大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

鳴かぬなら 信長転生記 127『鬼かしま決戦・3』

2023-06-19 14:30:46 | ノベル2

ら 信長転生記

127『鬼かしま決戦・3信長 

 

 

 ブン!

 

 おお(@▲@;)!?

 戦艦大和の主砲弾が鼻先を掠めたら、こんな感じ!

 そんな衝撃と風圧が目の前を掠める!

 パラパラ

 風圧だけで、俺の前髪が十数本散った。

 俺は生前の男の姿ではない。扶桑と呼ばれる転生世界に飛ばされて、それ以来女の姿容をしている。鶴姫の甲冑を身にまとっているが、頭は鉢金(鉄板を縫い付けた鉢巻き)を締めているだけで、こぼれた髪がハラヒラなびいて宙に舞う。ブスならともかく、妹の市以上の美少女、ショートにしたり、ツンツンのひっ詰めにしていては絵にならん。

 戦術、戦略に関しては徹底した合理主義だが、その身と装いにかけては、少々不合理であろうとオシャレに徹する。

 

 ブン! ブブン! ブン! ブブン! ブン!

 

 立て続けに金棒が空を切って、その都度髪が散り、鎧の縅糸をささくれさせていく。

 カシン! カシン!

 本来の草薙の剣に戻ったアッチャンを縦横にふるってしのぎ、三度に一度は鬼の体を捉えるが、その肌は巌の如く、いかに日の本一の聖剣と言えども、渾身の力で正中を捉えなければ討ち取りがたい。

『儂を鬼の後ろに投げよ』

 再び思金(おもいかね)が呟く。

「よし!」

 勾玉に戻った思金を胸元から引きずり出す。

 グキ!

 勢い余って、思金を握った拳が自分のあごに当って目から火が出る。

 セイ!

 それでも勢いつけ、鬼の後ろを目がけて勾玉の思金を投げる!

 おお!?

 予想をはるかに超えた大魔神の姿になって、オイデオイデをする思金。

 ウオオオオオオオオ!

 吠えると同時に金棒を振り上げ突撃する鬼。

 ブン!

 え?

 鬼の金棒は、大魔神に到達するはるか前で振り下ろされ、エフェクトだけは派手に描いて空振りになる。

 ズン

 消えたかと思うと、今度は鬼の右横に現れる大魔神。

 しかし、その姿は、たった今までの1/10ほどでしかなく、それも、ポリゴンというか粒子が荒く、その縁は、ちょっとガビガビになっている。

 ウオオオオオオオオ!

 ブン!

 ええ!?

 鬼は、実際の距離の五倍向こうまで跳んで金棒を振り下ろした。

 当然、金棒は空を切り、その勢いに振り回されて、鬼は空中ででんぐり返ってしまった!

『思金、なかなかやるわね』

 剣のままで、アッチャンが褒める。

 

 ブン! ブブン! ブン! ブン!

 

 それからも、大魔神は大きくなったり小さくなったりして、鬼の周囲を飛び回る。

 しかし、どうして鬼は、ここまでスカタンなんだ?

『片目が見えないからよ』

 え……あ、そうか!

『分かったみたいね』

「遠くでは大きく、近くでは小さくなっているんで、鬼の奴遠近感が掴めないんだ!」

『それだけじゃないわ』

「なるほど、解像度も遠近逆にしている、間近で小さく現れた時に解像度が低いから、より遠くに感じるんだな」

『それ以外にも、アンチエイリアスもいじってるから、完全に混乱してる』

「ああ、あのガビガビはアンチエイリアスだったのか!?」

 アンチエイリアスは、オブジェクトやテクスチャの縁をきれいに処理する技術だ。これが荒く表現されると遠くにあるように感じてしまう。

『感心してる場合じゃないわ、いくわよ!』

「おお!」

 

 セイッ!!

 ズバ!!

 

 アッチャンの草薙の剣は、見事に鬼の背中を絶ち割った!

 

 ギヤアッ!!

 

 のけ反った鬼は、断末魔の声を上げ、本丸の地面をゴロゴロ転がる。

「トドメ!」

 胸を一突きすると、今度は大きな赤ん坊のように丸まって、立ち割った背中がパックリ口を開けた。

「何か出てくるぞ!」

 警戒して飛びのくと退くと同時に、鬼の背中からは人のようなものが這い出て、立ち上がることもできずに仰向けにひっくり返った。

 その顔、その姿を見て息を呑んだ( ゚Д゚)!

 

 そいつは、まごうかた無き桃太郎であった!

