ライン出版編集部

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ライン(rein)出版編集長の日常と雑感

大正ロマン

2008-12-17 08:51:55 | Weblog
米沢で泊まった駅前旅館は一風変わっていた。

予約の電話で「予算はいくら?」と聞かれた。
「安ければ安いほど」
「では素泊まり6000円では?」
「それでいいです」
「500円で朝食がつきますけど」
「じゃ、お願いします」…

で、通されたのが旧館の一室。
外観もしゃちほこがのった屋根とかで古めかしいが、
中も廊下はきしみ、クラシックな造り。
廊下の古い大鏡は
周りがぼやけて映った自分の姿すら怖い。

通された部屋は鍵がやっとかかる程度、
トイレもお風呂もない。
欄間や建具の彫刻は年代もの。

翌朝支配人に館内を見せてもらった。
受付であれこれと訊ねたら
「話すより見ていただいたほうが」
と案内してもらえることになったのだ。
一人館内ツアーというわけだ。
ほかに宿泊客がいなかったのも幸いした。

なんとなんと、御殿のような旅館!

螺鈿の間、堆朱の間と名前のついた部屋は
文化財といえそうなほど贅沢な装飾が施され、
政府の要人も泊まったことがあるという。
宿泊料金もそれほど違わないと聞いて
それならこっちの部屋がよかったわあ、と後悔。
知らなかったのだから仕方がないけど。

「ところで米沢牛を味わって帰りたいんですが、
おいしい店は?」
「なら夕食を頼んでくれたらよかったですね。
最高級の米沢牛をお出ししたのに」
早く言えよ!

で、米沢牛は駅弁で…となって
悔いは倍増。

でも米沢を丸一日満喫できてよかった。
後悔した分は後の楽しみに取っておこう。

この話は数年前のことだから
ドラマ効果で宿泊料金が跳ね上がってしまわないよう祈るのみ。