第 1 段・・・・初冠
伊勢の斎宮が、『伊勢物語』の名の由来であるという説があるが、奈良の春日神社にも斎女の制度があったというから、「女はらから」も斎女であったとしてもさしつかえない。
史実では、業平の元服業平の元服は父・阿保親王の亡くなった841年で、はらからの女性・藤原高子高子が生まれたのは翌年の842年だから、その年齢差は18であった。17歳の時の業平の相手はまだ生まれぬ高子ではなく、その三姉妹の長女・藤原有子17歳としか考えられない。素晴らしい文学は、書き初めによって規定される例に漏れず、見事に優雅な展開を予感させてくれるが、この虚構は、恋の相手が高子でなければならないのは、後の作者による明快な意志があったにかも知れない。
与えられた仕事が一段落したので、大好きな「伊勢物語」を少し繙いてみよう・・・
ここから始まり それぞれの冒頭が「昔、男……」と始まります。
昔、男がいた。都が奈良から移ったこの平安京で、人家がまだ整理されていない頃、西の京にある女性がいた。その女性は、普の女性とは比較にならないほど優れていたのである。それは外見より心の立派な人であった。彼女の元に通う男がいたようだからひとり身ではないようであった。それを例のまめ男が彼女と親しく語らい合い、家に帰ってきたのである。それからは一体どうなったのだろうか、時は三月初旬、春雨のしとしと降る中を、こんな歌をおくったのだった。
続きはまた・・・
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