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豊饒の古都、ベトナム:フエ

2011-09-10 12:37:48 | 街たち
「にじいろジーン」ベトナム:フエ。
ベトナムのちょうど中央に位置し、香江(フォンザン)が街の中央を流れる、自然の恵み豊かな、ベトナム最後の王朝グエン朝の栄えた古都。
人々の懸命な努力と、生命力溢れる地力の賜物で、凄惨を極めたベトナム戦争の傷跡は、傍目には見えないほどまで復興しているようだ。

食に興味がある人ならば、食べたことがあるだろうベトナム料理。
その味の魅力は、やみつきになるほどなのだ。

ここフエでは、南のホーチミンに比べ、味は辛くてこってり系という。
”ブンボーフエ”は、フエの定番麺料理。
ホーチミンの"フォー"とは違い、麺は細く丸いもので、牛・豚肉たっぷりの辛いスープで食べる。
しかも、好みで更に辛くする人も多いとか。
"コムヘン"は、むきシジミと野菜をたっぷりとゴハンにのせ、混ぜながら食べるもの。
やはり、好みに応じて唐辛子調味料で辛さをプラスするのだ。
コムヘンには、必ずシジミスープが添えられるので、交互に食べるといいらしい。
なぜ、シジミなのか?
それは、フエの中心を流れるフォンザンでは、シジミが多くつれて、特産品になっているから。
また、"コムセン"というハスの実の入ったご飯も有名。
フォンザンのもたらす豊かな水が、ハス栽培に適しているのだろう、贅沢な一品だ。
ベトナムの代表的スウィーツに"チェー"というのがあり、白玉・かき氷・様々なカットフルーツを混ぜて食べるらしい(残念ながら、いまだ食す機会なく・・・)。
フエでは、夏季オリジナルとしてハスの実とトウモロコシを加えるものがあるらしい。
いったいどんな味なのか?
カフェの定番としてのベトナムコーヒーは、コーヒーと同量ちかくの練乳を入れる、とっても甘い飲み物。
なぜかお茶が一緒に出てきて、甘いベトナムコーヒーとさっぱりしたお茶をやはり交互に飲んで、口の中の調整を図る意図があるみたいだ。

食べ物ばかりではいけないな、フエから車で5時間のところに、”フォンニ・ケバン国立公園"がある。
その公園を船で周遊するツアーに、洞窟見物がある。
2億年以上前に形成された、全長7キロメートルの鍾乳洞で、川が中に入り込んでいる、とても大きくてリッパな鍾乳洞だ。
色とりどりの照明で浮かび上がらせた鍾乳石は、幻想の世界。
かつてベルギーに訪れたときに、同じようにボートで鍾乳洞を見物できる、たしか”アン洞窟”というのがあると聞いたことがある。
なかなか、再訪して洞窟見物しにいけないが、こんなところが世界にはいったい何箇所あるのかと、ワクワクするのであった。
”タンタン温泉パーク"は、フエから車で1時間。
地下4000メートルから湧き出る温泉は、良質で、飲料としても仕えるとのこと。
べトナムのイメージにはなかったけれど、温泉好きの日本人としては、チェックでしょう。
そして、フエ近郊の"ホイアン"は、古いベトナムの面影を残す、人気の観光スポット。
手先の器用なベトナム人が作る、色鮮やかな手工芸品は、女性にはたまらなくうれしくなるものばかり。
シルクを使った製品が多いのもまたいい。
ここで、「食」をもう一つ。
”カオラウ"という、ウドンに似た麺物がある。
なんと17世紀まで、この街に日本人街があったそうで、日本のウドンに影響されたか、日本人が考案して残ったものなのか。
麺は、米が中心のベトナムでは珍しく、小麦粉を使い、丸くて太め。
味付けも醤油を効かせたというから、おそらくそんな感じがする。
面白いのは、トッピングにせんべいのような物を割りいれて、食感にアクセントを入れるところ。
でも、日本でもそのようにせんべいを砕いて・・・という地域があったような。
なかなか興味深い食べ物だった。

ベトナムでは、カフェが盛んだというが、旧統治国フランスの置き土産の一つだろう。
いわゆるフランスパンもそのままに、ベトナム風サンドウィッチとなって今も庶民に根付いている。
ベトナム戦争の発端の一つとも言われるフランスのベトナム統治。
いろいろ筆舌に尽くしがたいことがあったけれど、したたかに生き抜く力を人々は持っているのだと、ベトナムの人は見せてくれる。
それも全ては、豊饒の土地があるゆえのことだとは思うが。