人生の持ち時間

　嬉しくもない誕生日がまたやってきた。

　配偶者は自分の時は知らぬふりをしているくせに、私の時だけは必要以上に盛り上がる。

　以前はボーナスが出た後まで、誕生パーティーを引き延ばして子供達も楽しみにしていたものだ。

　２人だけになったいま、ささやかに売れ残りのボジョレ・ヌーボーで乾杯することにした。

　

　自分の持ち時間は少なくなっている。

　たとえれば水平線のすぐ上あたりでちょっと考え込んで佇む夕日に似た位置にいるのだ。

　行き着く先は分かっているし、撮影できるのもあと少しだ。

　沈む前に、寒くなる前にうちへ帰るとするか。

　「まだ有ると誰もが思う持ち時間」

　意外と、もうとっくにロスタイムに入っていたりして・・・・。

　とりあえず、ハッピーバースディー♪

　
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