魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
44『カジキマグロ』
いつの間にか、ストローハットはボートになってクルクル回ってやがる。
マユは小悪魔でミファは港町の子だからボートに酔うことはねえ。
しかし、様子が分かるのには、少し時間がかかったぜ。
海は荒れてやがる。
海は荒れてやがる。
まるで海自身が何かを予感して興奮してるみてえだ。
人の背丈ほどの波が絶えずわき起こり、マユには海の妖精たちが、なにかおもしろいことを見つけて騒いでいるみてに思えた。
人の背丈ほどの波が絶えずわき起こり、マユには海の妖精たちが、なにかおもしろいことを見つけて騒いでいるみてに思えた。
「低気圧が過ぎたところみたい。ほら、波はまだ騒いでいるけど、空は青いよ」
ミファが、港町の子らしく解説しやがる。
「こういうときは獲物がかかりやすいんだ……」
ミファが、そう続けたとき、波間にチラッと他のボートが見えたぞ。
「あ、あれは……?」
「……サンチャゴのボートだ!」
「え、よく分かったわね」
「……サンチャゴのボートだ!」
「え、よく分かったわね」
ミファが感心した。
「だってよ、ここは、サンチャゴじいちゃんの夢の中だからな」
「え……そうなの!?」
「見たいと言ったのは、ミファの方だぞ」
「夢って、こんなにリアルなの……潮の香りも、海の感覚も本物だよ」
「……それだけ、サンチャゴの想いが真剣だってことだ」
波間に見えるサンチャゴジジイは格闘してやがった。
リールを巻いては緩め、緩めては巻くを繰り返してやがる。
波間に見えるサンチャゴジジイは格闘してやがった。
リールを巻いては緩め、緩めては巻くを繰り返してやがる。
ただの繰り返しじゃねえ、ボートのケツを獲物に向けながらだ。
横からリールを巻くと、獲物の勢いで転覆させられる。それで、時どき足で梶棒を蹴って絶えずケツを向けてやがるんだ。 呼吸を整え獲物のそれに合わせてやがる。
時どきサンチャゴは体ごと海に引きずり込まれそうになるけど、必死でふんばる。負けそうになるとリール空回りさせ、釣り糸を伸ばす。梶棒を蹴って尻を向ける。向けては竿ごと獲物を手繰り寄せる。
伸ばして、引いて、梶棒を蹴って、リールを巻いて、また緩めて……そんなことを何十編もくりかえし、瞬間、サンチャゴジジイが渾身の力でふんばったとき、そいつは海の上に躍り上がるように姿を現した。
ザッパーーン!!
そいつは、マユの背丈の五倍もありそうなカジキマグロだったぜ!
「じいちゃん、がんばれえ(>〇<)!」
そいつは、マユの背丈の五倍もありそうなカジキマグロだったぜ!
「じいちゃん、がんばれえ(>〇<)!」
ミファが思わず声をかけた。
「ここは夢の中だ。言っても聞こえねえぞ」
「でも、でも、サンチャゴじいちゃん、あんなにがんばってんのに……!」
「だから、夢だって。あんまり入り込みすぎると、夢の中から出られなくなっちまうぞ」
「う、うん……」
それから何時間たっただろうか……ようやく、サンチャゴは獲物を船縁までたぐり寄せ、モリでトドメを刺した。マユもミファといっしょにボートの船底に尻餅をついてしまったぜ。
『く、くそ……こんな時に、あいつが居てくれたら』
獲物のカジキマグロは大きすぎて、ボートに引き上げることができない。サンチャゴジジイは、仕方なく船縁に獲物をくくりつけた。
「あいつって、だれ?」
それから何時間たっただろうか……ようやく、サンチャゴは獲物を船縁までたぐり寄せ、モリでトドメを刺した。マユもミファといっしょにボートの船底に尻餅をついてしまったぜ。
『く、くそ……こんな時に、あいつが居てくれたら』
獲物のカジキマグロは大きすぎて、ボートに引き上げることができない。サンチャゴジジイは、仕方なく船縁に獲物をくくりつけた。
「あいつって、だれ?」
「……少年」
「少年? 新聞配達のエロガキか?」
「べつの子。いつもサンチャゴじいちゃんのボートに乗っていた」
「今日はいねえのか?」
「……親が反対していたから。サンチャゴじいちゃんは大物狙いで、坊主で帰ってくることが多くて稼ぎにならないって、親が反対してたんだ……これは、じいちゃんの最後の漁なんだ。じいちゃんの記憶……それとも願望なのか……」
「そうかぁ……でも、最後に大物仕留められてよかったじゃねえか」
「このままじゃ、終わらないよぉ……港まで持って帰って陸に上げるまでが漁なんだよ」
「このままじゃ、終わらないよぉ……港まで持って帰って陸に上げるまでが漁なんだよ」
「そうなんだ」
ミファの言葉通りサンチャゴの気は張り詰めたままだったぜ……。
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- 狼男
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 片岡先生 マユたちの英語の先生