母の悲しみと願い
沖縄県豊見城(とみぐすく)市で昨年10月に起こった小学4年の男児が自殺した問題で、両親は朝日新聞1月14日付の取材に応じ次のように語った。以下はその要約です。
市教育委員会は「いじめは一回だけだった」と、自殺との関係を否定したが、
子どもは6月ごろから、日常的ないじめを訴えていた。
「廊下でいきなり殴られた」
「トイレに閉じ込められた」
具体的ないじめの訴えに、母はその都度、
「先生にきちんと言いなさいよ」という母に息子は、「言っているよ」。
でも、夏休みに入るころから「言ってもしょうがない」に変わってきた。
このほぼ2カ月の間に何があったのか、
具体的な取材内容が掲載されていないので不明ですが、
果たして男児は教師にいじめを訴えていたのか、
親として、男児の訴えを教師に話し、
問題解決に向けて一歩を踏み出すことが必要だったのではないか。
終業式の日教室で「かっこつけるな」と服を引っ張って倒された。
「なんで僕はいじめられなければならないの」
「辛いなら転校してもいいよ」と母。
学校にも相談するすることに決めていたやさき、12日夜、
救いの手が差し伸べられる前に男児は、悲しい幕を引いてしまった。
入院中の10月15日、校長は病院を訪れ、9月のアンケート用紙を見せてくれた。
息子の文字。精いっぱいの、「助けて」というメッセージだったんだと思います。
守ってあげられなかった。ごめんね。毎日、ただ苦しい気持ちしかありません。と記事は結ぶ。
責任者としての校長、市教委、第三者委員会については、前述しましたが、保護者説明会について少し書いてみたいと思います。
開催場所:男児が通っていた小学校
時 期:1月12日
保護者からは保護者からは、学校側の対応の悪さなどに批判が相次ぎ、調査中の第三者委員会が「自殺につながるようないじめは現時点で確認されていない」としていることへの疑問の声も上がっている。
市教委は児童を対象に「記名式アンケート」の実施を提案したが、保護者の反対で了承されなかった。
一方、校長はこれまで児童たちに男児の死亡を事故としていたが、1月12日朝の全校集会で初めて自殺だったと説明。「ほんとうのことを言わなかったので謝らないといけません。ごめんなさい」と謝罪。(毎日新聞1/13付記事)
男児が命を絶ったのが昨年の10月でした。
結果的には、校長はおよそ4カ月の間、隠蔽と嘘で生徒たちをだましてきたのです。
「ごめんなさい」と謝って済む問題ではありません。
児童の時に信頼すべき先生から、信頼を損なうような行為を見せられた生徒の大人への不信感は、
心の傷となって一生残るかもしれないのです。
愛する者を失った母に報いるためには、
学校、市教委、第三者委が誠意をもって原因究明にあたることだろう。
失われた命は帰らないが、それが無くなった児童への供養に繋がり、
生徒への信頼を取り戻することになるのだから。
(2016.1.19)