神秘的に輝いているお月様の美しさに誘われ庭に出てみました。
凛として透明感の漂う朝の空気とは、また違った夜気がピリッと肌に冷たく草叢(くさむら)にすだく虫の音までが、長月の夜を謳歌(おうか)しているようです。
時々夜露がコロコロっと木の葉からすべり、這うように広がっている花々のうえに落ちていく。
喧し(かしまし)かった虫の音が一瞬ピタリと止み辺りの気配を窺って(うかが)いる様子。それも、束の間で夜の無言(しじま)に再び虫たちの合唱です。
日中では想像もつかない夜の庭のなかで今日一日を反芻(はんすう)してみる。
あれこれと、過ぎてしまったことなのに重く尾をひき落ち込むこと頻り(しきり)・・・そんな私にお月様は優しく
「いいのよ、そんなに気にしなくても、また明日を頑張れば・・」と囁いてくれました。
庭木も花も、眠たげに小首を傾(かし)げている無邪気な姿がとても可愛い。
こんな夜の庭を改めて眺めてみると日中では気付かなかった所が見えて新鮮な感じです。
タヌキ君のあたまをちょっとなでて「おやすみ」
私の気持ちがどんなにささくれだっていても、黙って迎え入れ、慰め癒してくれる優しいこの庭が大好きです。
ひと際、月の光が冴えわたり何かしら神々しさを感じます。
やはり季節は確実に移ろいで紅葉の便りも間もなくと言うことなのでしょう。
心のなかまで見透かすように照らし出す月の光の下(もと)で自分と向き合ってみたら
『何て些細なことに悩んでいたのだろう』
と心狭い自分に苦笑い。
四季のなかで、秋は黄昏どきと思いますが、侘び・寂びは、違う世界で楽しみます。
夜も更けてきましたので今夜はもうお家に入ります。