雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

遠花火

2018-08-14 15:00:10 | 昨日の風 今日の風

遠花火
    遠ざかる花火
  地方の小さな小さな花火大会だ。
  手作りの花火大会は、地域に住む人たちの小さな善意で成り立っている。
  「家族の健康を祈って」
  「初孫万歳!!」
      「今年も元気に過ごすことができました。ありがとう」
  等々、個人の幸せを祈って打ち上げる人が多い。
  打ち上げ総数2000発。
  地域の皆さんの寄付がなければ成り立たない花火大会だが、
  10年以上も続いてきた。

  喧噪の中で、夜空いっぱいに広がる花火を川岸の土手に座って眺める。
  ドーンという音に続いて、少しの間があり、パッと夜空に広がる色鮮やかな花火
  一瞬の命の瞬き。
  感動と同時に、枝垂れ柳のように消えていく。
  華やかさの頂点と、消えゆく儚さがほぼ同時に存在する。
  
  ここ近年、私は会場から遠く離れたところから眺めるようにしている。
  「遠花火」を眺める位置が、年ごとに遠くなっている。
  
  かすかな音と共に、
  遠くの夜空に消えていく花火を眺めるのも、いいもんだと自負しながら
  夏の一夜を過ごしている。
  
  遠花火 人生を想う
  〇 あれやこれ過ぎし日のこと遠花火 …… 池下よし子

  〇 これからの生き方問はれ遠花火  …… 稲嶺法子
  
  〇 悔いなしと言へぬ半生遠花火   …… 久保田雪枝
  
  〇 遠花火記憶の端をつなぎけり   …… 佐久間由子

  遠花火 逝きて帰らぬ人を想う
  〇 遠花火今宵は逝きし人のこと   …… 中島昌子
  
  〇 母逝きし日の静かなる遠花火   …… 松田明子
 
  〇 臨終に音一つ無し遠花火     …… 鳳蛮華
  
  〇 遠花火征きて還らぬ人の供華   ……

  遠花火 命の音が聞こえる
  〇 一秒の命を尽くす遠花火     ……蒔元一草

  〇 遠花火心の底に音はじけ     ……高橋美智子

  遠花火 花火に託す恋
  〇 初恋は儚く消えし遠花火     ……茂木とみ
  〇 握る手を握り返せず遠花火    ……永田 勇
       (2018.8.14記)         (昨日の風 今日の風№89)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする