旧母屋をきれいに掃除し片付けてからというもの、縁側のガラス戸を開け放ち、空気の交換をしている。
ねこは、床の間においてあるテーブルの下に寝転がるのか好きだ。
辺りを見回してから、ひょいと縁側に飛び乗る。
ゆっくりと、お気に入りの場所に行って、ごろりと横たわる。
それに飽きると、やおら起き上がりゆっくりと伸びをし、そのままの姿勢から、畳で爪を研ぎ始めるのだ。
これはいけない、畳がぼろぼろになってしまう。
しかたがないから、まず、ねこを呼んでみる。
全く知らん顔の体で、目をそらす。
ねこがそうするのなら、実力行使あるのみ。
座敷に上がりこみ、ねこを抱き上げて、外に下ろす。
でも、全く意に介さないようだ。
そうこうするうちに、ねこが座敷でカリカリ爪を研いでいるところを、とうとう家人に現場を見られてしまった。
こらーっ!ねこ!!
ねこは、ビックリ仰天、一目散に逃げ出した。
しばらくしてから、ねこがやっと姿を現した。
そんなねこに、座敷に上がるのはもちろんのこと、畳で爪を研ぐのはもってのほかと、面と向かって言い聞かせた。
ねこは、実に不満そうにそっぽを向いて、その目には怒りの色さえ帯びているではないか。
やはり、ねこだ。
天上天下唯我独尊なのだ。
へそを曲げたねこは、縁台の下に寝そべって、何食わぬ顔をしていたのは、いうまでもない。
※アップするときの事故により、初めの文章が消えてしまったと思って、思い出しながら書き直したもの。