 

 

☆彡 主な登場人物

  • 織田 信長       本能寺の変で討ち取られて転生  ニイ(三国志での偽名)
  • 熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
  • 織田 市        信長の妹  シイ(三国志での偽名)
  • 平手 美姫       信長のクラス担任
  • 武田 信玄       同級生
  • 上杉 謙信       同級生
  • 古田 織部       茶華道部の眼鏡っ子  越後屋(三国志での偽名)
  • 宮本 武蔵       孤高の剣聖
  • 二宮 忠八       市の友だち 紙飛行機の神さま
  • 雑賀 孫一       クラスメート
  • 松平 元康       クラスメート 後の徳川家康
  • リュドミラ       旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ  劉度(三国志での偽名)
  • 今川 義元       学院生徒会長
  • 坂本 乙女       学園生徒会長
  • 曹茶姫         魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
  • 諸葛茶孔明       漢の軍師兼丞相
  • 大橋紅茶妃       呉の孫策妃 コウちゃん
  • 孫権          呉王孫策の弟 大橋の義弟
  • 天照大神        御山の御祭神  弟に素戔嗚  部下に思金神(オモイカネノカミ)

  

 

 

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RE・かの世界この世界:132『発見』

2023-06-19 06:25:09 | 時かける少女

RE・

132『発見』タングリス  

 

 

 

 ヤマタの根城に近いのか、灌木林は鬱蒼としたジャングルのようになってきた。

 それまでの木々はせいぜい三階建ての高さほどだが、ジャングルのようになった今はほとんど五階分はあろうかと思われた。

 かなりの草木が自分で発光している。それも草木によって色も明滅の周期も異なり、風が梢を揺さぶる度に枝や葉っぱは蠢動し、それにつれて光が怪しげに重なり、あるいは交差したり。その上、猛獣ともクリーチャーともつかない咆哮や鳴き声が混じって、不気味さはこの上なく、ただでさえ崩壊しそうな意識が切れ切れの混濁の中に封じ込められそうになる。

「何か聞こえる!」

 ヒッ(;'∀';)

 テルの声でみんなが停まる。

 たいていは聞き間違いか幻聴なのだが、聞こえるたびに全員が立ち止まることにしている。聞こえた者が勝手に動き出しては密林の中でバラバラになる恐れがあるので、全員が納得というか落ち着くまでは動かないのだ。納得するには確認が必要で、ポチが、その役目をはたしている。

「ポチ、確認してくれ」

「ラジャー('◇')ゞ!」

 目印のために風船を上げる。

 音や気配の正体を確認したポチは密林の上まで出された風船を目当てに戻ってくるのだ。

 四五分もすると、正体がわからなくとも戻って来る。分からない時は、その方向を避けて進むのだ。時間はかかるが安全で確実だ。

「十分過ぎたぞ」

 姫が呟く。

 たしかに十分もかかるのは初めてだ。

 もう少し待ちましょうと目配せすると姫を挟んだテルと目が合う。テルも同じことを考えているようだ。

 さらに五分すぎてポチが戻ってきた。

「どうしたんだ、ポチ?」

「……見つけた、ユーリアが居たよ!」

「ほんとうか!?」

「うん、切れ切れの気配で迷ったけど、何度も確認したよ」

「どっちだ?」

「見に行く?」

「もちろんだ」

「じゃ、こっち!」

 ポチの後を付いて密林をかき分けること数分、少し開けたところにユーリアは居た。

 ハングライダーが枝に引っかかり、伸びたハーネスが絡み合って、複雑な姿勢でぶら下がっていた。

 姫が身を乗り出そうとすると、ポチが押しとどめる。

「待って」

「なぜ、止める?」

「これが一人目だから……次行くよ!」

「「「次?」」」

「こっち!」

 
「「「え? ええ!?」」」

 
 ポチに引き回されて、我々は五人のユーリアを発見してしまった……。

 

☆ ステータス

 HP:13000 MP:180 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・900 マップ:12 金の針:1000 その他:∞ 所持金:8000万ギル(リボ払い残高無し)
 装備:剣士の装備レベル38(勇者の剣) 弓兵の装備レベル32(勇者の弓)
 憶えたオーバードライブ:シルバーヒール(ケイト) シルバースプラッシュ(テル) スプラッシュテール(ヒルデ)

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

 テル (寺井光子)   二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  小早川照姫の幼馴染 ペギーにケイトに変えられた
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ラーテの搭乗員 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ラーテの搭乗員 辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 1/12サイズで人化している
 ペギー         異世界の万屋

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

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