(つづき)
先日の産経新聞の記事によると、
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【天神・博多・湾岸地区、新型連節バスで循環 福岡市と西鉄が32年度運行目指す】
福岡市と西日本鉄道は16日、既存のバス2台分をつないだような形状の連節バスを、市中心部と湾岸地区に循環させると発表した。
商業施設が集まる天神、博多と、再開発が進む博多港国際ターミナル(ウォーターフロント地区)を循環する。
新型バスに加え、専用レーン設置も検討する。
平成28年度にテスト運転を始め、32年度の本格運行を目指す。
西鉄が定員130人のスウェーデン製車両を購入する。1台1億円弱という。
バス停は天神▽博多港国際ターミナル▽博多駅など10カ所程度に絞り、市が約3億円で整備する。
28年度に2台を導入し、テスト運行で安全性などを確認する。
32年度には15台態勢とし、10分間隔で運行する。
西鉄によると、利用者に分かりやすいよう、運賃は定額制を軸に検討している。
利用者は年間1万5千~2万人を想定している。
連節バスが走る専用レーンも検討する。
さらに、周辺のバス路線の再編を進め、マイカー用駐車場を整備することで、連節バスの運行をスムーズにし、バス高速輸送システム(BRT)を構築する。
福岡市中心部は慢性的な渋滞が課題となっている。
市などは渋滞を緩和することで、乗降客が九州一多い博多駅と、クルーズ船などが発着し国際会議が多く開催されるウォーターフロント地区、商業地の天神の回遊性を高めようと、新たな交通体系について議論を続けてきた。
この中では、LRT(次世代型路面電車システム)なども挙がっていたが、導入や運行コストが安いBRTに軍配が上がった。
記者会見した高島宗一郎市長は「福岡が九州の成長エンジンであるためには、交通アクセスの整備は欠かせない。3地点を結ぶ渦を、九州の中心にしたい」と述べた。
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…とのこと。
西鉄のサイトにもニュースリリースが出ています。
でもこれって、実現可能なのでしょうか。
まず、“連節バスが走る専用レーンも検討する”とのこと。
「100円循環バス」が2台続けて来る現状を見ていると、専用のレーンがあるのに越したことはなと思う。
ただ、連接バスルートの現状が片側3車線ずつの6車線が標準だとすると、その上下1本ずつを「専用レーン」にした場合、単純に考えても、一般車両や路線バスが走れるスペースは現在の3分の2になってしまうわけで、一般車両と路線バスを現行から3割以上減らすことが求められることになる。
“周辺のバス路線の再編を進め、マイカー用駐車場を整備することで、連節バスの運行をスムーズにし…”と言うのは簡単だが、これを実現するのが難しいのではないだろうか(お金をかければ駐車場は整備できるとしても、「都心の周辺部に車を停めて、連接バスに乗り換えて…」という行動を定着させるのは容易ではなさそう)。
既存の都心部の路線バスも、大がかりな再編や合理化が求められることになるわけだが、「W」や「2←→22」で、都心周辺部でバス路線を分断しておいて、さらに都心の内部でも分断…ということが果たして受け入れられるだろうか、という懸念もある(この春、天神地区の停車バス停が大きく変わったのは、一つの布石だったのかもしれません)。
2年前、天神及び博多駅とウォーターフロント地区を結ぶ直行バスが、社会実験として運行されたときの記事で、
“最終的にどのような交通手段を目指そうとしているのかがいまいち見えてこない。
今回の運行期間中は、国際会議場、マリンメッセ、国際センター、サンパレス等ではイベントが行われるようなので、その来場者が利用するだろうけど、既にウォーターフロント地区への路線バスが多く運行されている現状で、イベントがない日にも毎日直行バスを運行したとしても採算は見込めそうにない。”
と書いたのだが、これがその「最終形」ということだろうか。
今回のルートも、ウォーターフロント地区を無理に組み込んでいるような感があり、いろんな政策的意図がありそうな気もする。
「オープントップバス」と同じく、ニュースになり易くて目立つ施策であり、シティセールスという観点からは一定の効果はあると思われ、その全てを否定するつもりはない。
ただ、その一方で、「橋本駅循環ミニバス」や「美和台コミュニティバス」のような“目立たなくても必要としている人が居る”ような施策にも目を向けてほしいと思う(費用は後者のほうが断然安いわけだし)。
連接バスのルート(博多駅~住吉~天神~市民会館前~ウォーターフロント地区から呉服町~祇園町~博多駅)は、かつて市内電車の代替路線「85番」の派生系統として一時期走っていた「87番」のルートとほぼ同じとなる。
このルートを見ていると、市内電車を廃止してしまったことへの反省というか総括というか、そういう視点は必要ないのか?とも少し思う。
市長は代々変わっていくわけだが、交通行政としては継続性も求められると思うのですが。
