバイオリンが登場して豪華です。
会社の同僚や先輩方のお子さんが所属するアマチュアオーケストラの演奏会に年2~3回は出掛けるのですが、最近のアマチュアオーケストラはチャレンジングなマイナーな楽曲も入れるので正直、退屈だったりするのですが、この演奏会のプログラムは聴衆サービスに徹していて好感が持てます。
合唱団も安定してきます。オケとコーラスの響きもいいのに、セミプロなんでしょうか、自力のあるソプラノ、バイオリンを聴けると幸せです。
休憩後にベートーヴェン第7番です。最近、クライバーとバイエルンの壮絶なライブをCDで聴き直したばかりで予習は十分です。本日の来訪者のおそらくほとんどが目当てにしていた時間の始まりです。
指揮者の石井明氏は音楽経験のある経済学部の教授のようです。派手さはありませんがふわっとした響きと引き締まったテンポでオケをきっちり纏めています。
第一バイオリンの合奏、オーボエの音色ともに上出来の始まりです。そしてフルートが上手い。テクニック、音色ともに素晴らしいです。そのままオケ全体が高水準の演奏を続けます。想像以上の演奏です。ホルンの音が結構外れて、しかもそれが響きわたるので気になるのですがアマチュアとしてはかなりのレベルです。ティンパニも正確です。
第1楽章が終わったところで盛大な拍手が起こり私も拍手しました。1~2人の拍手ならありますが、これだけの拍手が楽章の途中であったのは初体験です。素晴らしい演奏で正直、驚きました。
一方、第2楽章はアマチュアを感じたところです。ビオラ、チェロの響きが若干深みに乏しくて表面的に聴こえます。CD名盤での演奏を当たり前と思っていましたが、ゆっくりとしたテンポの楽章こそ本当は難しいのかもしれません。
第3楽章、第4楽章は満足して聴けました。指揮者、ティンパニがきっちりとリズムを刻んて魅力的です。ここでも第1バイオリンが素晴らしい。興奮とまではいきませんが学生の無料コンサートでここまでやれるんだという感動がありました。
藤原洋記念ホールは音響がよく、とてもよいホールだと思いました。ホルンがここまで響くことに驚いたのと、クラリネットとファゴットが全く聴こえなかったのは気の毒でした。
トータルでは想像以上の演奏に感激です。これで無料は安い(当たり前ですが)。友人が出演しているから一応義理でやってきたのか、一部周りのクラシック音楽にそもそも興味のない学生聴衆が演奏途中で我慢できずにソワソワ、チャラチャラするのが若干気になりましたが楽しい時間を過ごすことができました。
入場料が無料あるいは1~2千円程度のアマチュアオーケストラの高水準のコンサートを聴くと、8千円とか2万円とかいうプロのコンサートに行く気はしなくなります。ただそれはクラシック音楽界全体の不況にも繋がるので難しいです。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )