大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

馬鹿に付ける薬 022『子犬に名前を付ける』

2024-10-16 13:59:55 | ノベル2
鹿ける 《気まぐれアルテミスとのんびりベロナの異世界修業》
022:『子犬に名前を付ける 




「連れていくんだったら名前を付けてやれ」

 前を歩くプルートがボソリと言った。

 ヒュドラの黄金のリンゴを手に入れて、三人は街道を北に歩いている。

「名前はケルベロスだろ」

「元々の名前だし、だめかしら?」

 アルテミスはプルートの背中を見て、ベロナは腕に抱いた子犬をモフモフしながら話を続ける。

「それは魔犬の時の名前だ。再生したことだし別の名前を付けてやった方がいい……それに、ケルベロスというのは微妙に長い」

「でも、カッコいいぞ」

「そのままだと、また首が三つになるかもしれんぞ」

「「それは困る!」」

 ワン!

「まあ、急ぐことでもない、ゆっくり考えろ」


 まあ、これも長い旅の慰めだろうと二人は考え始める。


「あれ?」

 半時間ほど考えて歩いていると、道を行く自分たちの影が一つ増えていることに気づくアルテミス。

 いつの間にかカロンが後ろを歩いている。

 ワンワン

「カロン(^_^;)」

「い、いつの間に(;'▭')」

「さあな」

「何かあったのか?」

 プルートは気づいていたようで、振り向きもせずに普通に聞く。

「この先に関所ができた」

「「「関所?」」」

「イリオス王プリアモスの息子でパリスという若造が冒険者たちに旅の目的を聞いている」

「イリオス王の息子?」

「誰だ、それ?」

 アルテミスとベロナが聞くと子犬も倣って首をかしげる。

「女神共に難儀な判定を迫られている若者だ。どうやら、まだ答えられずに冒険者相手に練習しているようだな」

「そんなの無視して行けばいいんじゃないのか?」

「ここで旅をやめて帰れるか、アルテミス?」

「できるわけないだろ」

「それと同じだ、パリスもゼウスに頼まれたんだ無下にはできん。二人とも、今のうちに考えとけ」

「あぁ、ちょっとぉ」

 子犬が肩の上でモソモソして持て余すベロナ。

「あ、首に札が付いてるぞ」

「え、いつの間に?」

「名札だ、ハチって書いてあるぞ」

「ハハ、カロンのやつだな」

「勝手に名前つけんなよ……あれ?」

「あら、もう居ないわ」

「さあ、犬の名前も決まった。先を急ぐぞ」 

 道の先に人だかりが見えて来た、どうやら、それがパリスの関所のようだ。



☆彡 主な登場人物とあれこれ
  • アルテミス          アーチャー 月の女神(レベル10)
  • ベロナ            メイジ 火星の女神 生徒会長(レベル8)
  • プルート           ソードマン 冥王星のスピリット カロンなど五つの衛星がある
  • カロン            野生児のような少女  冥王星の衛星
  • 魔物たち           スライム ヒュドラ ケルベロス(再生してハチ)
  • カグヤ            アルテミスの姉
  • マルス            ベロナの兄 軍神 農耕神
  • アマテラス          理事長
  • 宮沢賢治           昴学院校長
  • ジョバンニ          教頭
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!32『ライオンを捜す少女』

2024-10-16 06:15:34 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
32『ライオンを捜す少女』 




「キミはライオンを探しているのかい?」

 渡りに船でアニマ王子が聞きやがる。張り倒してやろうかと思ったけど、少女の手前、ちょっとガマンしたぜ。

「ライオンじゃなくてぇライオンさん!」

 言い返しやがる。可愛いけど、ちょっと気ぃつよそうなガキだぜ。

「でも、ライオンなんだろ?」

「ちがうぅ! 二本の足で歩くし言葉だって喋るしぃ、何よりも勇気を誇りにしているわ。で、そういうライオンさんを見かけなかった!?」

「いいえ」「んなの知るか!」と、レミとマユが答える。少女の視線は、王子にもどった。

「ぼくも知らないけど、ライオンさんに会えたら伝えてくれたまえ」

「え、なにを?」

「あ……その……つまりだね……」

「あの、わたし急いでるの。分からなかったら、他をあたらなきゃならないから!」

「もし、ライオンさんに会えたら伝えてくれたまえ……」

「だから、なにをですか!?」


「どうやったら……勇気が持てるか」


「そんなもの、自分でどうにかしなさいよ。まったく今時のオトコときたら!」

 少女は捨てぜりふを残して回れ右をし、一歩踏み出して……立ち止まった。

「いま、わたし『オトコ』って言ったわよね……」

「う、うん」「どうかした?」

「う、ううん。なんでも。じゃあね」

 少女は、ギンガムチェックのスカートとツインテールをひるがえしながら行ってしまった。


「……あいつ、ドロシーだよな。『オズの魔法使い』の?」


「そうよ。今頃は、エメラルドの国に着いてなきゃいけないんだけどね」

「やっぱり、これもゆがみのひとつなのか?」

「たぶんね。でも、ドロシーは所属がMGMで、そこにワーナーやソニーが絡んだり、ややこしくって、よく分かんない」

「でも、そのややこしい中でも、ケナゲにオズの国を目指してやがるんだな」

「そう、だれかさんと違ってね」

 レミは、麦わらをあみだに被り直し腕組みをした。


「じゃ……ボクはこれで失礼するよ」

 アニマ王子は肩を落としたまま立ち上がると、マントを被りなおした。

「明日もちゃんと来るのよ」

「ああ……」

「そして、キスするのよ(>▢<)!」

「……ああ、前向きに考えるよ」

「なに、その政治家みたいな言い方!?」

「母上に教わったんだ。こういう状況で使う言葉……じゃ」

「待て、これ持ってけ」

 マユは、胸ポケットから歯ブラシを出したぞ。

「歯ブラシ?」

「今夜と明日の朝、それで歯を磨け」

 アニマ王子は、手に息を吐きかけて、臭いを嗅ぎやがる。

「臭うかな……?」

「似合うぞ」

「え……?」

「ロゴを見てみ」

「……ライオン歯ブラシ」

「分かった?」

「ありがとう。ギャグで励ましてくれたんだよね……ごめん、上手くリアクションできなくて」

 王子はハイセイコーにも乗らずに行ってしまいやがった。

「ありがとう、ごめんね、めんどくさい王子で。せっかくシャレで締めくくってくれたのに」

「シャレじゃねえよ」

「え……?」

「あの歯ブラシには魔法がかかってんだ」

「どんな魔法?」

「あれで歯を磨くと、好きな女の子にキスしたくなる魔法がよ」

「え……それじゃ!」

「でも、あいつに効くかどうか自信はないわぁ。小悪魔程度の魔力じゃどうしようもねえ」

「ううん、マユはがんばってくれた。ありがとう」

 礼を言われると、ちょっと居心地が悪くて、とっさには返事できねえ。

「それにしても白雪、可愛そうだな……」

 白雪姫に目をやるレミ。マユも自然に目を移した。

「あ……白雪の顔?」


 マユは、白雪姫の寝顔に不吉なものを感じたぞ……。



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  
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