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マキアヴェッリと孫子 (マキアヴェッリ語録(塩野 七生))

2006-08-21 21:46:16 | 本と雑誌

 マキアヴェッリの「政略論」や「戦略論」で説かれている内容は、「孫子」につながるところが多く見られます。

 たとえば、孫子の有名な「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という一節。
 これと同じことをマキアヴェッリはこう伝えています。

(p110より引用) 自軍の力と敵の力を、ともに冷静に把握している指揮官ならば、負けることはまずない。〔戦略論〕

 マキアヴェッリは、「孫子」に匹敵する兵法家でもあったようです。
 兵站の重要性も指摘していますし、指揮官についての箴言も見られます。

(p117より引用) 一軍の指揮官は、一人であるべきである。
 指揮権が複数の人間に分散しているほど、有害なことはない。
 ゆえに、わたしは断言する。
 同じ権限を与えて派遣するにしても、二人の優れた人物を派遣するよりも、一人の凡人を派遣したほうが、はるかに有益である、と。〔政略論〕

 以下のような「現状認識」や「厳しい人間観」も一流の兵法家たる所以です。

(p184より引用) サルスティウスが、その著書の中でユリウス・カエサルに語らせている次の言葉は、まったくの真実である。
「どんなに悪い事例とされていることでも、それがはじめられたそもそものきっかけは立派なものであった。」〔政略論〕

(p202より引用) 次の二つのことは、絶対に軽視してはならない。
 第一は、忍耐と寛容をもってすれば、人間の敵意といえども溶解できるなどと、思ってはならない。
 第二は、報酬や援助を与えれば、敵対関係すらも好転させうると、思ってはいけない。〔政略論〕

マキアヴェッリ語録 マキアヴェッリ語録
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:1988-07

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