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子供のとき、パウル・クレーの「サワギク」のタイトルとその絵を見て、タイトルの意味が分からなく、「もしかしたら、ざわざわした予感」のことか?などと想像したのを覚えている。
そう見えないこともないでしょう?
以来、この絵が頭の一角にこっそりと居座ってしまった。
何か、不吉な不安な予感が湧き起こると、自分の顔が「サワギク」の絵のようになっているんだろうと、今も頭に浮かんでくる。
「サワギク」とは、キク科の植物の名称と知ってからも。
クレーは、北アフリカを何度か訪れている。
クレーの画業に転機を及ぼしたチュニジア、晩年近くのエジプト旅行は作品に大きな刺激を与えた。
現在の北アフリカは、混迷の時代を迎えている。
チュニジアから始まり、エジプトのムバラク政権の崩壊、リビアの内戦とNATOの軍事介入、あっという間にイランまでの中東諸国に現支配権力者に対する市民の抗議行動が湧き上がった。
クレーの愛した北アフリカが内乱戦争によって傷つく姿を、クレーはどんな面持ちで見るのだろう。
「サワギク」のように、片眉をつり上げ訝しそうな目をして、でも、顔は真正面も向いている。
何かにざわざわどきどきと胸をざわつかせて、じっと動かずに身構えながら。
クレーの生きた時代も、きな臭い時代だった。
第一次世界大戦と、それに次ぐナチス政権の台頭。
最晩年には、ナチスによる退廃芸術の弾圧を避けて、スイスのベルンへ亡命し、彼の地で亡くなった。
もしかしたら、クレーもその不穏な空気を感じ、それが「サワギク」に表されたのではないかと、勝手な想像をするのであった。
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