憎しみの連鎖を断ち切る(2)
パリ同時多発テロ 時空を超える強い絆
最愛の人であり、息子の母親でもあった人の命が非情な無差別テロで奪われ、
悲しみで途方に暮れていいはずなのに、レリス氏は、「君たちを憎むつもりはない」と言う。
この精錬された精神と意志の強さに、人間って素晴らしいと感動させられるメッセージです。
現実的には加害者に対して極刑を望み、
命を奪われた者の苦しみをストレートにぶっける場合も珍しくない。
このような被害者遺族の気持ちも理解できる。
レリス氏のメッセージに共感する自分がいて、一方であいまいな立ち位置の自分がいることに気づく。
レリス氏のメッセージは続く。
だから、決して君たちに憎しみという贈り物はあげない。
君たちの望み通りに怒りで応じることは、君たちと同じ無知に屈することになる。(…略…)
テロの暴力に対して暴力での解決を望めば、「君たちと同じ無知に屈することになる」。
憎しみの感情で対峙すれば、何も生まれてこない。
精神の不毛が再び憎悪の感情を生んでしまうことをレリス氏は述べている。
今朝、ついに妻と再会した。
何日も待ち続けた末に。
彼女は金曜の夜に出かけた時のまま、そして私が恋に落ちた12年以上前と同じように美しかった。
もちろん悲しみに打ちのめされている。
君たちの小さな勝利を認めよう。
でもそれはごくわずかな時間だけだ。
妻はいつも私たちとともにあり、再び巡り合うだろう。
君たちが決してたどり着けない自由な魂たちの天国で。
私と息子は2人になった。
でも世界中の軍隊よりも強い。(…略…)
生後17カ月で、いつものようにおやつを食べ、私たちはいつものように遊ぶ。
そして幼い彼の人生が幸せで自由であり続けることが君たちを辱めるだろう。(…略…)
強い絆で結ばれ、深い愛に裏打ちされた者の関係は、
どんな武器でも断ち切ることはできない。
精神の魂は生死を超え、時空を超えて天国と現世を結ぶ。
この繋がりは誰にも壊すことはできない。
亡くなった多くの人のご冥福を祈ります。
(おわり)
(2015.11.26記) (昨日の風 今日の風№33)