とくおかレディースクリニック~ブログ~

日々、徒然なるままに、書き込んで参ります。
どうか宜しくお付き合い下さい。

子宮外妊娠について

2006年06月12日 | Weblog
不妊治療をしている方の頭の片隅において欲しいもののひとつに、子宮外妊娠というものがあります。

子宮内腔以外の場所に受精卵が着床して発育してしまうことを子宮外妊娠といいます。
そして、子宮外妊娠の割合は、全妊娠のおよそ1%前後といわれています、およそ100人に一人か二人ということです。
発生頻度としては流産の約10分の1に相当します、という事は流産は10人に一人ということです。
子宮外妊娠は、初産婦の方に比べて経産婦に多いともいわれています。

精子と卵子が合体する受精という現象は卵管内で起こるものです。
受精卵は、約1週間をかけて細胞分裂を繰り返しながら、卵管内を移動し子宮内腔へ辿り着きます。
子宮内腔へ辿り着く頃に、ようやく胎児を形成する部分と将来胎盤を形成する部分とに分かれ、初めて着床する能力を獲得できるようになります。
受精卵が着床能力を獲得するようになっていても、まだ子宮内腔へ辿り着いていない場合に子宮外妊娠が起こると考えられています。

原因として、卵管上皮にある線毛の運動の異常や卵管の通過性の障害というものが考えられます。
卵管の通過性に問題があるような特殊な例を除いて、子宮外妊娠を事前に予防するということは極めて困難なことであるともいえます。

子宮外妊娠の診断は、なかなか困難な場合が往々にしてあります。産婦人科医の頭を悩ませます。
おかしいな・・・と思って出向いたところでは気づかれずに、数日遅れて違ったところに出向いてようやく気づくという場合が多々あるのが現実です。
卵管破裂を起こして急激に全身状態が悪化すれば診断は容易です。
腹腔内への出血が緩やかに起こっている場合や卵管流産の場合、そのどちらも起こしていない場合などでは診断が困難になります。

妊娠を希望していて、結果、子宮外妊娠になってしまう辛さは、当院の院長はよく分かっています。
患者さんもお辛いでしょうが、それを他人事とは思わず悲しむ院長です。
それが相手に伝わらない場合もあるのが本当に悲しい事ですが、子宮外妊娠は患者さんが注意していても医療側が注意していても起こる方には起こってしまうのが現実です。
疑ってかかれ!ではないですが・・・、おなかがちょっと痛いとか、生理だと思うのですが気になるんです、という方の場合は、「即いらして下さい」という方向でいくようにしております。
診察後に、「これは生理でしたね」で、ホッとされて泣かれてしまった方、そのような状況も考えられるのだという事をご理解下さい。

だったら、不安になって妊娠なんか出来ない!とマイナス方向に走られないで下さい。

妊娠だけではなく、何事にも多少の危機感を持っていかれた方が良いのかもしれない・・・とつくづく感じる事務長です。
また、いろいろな場面で、思いが通じる時もあれば、全く通じない時もあるというものも・・・しみじみ実感する事務長です。

『渡る世間に鬼はなし』なのか『渡る世間は鬼ばかり』なのか、一体今の世の中どちらなのでしょうね?
ほんの少しのものに感謝出来る人間なのか、感謝なんか出来ない人間なのかで、世間は変わるのでしょう。
出来れば前者でいきたいものですね!!

次回もまた、子宮外妊娠について書かせて頂きます。
ーby事務長ー



コメント
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