大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

せやさかい・415『宇宙戦艦三笠制作発表会』

2023-06-12 11:48:26 | ノベル

・415

『宇宙戦艦三笠制作発表会』さくら   

 

 

 うち以外は、みんなオーディションで選ばれた声優さん。

 

 今日は『宇宙戦艦三笠』の制作発表会。

 会場の飛空船劇場のステージには主役四人の声優とエライさんが並んで、例によって、ガチガチにあがってるのはうち一人(^_^;)。

「おまたせいたしました、それでは、ただいまより『宇宙戦艦三笠』の制作発表会を開かせていただきます」

 MCのベテラン声優さんが麗しくも押しのある声で開会を宣言しはります。

 このベテラン声優さん、宮崎駿がまだ東映動画にいたころから声優をやってはった吉永百合子さん。

 実年齢よりは20歳は若く見えると言う人で、江戸川アニメにとっても大事な方らしい。

 

 よう知らんけど(^_^;)。

 

 東京には昨日の午後から来てる。

 昨日はスタッフとキャストの顔合わせをやって、すぐ二回分の収録。

 早く終わったら渋谷ぐらい行けるかと思たけど、録音は夜の8時までかかってしもて、そのまま江戸川アニメが用意してくれたホテルに入って寝るだけやった。

 

「ごめんね、また忙しい思いさせちゃって」

 お風呂から上がると、先に上がった真鈴先輩はベッドで胡座をかいて酒盛りの最中。

「いいえ、新しい声優さんとも会えて楽しかったです」

「うん、わたしも吉永さんとは初めてでさ、めっちゃ緊張した!」

「ええ、あれで、緊張してはったんですか!?」

「してたわよ、『で、あなたのことは、なんて呼んだらいいのかしら?』ってミカさんにかける台詞、二回もNG出しちゃった」

「ああ、あれ、なんでNGなのか分からへんかったです」

「劇中のチュートリアルクリアして、みんなで『勝った!』って万歳して『で、あなたのことは、なんて呼んだらいいのかしら?』まで12個も人の台詞があるのよ。吉永さんのこと意識しちゃって気持ちが切れてしまってさ」

「え、そうやったんですか!?」

「さくらの方がすごいよ。三笠に召喚された時、天音ひとりが素っ裸でさ「ギャーーー!!」って悲鳴あげるじゃん。一発できまったもんな」

「アハハ、あれって、その前にひとの台詞あれへんし(^_^;)」

「うん、でも、さくらって才能あるかもよ」

「ないですないです(^o^;)、先輩のお引き立てで面白がらせてもろてるだけですよ」

「それは何よりだ『楽しくなくっちゃ仕事じゃない』というのが吉永さんのモットーなんだよ」

「え、そうなんですか? って言うか、どんな人なんですか? なんか名前からすごいですけど」

「吉永百合子っていうのは本名でね、元々はアングラ劇の役者さんだったんだ」

「アングラ劇?」

「ああ、テントとか小さな劇場でやってる芝居。大女優に似た名前を逆手にとって劇中で物真似とかやってたんだけど、バイトで始めた声優が面白くって本業になったって人。なにをやっても余裕でさ、圧倒されるわけですよ」

「休憩の時『神さまの役って初めてなのよぉ』って喜んではりました」

「ああ、うん、オネエサンとか姉御って感じの役が多かったからね。いっしょにやらせてもらって、わたしも勉強になる」

「ですねえ、なにごとも勉強です!」

 

 その吉永さんが、いっしょに舞台に立ってMCをやってはる。

 ふつう、制作発表会のMCというのは進行台本持ってやるらしいねんけど、吉永さんはマイクだけでやってはる。

 これも、元役者さんの矜持やねんやろか。

 わたしの右は花園あやめさん。

 今回はトシ(秋山昭利)いう男子生徒の役。いつもはかいらしい女の子の役が多いねんけど、今度は引きこもりのヘタレの男の子。『犬が西向きゃ尾は東』では井上香里奈の声の裏と表を花園さんとやらせてもろた。

「今度もいっしょだね、どうぞ、よろしくぅ(^▽^)/」

 スタジオ入りした時、握手かと思たらハグしてくれはって、メチャ嬉しかった♪

 

 ほんで、花園さんの右が真鈴先輩、その右が修一(東郷修一)役の小早川凜太郎さん。

 小早川さんは……頭の中で反芻(はんすう)しよと思たら、監督(今回も宗武真監督)の話が始まった。

 そして、今日は6月12日で、月曜日。

 本業である学校は営業日なわけで、わたしは、初めて声優の仕事で学校を休んでしもた!

