昭和23年(1948年)の8月の夏の終りを女子大の軽井沢の寮で過ごした。まだ食糧難の時代だが、戦争が終わってみんな明るく夢は大きかった。
私は油絵の道具を持っていったので、雲場の池の端にイーゼルを立てて写生をした。この場所以外,池の両側は日本人は立ち入り禁止になっていて、進駐軍の家族の別荘地になっていた。
1998年に50年ぶりに軽井沢に行ったが、雲場の池の木々がうっそうと茂っていて、池の周りを観光客がぞろぞろと歩き、池の水は濁っていて本当にがっかりした。
色はあせ、絵の具がはがれた50年前に描いた絵をみながら、初めて軽井沢に行った思い出は限りなく広がる。
描いたのが8月の終りか9月の初めで寒かった記憶がある。丁度今頃の季節。
涼しくなって嬉しい反面、寂しく思うのは毎年の事。