土曜日の朝8時はまだ薄暗く、出発の準備を始めた。昨夜12時近くまで騒いでいた子供たちは、まだ目覚めていないらしく、昨夜とは打って変わってキャンプサイトは静まり返っている。
9時にキャンプサイトを出発、昨年とほとんど同じ時期、まったく同じコースでポルトガルとの国境近くのカセーレスへ向かった。毎朝朝もやか朝霧かであたりはかすんでいて、広大な平野は面白みがない。
途中の道路わきにたばこの苗が大きくなっているのを見かけた。ヨーロッパではドイツに次ぐ2回目のタバコ栽培で暑い国だもの当然と思ったけれど、ドイツでのはいまだに信じられない。
イタリアと比べ物にならないほど道路状態は良く、最高時速120KMをほとんど止まることなく走り続けた。
カセーレスの街の入り口に大きなフランス系のスーパーマーケットがあり毎回ここで食料やディーゼルの補給もしていくのも同じ。
昨年、カセーレスのキャンプサイトで、ハロウィーンに出くわし、日が暮れたころ仮装した子供たちが数回ドアをノックし何かくれるのを期待していた。あいにく何も予定していなくて申し訳ない思いをしたことから、今夜に備えて飴を2袋買った。
カセーレスのキャンプサイトはユニークで指定されたキャンパー停車地に各自トイレ、シャワー、洗面所の小屋が設置されている。この12年間いろいろなキャンプサイトを回ってきたけれど、このような施設はここカセーレス以外にはない。毎年ポルトガルへ向かう時と帰国時の4月にこのサイトにお世話になっている。
朝霧が晴れると真夏のような日差しでキャンパーの窓を全開して涼をとる。あまりの暑さにベッドの上の天窓も開けて寝たのは今回が初めてだった。
土曜日から日曜日にかけての夜中1時にスペインでも冬時間になり、時計を一時間遅らせることになる。そして翌日ポルトガルでは一時間の時差があるからまた時計を一時間遅らせなければならない。2日間で2時間遅らせることになり、体の時計が狂ってしまった。
毎朝6時半に目が覚める。一昨日までは8時半だったのに。
土曜日の夜期待していた子供たちは暗くなっても静かで、一人も現れず、もしかして日曜夜かと期待していたのに誰も来なかった。結局2袋の飴をどうしようかと悩んだ挙句サイトの受付にあげてきた。
キャンパーの窓もドアも開けっ放しで風を入れていると、隣のプロットにまかれたパンくずをめがけて小鳥がやってくる。背中がきれいな青のイベリアン・マグパイは英国にはいない。
明日も晴天を約束するように木の間の向こうに夕日が沈んだ。