 

☆・・主な登場人物・・☆

  • 酒井 さくら      この物語の主人公  聖真理愛女学院高校二年生
  • 酒井 歌        さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
  • 酒井 諦観       さくらの祖父 如来寺の隠居
  • 酒井 諦念       さくらの伯父 諦一と詩の父
  • 酒井 諦一       さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
  • 酒井 詩(ことは)   さくらの従姉 聖真理愛学院大学三年生 ヤマセンブルグに留学中 妖精のバン(バンシー)ナンシー(リャナンシー)が友だち
  • 酒井 美保       さくらの義理の伯母 諦一 詩の母 
  • 榊原 留美       さくらと同居 中一からの同級生 
  • 夕陽丘頼子       さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 
  • ソフィー        ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
  • ソニー         ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
  • 月島さやか       中二~高一までさくらの担任の先生
  • 古閑 巡里(めぐり)  さくらと留美のクラスメート メグリン
  • 百武真鈴(田中真央)  高校生声優の生徒会長
  • 女王陛下        頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首
  • 江戸川アニメの関係者  宗武真(監督) 江原(作監) 武者走(脚本) 宮田(制作進行) 
  • 声優の人たち      花園あやめ 吉永百合子 小早川凜太郎  
  • さくらの周辺の人たち  ハンゼイのマスター(昴・あきら) 瑞穂(マスターの奥さん) 小鳥遊先生(2年3組の担任) 田中米子(米屋のお婆ちゃん)
  •   

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

RE・かの世界この世界:125『純金の四号では戦えないぞ』

2023-06-12 06:09:09 | 時かける少女

RE・

125『純金の四号では戦えないぞ』テル  

 

 

 

 鋼鉄でできているはずの四号は眩いばかりの純金になっていた!

 
 半信半疑で砲塔の端っこを削って分析すると純度99.6%の金という結果が出た!

「プレパラートの仕業なのかなあ(;'∀')?」

「下級クリーチャーのくせに生意気なことをする(`_´)!」

 ロキとケイトはイッチョマエに腕組みしているが事の深刻さは分かっていない。

「すべて純金になってしまったのなら動かせないぞ……」

 タングリスは参った様子で四号のあちこちをチェックする。わたしもヒルデも加わって二分もしないうちに完了した。

 転輪と誘導輪の被覆ゴムとペリスコープの防弾ガラス、照準器のレンズ以外は全て金に変わっていた。

「金だとだめなの?」

 ケイトが素朴な質問をする。

「金は重くて柔らかい、動かしたら荷重のかかるところが折れるか曲がるかしてしまう。装備もチェックしておこう」

 調べてみると剣や拳銃、ナイフにベルトのバックルからボタンに至るまで金に変わっている。

「これでは、まともに戦えない」

「そう? なんだかきれいだけど」

 ケイトが試しに弓を持ち上げるが、子どもの体重ほどになった弓は両手で持ち上げるのがやっとで、とても矢を射られるものではない。わたしの剣も言わずもがなだ。

「これだけの金を売ったら、ヴァイゼンハオスも楽になるだろうなあ……」

 ロキが古巣を思い出してため息をつく。普段は口にしなくなったが孤児院の仲間や先生の事は忘れられないのだろう。ヘルムのことが片付いたら考えてやらねばならないだろう、ブリュンヒルデのブァルハラ行きを優先するか、ロキのユグドラシル行きを先にするかを……。

「ここから先は、各自の戦闘術と魔法を頼りに進むしかないだろう」

「姫、わたしも同意見です。しかし、そのためにはロキとケイトは連れてはいけません」

 ロキとケイトが心外だという(*`へ´*)顔をしする。

「俺たちも連れてってよ、仲間なんだから」

「おまえたちは、まだ未熟だ」

「いままでいっしょに戦ってきたじゃないか!」

「ああ、しかし、我々も二人を護りながら戦って倒せる相手とは思えない、あのヤマタの神はな」

「そんなの、やってみなきゃ!」

「分かるんだ。このタングリス、伊達にトール元帥の副官をやっているわけではないぞ」

「ロキ、おまえはユグドラシルに戻ってお母さんに会わなきゃならないだろう」

「そ、それは……」

 可愛そうだが、痛いところを突いてやるしかない。

「だったら、あたしは!」

 ケイトが口を尖らせる。

「弓が使えなければ、駆け出しのヒーラーでしかないだろう」

「それでもヒーラーだもん!」

「ヤマタは強敵だ、ケアルしか使えないのでは自分一人の回復もままならないぞ。それに、おまえは……」

 あ…………(;゜Д゜)

 思わず顔を見合わせた。

 わたしとケイトには大事な任務があったはずなのだが、思い出すことができない。

「……なにか来るぞ!」

 ヒルデの声にわたしとタングリスが前に出てロキとケイトを護る形になる。この反射的な行動は百の説得よりも有効だ。ここではロキとケイトは庇護される対象なのだ。

 四号の後ろ十メートルのところにシミのように浮き出した影は人の形をとりはじめた……。

 

☆ ステータス

 HP:13000 MP:180 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・90 マップ:9 金の針:0 所持金:6500ギル(リポ払い残高27000ギル)
 装備:剣士の装備レベル35(トールソード) 弓兵の装備レベル30(ソードボウ)
 憶えたオーバードライブ:シルバーヒール(ケイト) シルバースプラッシュ(テル)

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

 テル (寺井光子)   二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼馴染 ペギーにケイトに変えられた
 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ラーテの搭乗員 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ラーテの搭乗員 辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 小さいが人化している
 ペギー         異世界の万屋

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする