rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

ジョン・バーニンガム作”ガンピーさんのドライブ”

2012-10-04 22:44:10 | 本たち


”ガンピーさんのドライブ”は、中くらいの人が5歳くらいのときに買った絵本。
動物に自動車、そしてドライブの三拍子が揃えば、子供が興味を示さないわけはないと、自信を持って選んだ。
ところがどっこい、大人の思惑なんて当てにはならない。
自動車物の本をいろいろと図書館で借りてもみたが、ことごとくはずしてしまった。
恐竜や食べ物系みたいにはいかない。
可愛そうに、”ガンピーさん”にお呼びはかからなかった。

ところが、小さい人が絵本を楽しむようになると、本棚にひっそりと暮らしていた”ガンピーさん”にお呼びがかかるようになる。
あるときは、毎日何度も登場する。
そうなると、こちらも諳んじれるほどに成長を遂げるのだ。
さすがに、錆び付いた脳みそではもうできない芸当だが、そんな本が10冊以上になった時期があった。

物語は、至ってシンプル、小さな自動車に乗り切れないほどの動物達が乗り込んで走ったものの、アクシデントが起こって揉め事になり、最後には力をあわせて問題解決めでたしめでたし。
絵の暖かみのある優しいタッチ、描きすぎない省略具合が、物語を聞きながら想像の翼を広げるに丁度よいのだろう。
気持ちのよい草原を自動車で走る爽快感、自分勝手な我の張り合いをしても結局助け合うものたちの姿、そのご褒美の川遊び、落としどころを心得ている。
以前書いた”くまくんのトロッコ”も、構成的に同じで、伝えたいことも同様。
子供は、繰り返し物語を味わうことで、知らず知らずに道徳を身に蓄えていくのだ。

繰り返し本を読むことで、親子の密接な時間を共有し、共通した認識をもつことで、更に深い心のやり取りができる。
子供は、砂と同じ。
上から愛情や時間をいくら注いでも、さらさらと通り、いつまで注げばいいのかきりがない。
しかし、確実に心のプールには溜まって行くのだ。
それは、見えない地下水脈となって、終生心を癒していく。
そう、ガンピーさんのように、温かい目で忍耐強く見守るのは、親の一番の務め。

思えば、絵本から学んでいるのは、子供だけではなかった、読み聞かせをしている親自身も多くを汲み取っている。
”ガンピーさんとドライブ”この本も、次に伝えたい大切な本である。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