スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

棋聖戦&物への決定

2013-07-17 19:22:43 | 将棋
 新潟市での対局になった第84期棋聖戦五番勝負第四局。
 渡辺明竜王の先手で羽生善治棋聖が横歩取りに誘導。△8四飛,△5二王,△5一金,△6二銀の構えで,構える前に9筋の位取り。先手は中住い。並べた限りでは,かなり早い段階で差がついたのではないかと思えました。
                         
 ここで先手は▲2八飛。この手は僕にはよく分かりませんが,何かを警戒したものでしょう。後手は△2五歩と抑えました。そこで▲6八玉と寄っていますが,これは明らかな手損で,このように指さなければならない局面であるとしたら,すでに作戦負けになっているのではないかと思えました。ここから△1四歩▲4六歩△1五歩と後手は1筋を伸ばしていき,▲3六銀にいきなり△1六歩と仕掛けました。▲同歩△1七歩▲同香に△1九角と打ち,▲2七飛△4六角成。
                         
 歩切れを解消して馬を作れましたので,仕掛けは成功しているのではないかと思います。勝負が決するような局面ではありませんが,この後は先手にはチャンスらしいチャンスすらなかったように感じます。
                         
 3勝1敗で羽生棋聖が防衛79期に奪取し,80期,81期,82期,83期,今期と防衛を重ねて六連覇。通算では12期目の棋聖位となります。

 決定の原因たり得るものというのは,あくまでもそうであることが可能なものという意味なのであって,それが決定の原因であるとまではいえません。引き続き,これら原因であり得るもの,すなわち,神そして神の属性,直接無限様態,間接無限様態のうち,決定の原因であるものは何かということを考察していきます。ただし,得なければならない結論は,これらのうちあるものが,単に決定の原因であるというだけでは十分ではないという点に注意しなければなりません。考察の対象となっているのは,第一部定理二六でいわれている決定なのですから,この定理で決定といわれる意味において,決定の原因であるものを結論として引き出さなければならないのです。
 第一部定理二六は,物が作用に決定されるということについての言及です。つまり物に対して決定の原因であるものは何かということが考えられなければなりません。しかし,物というのはきわめて抽象的な名詞なのであって,これが具体的に何を意味するのかということが分からないと,結論を引き出すことはできません。もちろん,ここで物といわれているものが何であるのかということを特定することはおそらく不可能です。というか,それが特定され得る,たとえばXといい得るのであれば,そもそもスピノザ自身,物などという抽象名詞は用いずに,Xといったであろうと理解するのが自然だからです。むしろスピノザがここで物ということばを用いているのは,おそらくそれはXであるとは特定することができないようなものについて言及したかったからだと理解するのが妥当であろうと思います。したがって,ここで物といわれているものが何であるのかということを考えていくのではなく,少なくともどのようなものがここでいわれている物の範疇に含まれていなければならないのかを考えていくことになります。
 定理の継続性ということからいえば,この直前のふたつの定理においても,抽象名詞である物ということばをスピノザは用いています。まず第一部定理二四では,ある種の物の本性には存在は含まれないといわれています。そして第一部定理二五では,物の本性の起成原因は神だといわれています。 
コメント
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