いじめ訴え小4自殺(4)
教育委員会 第三者委員会の姿勢
前回(3)この問題で、疑問に思うことをあげ、校長の責任を「逃げるな校長」というタイトルで書き、このシリーズを「おわり」としましたが、書き足りないこと、教育委員会の対応、第三者委員会の姿勢など触れられなかったことがあったのでシリーズを再開します。
昨年10月沖縄の小4の男児(当時9歳)が自殺した問題で、沖縄地元紙をはじめ、
全国紙がこのことを一斉に報じたのが1月11日でした。
事件からすでに3カ月が経過しています。
発表がなぜこんなに遅れてしまったのでしょうか。
いじめによる小中学生の自殺問題が大きな社会問題になっている時に、
なぜ、発表が3カ月も遅れてしまったのでしょうか。
3カ月もの間教育委員会は何をしていたのでしょうか。
この間、保護者会に向けた「説明会」も開催されなかった怠慢は糾弾されて当然です。
児童や学校の教育に関する問題が、学校内で解決できないような社会的問題であれば、
学校は問題を教育委員会に報告し、調査・解決を教育委員会と一緒に行わなければならない。
隠蔽工作があったとすれば、なんのために、誰が、どの機関(組織)が行ったのでしょう。
見えてくるのは、事実の懐柔です。
自分たちの地位や名誉を守り、立場を維持する姿勢に、
亡くなった児童の悲しみや、
遺族の苦悩を理解する教育者としての温かいまなざしが感じられません。
地元教委は昨年11月、弁護士や臨床心理士ら5人でつくる第三者委員会を設置しています。
事件が起きたのが10月ですから、素早い対応です。
だが、結果はお粗末です。
11月のアンケート調査で児童11人がいじめをしたり、
目撃したとする回答を得たこと明らかにしています。
調査を委託した第三者委員会の見解に基づき、
自殺に直接つながる、「重篤ないじめ」はなかったと発表されました。
「重篤ないじめ」とはどんないじめなのでしょうか。
いじめの種類は、千差万別です。
被害者の受け止め方や、心に受ける傷の深さも人によって様々です。
「死に至るいじめ=重篤ないじめ」と大人が単純に判断し、
勝手に括弧でくくってしまうのは、大変な間違いです。
前回にも述べましたが、9月のアンケート調査で、自殺した児童は、自由記述欄に、
「いじめられている」、「消しゴムを盗まれた。虐められているので転校したい」という趣旨を記述しているのです。
この記述は、追いつめられ、生きていく気力が遠のいていく中での、必死の叫びではなかったのか。
11月のアンケートでも、
「複数人数で男児の筆箱を投げ合っていた」「男児のものをわざと机から落としていた」
などの複数目撃証言があります。
複数のいじめは反復継続化しやすく、被害者は暗闇の中を危険にさらされ、
絶望的な状況に追い込まれることは容易に想像できます。
なぜ、男児を救えなかったのか、徹底的な究明をお願いしたい。
それが、亡くなった児童へのお詫びとして、教育者が取るべき態度だと肝に命じるべきことだと思います。
(つづく) (2016.1.16記)