スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

マイナビ女子オープン&第一部定理二五

2013-04-18 18:50:10 | 将棋
 16日に郡山市で指された第6期マイナビ女子オープン五番勝負第二局。
 上田初美女王が居飛車を明示すると里見香奈女流名人も飛車先を伸ばし,横歩取りに。後手が8二まで飛車を引き,中央からの盛り上がりを目指すという珍しい作戦を選択。その後,かなり早い段階で差がついたように思えました。
                         
 ここで先手は▲3五歩。後手は△4四角と取りにいきました。歩得を維持したい先手は▲3六飛。対して△2三銀から駒を足して狙いにいったのがきっといい着想だったのだと思います。飛車の横効きを通す▲7五歩に△2四銀の進出。▲8六飛のぶっつけには△8五歩で飛車交換を避けておき,▲2六飛に△2三歩で飛車の侵入も阻止。▲6六飛と回ったのはいかにも苦しげな手で,△3五銀と歩損の解消に成功しました。
                         
 後手の銀が2枚とも中央まで出ているのに対して先手の駒は明らかに出遅れ。つまり手損の上に歩得もなくなって,これは先手の作戦失敗といっていいように思います。もちろん勝負が決するような差ではないでしょうし,これを後手が全面的に生かせたというわけでもなかったようです。ただこの後,飛車も5筋に回った後手が中央から手厚く抑え込み,先手の最後の反撃を冷静に交わして勝っていますから,一局を通していうなら,後手の快勝だったと思います。
 里見名人が連勝で五つ目のタイトルに王手。後手番での勝利は大きいのではないでしょうか。第三局は来月1日です。

 スピノザによる第一部定理二六証明の概要はおおよそこの通りです。ただ,より確実を期すために,ひとつだけ補足をしておきます。
 スピノザは①と②から③が帰結するという訴訟過程においては,第一部定理一六と,第一部定理二五の援用というのを行っています。このことは,僕の今回の考察の主旨である,スピノザの哲学においてある事物が積極的であるといわれる場合に,そのことをどのように解するべきであるのかということとは直接的には関係してきません。ただ,僕の目論見としては,この証明の中で積極的ということばが用いられているという点に注目することにより,そのことの意味を解していくつもりなのです。よって第一部定理二六証明に関しては,その主旨とは無関係な部分に関しても,さしあたってその論理構成というものを十全に把握しておかなければなりません。つまり主旨からすればこれは明らかに迂回となるのですが,積極的ということばが用いられている文脈を十全に理解できていなければ,積極的ということの意味を十全に把握することも不可能ですから,この迂回は積極的といわれることの理解にとっては不可欠であるということになります。
 また,『エチカ』の定理の配置には,スピノザによる配置の意図というものがあるというのが僕の考え方です。そしてここでの場合,第一部定理二六証明に際してその直前に配置された第一部定理二五の援用が行われているという観点からして,とりわけこの第一部定理二五を確認しておくという作業が必須であると考えます。
 「神は物の存在の起成原因であるばかりでなく,また物の本質の起成原因でもある」。
 たびたびいっているように,僕は『エチカ』ないしはスピノザの哲学の本質essentiaと本性naturaは区別しません。したがってこのブログの表現では,神はものの本性の起成原因であるということが,この定理で表明されていることだと解釈することになります。また,ここでは起成原因causa efficiensといわれているわけですが,スピノザが単に原因causaという場合,それは起成原因という意味であると僕は解します。
コメント
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