マキアヴェッリの「政略論」や「戦略論」で説かれている内容は、「孫子」につながるところが多く見られます。
たとえば、孫子の有名な「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という一節。
これと同じことをマキアヴェッリはこう伝えています。
(p110より引用) 自軍の力と敵の力を、ともに冷静に把握している指揮官ならば、負けることはまずない。〔戦略論〕
マキアヴェッリは、「孫子」に匹敵する兵法家でもあったようです。
兵站の重要性も指摘していますし、指揮官についての箴言も見られます。
(p117より引用) 一軍の指揮官は、一人であるべきである。
指揮権が複数の人間に分散しているほど、有害なことはない。
ゆえに、わたしは断言する。
同じ権限を与えて派遣するにしても、二人の優れた人物を派遣するよりも、一人の凡人を派遣したほうが、はるかに有益である、と。〔政略論〕
以下のような「現状認識」や「厳しい人間観」も一流の兵法家たる所以です。
(p184より引用) サルスティウスが、その著書の中でユリウス・カエサルに語らせている次の言葉は、まったくの真実である。
「どんなに悪い事例とされていることでも、それがはじめられたそもそものきっかけは立派なものであった。」〔政略論〕(p202より引用) 次の二つのことは、絶対に軽視してはならない。
第一は、忍耐と寛容をもってすれば、人間の敵意といえども溶解できるなどと、思ってはならない。
第二は、報酬や援助を与えれば、敵対関係すらも好転させうると、思ってはいけない。〔政略論〕
マキアヴェッリ語録 価格:¥ 1,575(税込) 発売日:1988-07 |