墜ちたB29 米兵を助けた日本人
③ 8歳の少年が見たものは
「鬼畜米兵」と言われていた米兵のB29が、
「東京から約40㌔北東の茨城県の板橋村に真夜中に火だるまとなっておちてきたB29と
生存兵が憲兵に連行されていく場面を8歳の草間少年が目撃した」ことが調査の動機になったようです。
回想の中で草間氏は次のように語っています。
【…南の夜空に火だるまとなった一機のB29が自分の方に向かってゆっくりと落ちてきたのです。
8歳だった私は、東京大空襲の夜空も怖い思いで見ましたが、このB29墜落の目撃は衝撃的でした】
墜落現場に火柱が立って周囲の山林が大変な火災になりました。
真っ先に駆けつけたのは村の消防団員たちでした。
午前2時15分ごろ副団長の当時35歳の冨山栄さんをリーダーとする消防団員たちは、
墜落したB29と周囲の松林の火災を消し止めるために墜落現場に向かいました。
集まった人々は、棍棒を持ち、猟銃を持ってきた人もいたようです。
それでもなかなか前に進んで行く勇気のある人はいなかったようです。
「今は戦争中だ。戦場もここ同じだ。消防団副団長として俺が行く。
アメリカ人が怖ければついてこなくてもよいぞ」。
そう言われて、集まった人々が後について少しずつ前進しました。
その時には集まった村人は百数十名になっていました。
燃えるB29の尾翼まで近づき見えたものは、
火災の炎に照らされながら蹲(うずくま)っている3人のアメリカ兵でした。
(つづく)
「墜ちたB29」は、「語り継ごう太平洋戦争の記憶」で講演した原稿を加筆、訂正したものです。 |
(2018.8.24記) (語り継ぐ戦争の証言№19)