サケの観察を続けると、次から次と疑問が湧水のように発生します。
河川水温が2℃とか3℃の川に遡上したサケが、二つの川の合流点まで遡上してきました。
一つの川の水温は2℃です。もう一方の川の水温は4℃です。
サケはどちらの川に遡上するのでしょうか?
遡上が続くウヨロ川のサケ(2)野生のサケを守るには…で紹介した
2011/12/16には、ウヨロ川本流の水温は2℃で、イレスナイ川水温は4℃でした。
二つの川の合流点の様子
温度が2℃高く上流にふ化場があるイレスナイ川へ遡上しようとするサケ
どちらへ上ろうか迷っているか、イレスナイ川より2℃低いウヨロ川本流へ向かおうとするサケ
サケはどちらの川にも遡上していました。
イレスナイ川へ遡上したサケ
ウヨロ川本流の上流へ遡上したサケ
脊椎骨数を利用した自然再生産サケの産卵環境推定(水産試験場試験研究は今 No.692)には、
河川水が湧水よりも低下する寒い時期に遡上してくるサケは、従来言われていた通り、
水温がほぼ一定の湧水で産卵しているのではないでしょうか。
と書かれています。
2℃の温度差がある二つの川のどちらにもサケは遡上しました。
ウヨロ川本流に遡上したサケは、
“此処の水は冷たいけれどもう少し上れば暖かい湧水がある”事を知っていたのでしょうか?
今日(2012/01/06)
孵化場の傍を通ったので出てくる水の温度を計りました。
ふ化場水温 4℃ ウヨロ川水温 2℃ でした。
ふ化場の水はウヨロ川の中流域の上部導水管で引いた水と、ポンプでくみ上げた地下水が入っている。
地下水は、酸素を含ませるために曝気をしているので少し温度が低下すると考えられる。
仮に地下水が10℃だとすると、河川水3に対して1の割合で地下水を加えた水を
“生まれた川の水”としてその匂いを覚えると考えられます。
イレスナイ川の水は
①ウヨロ川本流の水 ②ポンプで汲み上げられた地下水 +③ふ化場付近の湧き水 が混ざっています。
ふ化場から放流された稚魚は、上の3種類が混ざった水の匂いを覚えながらウヨロ川本流へと下ります。
さて、
サケは、ウヨロ川本流の水と、イレスナイ川の水を嗅ぎ分ける事ができるのでしょうか?
ウヨロ川本流へ遡上したサケはウヨロ川で生まれ、自分が生まれた場所の水温まで覚えて、
そこへ産卵するために帰ってきたのでしょうか?
イレスナイ川へ遡上したサケは、ふ化場で生まれて
イレスナイ川の匂いを覚えながら海へ下ったサケなのでしょうか?
今日ウヨロ橋の上で見たサケ
ウヨロ橋の下流から飛び立ったオジロワシ