この本も、いつも拝見しているふとっちょパパさんのブログで紹介されていたので読んでみたものです。
書かれている内容は、経営、特に会計やマーケティングに関する基礎的な事項です。
ただ、その説明は、極々初心者でも分かりやすいように配慮されています。
たとえば、今まで何度も見聞きしている「貸借対照表」の説明ですが、著者はこんなふうな言い方をしています。
(p40より引用) 「簡単に言えば、会社活動は、現金を使って現金を作ることだ。つまり、手持ちの現金を現金製造機に投入する。現金は機械の中のいくつかのプロセスを通過(材料→仕掛品→製品→売掛金)して再び現金になり、外に吐き出される(売掛金→現金)・・・
バランスシートの左側は、現金と現金製造機そのもの(固定資産)と現金製造機の内側(流動資産)が描かれているのである。
こういう説明の仕方や例示の挙げ方は非常に参考になります。
分かっている(つもりの)ことがらでも、今まで理解していたアプローチとはひと味違った説明を受けると、確かにそういう捉え方もあるなと気づかされます。
「(管理)会計は、経営計画のPDCAを回すための手段だ」ということも、著者によると、キャッシュフロー経営の要素も加えて、以下のような言い様になります。
(p94より引用) 会計は、キャッシュフローと利益概念を用いて行動計画の実行可能性を検証するツールなのだ。
その他、なるほどと思った点は「『工場』の意味づけ」のくだりです。
(p149より引用) 由紀は「工場は製品を作る場所」だと思っていた。しかし、安曇が指摘するように、「工場は価値を作り込む場所」と考えれば、見方はガラリと変わってくる。
物事の「意味づけ」の重要性は、以前もこのBlogでご紹介しましたが、工場は、ただ製品を作ればいいということにはなりません。「工場=価値の生成場所」だとすると、不良品による手戻りや作業の待ち時間は、工場にとっては何ら製品に価値を作り込まない無駄な活動(コスト)だと言えます。
「意味づけ」の転換は、新たな気づきのヒントになります。
著者は「はじめに」で、
(p2より引用) 会計は「会社の実態を正確に映し出す鏡」ではありません。
と宣言しています。
本編では、そういう実態を踏まえた上での様々な経営数値の捉え方を、簡単なストーリにのせて解説して行きます。
レクチャーの最後に近づいての著者のコメントです。
(p189より引用) 会計数値から会社の実態を的確につかむ方法は2通りあります。
ひとつは、会社内部の活動実態を可視化する管理会計システムを導入することです。・・・
もうひとつは、伝統的な管理会計の限界を認識した上で、欠けている情報を自分の目と足を使って補足することです。
私は、会計に携わっている人たちは、まず後者を心がけるべきだと思っています。・・・
会計知識だけでは、数字の裏側は絶対に見えません。
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