ヨーロッパではトマトは悪魔の食べ物だと思われていた時期があるが、クアトロの“トマトとチーズのスパゲッティ”を作っているところを見ると頷けるようなところがある。
まず、オリーブオイルにニンニクと唐辛子の風味を移し、アメーラというこだわりのフルーツトマトを生け贄として捧げ、そこに白ワインが振りかけられると鍋から悪魔が炎を上げようとする。その炎を封じ込めるように大量のトマトソースが鍋に投じられる。そこからは、真っ赤なトマトソースがグツグツと地獄の底のように煮えたぎる。
トマトソースは熟練の技で煮込まれ旨味が凝縮されると、そこに天使が降り立ったように純白のチーズ、モッツァレラが投じられる。怒り狂っていたと思えるトマトソースもモッツァレラを包み込みとキラキラと輝くオレンジ色の宝石のような色合いに変わる。
茹であがったスパゲッティにこのソースを絡めてクアトロの“トマトとチーズのスパゲッティ”が完成する。
王様の冠と呼ばれるバジリコはこの悪魔のようなトマトと天使のようなモッツァレラチーズの介添え役である。