(つづく)
先日の産経新聞の記事によると、
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【天神・博多・湾岸地区、新型連節バスで循環 福岡市と西鉄が32年度運行目指す】
福岡市と西日本鉄道は16日、既存のバス2台分をつないだような形状の連節バスを、市中心部と湾岸地区に循環させると発表した。
商業施設が集まる天神、博多と、再開発が進む博多港国際ターミナル(ウォーターフロント地区)を循環する。
新型バスに加え、専用レーン設置も検討する。
平成28年度にテスト運転を始め、32年度の本格運行を目指す。
西鉄が定員130人のスウェーデン製車両を購入する。1台1億円弱という。
バス停は天神▽博多港国際ターミナル▽博多駅など10カ所程度に絞り、市が約3億円で整備する。
28年度に2台を導入し、テスト運行で安全性などを確認する。
32年度には15台態勢とし、10分間隔で運行する。
西鉄によると、利用者に分かりやすいよう、運賃は定額制を軸に検討している。
利用者は年間1万5千~2万人を想定している。
連節バスが走る専用レーンも検討する。
さらに、周辺のバス路線の再編を進め、マイカー用駐車場を整備することで、連節バスの運行をスムーズにし、バス高速輸送システム(BRT)を構築する。
福岡市中心部は慢性的な渋滞が課題となっている。
市などは渋滞を緩和することで、乗降客が九州一多い博多駅と、クルーズ船などが発着し国際会議が多く開催されるウォーターフロント地区、商業地の天神の回遊性を高めようと、新たな交通体系について議論を続けてきた。
この中では、LRT(次世代型路面電車システム)なども挙がっていたが、導入や運行コストが安いBRTに軍配が上がった。
記者会見した高島宗一郎市長は「福岡が九州の成長エンジンであるためには、交通アクセスの整備は欠かせない。3地点を結ぶ渦を、九州の中心にしたい」と述べた。
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…とのこと。
西鉄のサイトにもニュースリリースが出ています。
でもこれって、実現可能なのでしょうか。
まず、“連節バスが走る専用レーンも検討する”とのこと。
「100円循環バス」が2台続けて来る現状を見ていると、専用のレーンがあるのに越したことはなと思う。
ただ、連接バスルートの現状が片側3車線ずつの6車線が標準だとすると、その上下1本ずつを「専用レーン」にした場合、単純に考えても、一般車両や路線バスが走れるスペースは現在の3分の2になってしまうわけで、一般車両と路線バスを現行から3割以上減らすことが求められることになる。
“周辺のバス路線の再編を進め、マイカー用駐車場を整備することで、連節バスの運行をスムーズにし…”と言うのは簡単だが、これを実現するのが難しいのではないだろうか(お金をかければ駐車場は整備できるとしても、「都心の周辺部に車を停めて、連接バスに乗り換えて…」という行動を定着させるのは容易ではなさそう)。
既存の都心部の路線バスも、大がかりな再編や合理化が求められることになるわけだが、「W」や「2←→22」で、都心周辺部でバス路線を分断しておいて、さらに都心の内部でも分断…ということが果たして受け入れられるだろうか、という懸念もある(この春、天神地区の停車バス停が大きく変わったのは、一つの布石だったのかもしれません)。
2年前、天神及び博多駅とウォーターフロント地区を結ぶ直行バスが、社会実験として運行されたときの記事で、
“最終的にどのような交通手段を目指そうとしているのかがいまいち見えてこない。
今回の運行期間中は、国際会議場、マリンメッセ、国際センター、サンパレス等ではイベントが行われるようなので、その来場者が利用するだろうけど、既にウォーターフロント地区への路線バスが多く運行されている現状で、イベントがない日にも毎日直行バスを運行したとしても採算は見込めそうにない。”
と書いたのだが、これがその「最終形」ということだろうか。
今回のルートも、ウォーターフロント地区を無理に組み込んでいるような感があり、いろんな政策的意図がありそうな気もする。
「オープントップバス」と同じく、ニュースになり易くて目立つ施策であり、シティセールスという観点からは一定の効果はあると思われ、その全てを否定するつもりはない。
ただ、その一方で、「橋本駅循環ミニバス」や「美和台コミュニティバス」のような“目立たなくても必要としている人が居る”ような施策にも目を向けてほしいと思う(費用は後者のほうが断然安いわけだし)。
連接バスのルート(博多駅~住吉~天神~市民会館前~ウォーターフロント地区から呉服町~祇園町~博多駅)は、かつて市内電車の代替路線「85番」の派生系統として一時期走っていた「87番」のルートとほぼ同じとなる。
このルートを見ていると、市内電車を廃止してしまったことへの反省というか総括というか、そういう視点は必要ないのか?とも少し思う。
市長は代々変わっていくわけだが、交通行政としては継続性も求められると思うのですが。
(つづく)