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保津川図屏風
「美の巨人たち」、円山応挙の保津川図屏風。
応挙、最晩年の作で絶筆。
うねるように豊かな量の水が、勢いよく岩の間を流れている。
水に濡れ色濃くなった岩は、ごつごつと硬く、その存在感は不動のものだ。
実際の保津川の景観ではなくとも、水と岩の動と静の織り成す空間は、川を知るものならば誰しも思い当たるものだ。
人は、その渓流の爽やかさと美しさを身近に愛でたくなり、庭に水の流れを模したりする。
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藤花図屏風
うねる藤の古木が画面を勢いよく這い、可憐な藤の花は花びら一つ疎かにしないよう丁寧に描かれている。
藤の幹は、一本の筆に墨の濃淡を併せ持たせた付立てという技法で、一気呵成に描き上げる。
その幹と花の描き分けが、画面に緊張感を与え、旺盛な藤の命の躍動感を画面に定着させたのだ。
そうすることで、他の説明などなくても、この広い画面が無限の広がりを獲得して、生き生きとした”藤”を永遠のものにした。
応挙は、写生を重視する。
物をありのまま捉えることにより、そのものが持つ本質に迫ろうとした。
そして、物にもとより備わっている美を抽出し、普遍的なものとして描き出す。
過剰に飾り立てなくても、美はしっかりと存在するのだ。
厳しい目、美を愛しむ眼差し。
応挙は、素晴しい目を持っている絵師。
日本人にとって、人類にとって、応挙の描いた作品は、誇れる宝といえるだろう。
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