○都立産業技術センターの見学会に行ってみた。(久々にネタ帳。)
お台場のテレコムセンターの向かいにある都産技研「本部」に行ったんですが、最初入口がわからなくて建物の周りをグルッと一周してしまいましたが、ゆりかもめ「テレコムセンター前駅」から見て反対側に正面入口がありました。
都立産業技術センター:http://www.iri-tokyo.jp/
今回の見学会では、
○システムデザインセクターの造形室 3F
○実証試験セクター 2F
○第一金属材料加工室 1F
○高電圧実験室 1F
の4ヵ所を案内してもらいました。
○
先ず案内されたのはシステムデザインセクターの造形室、
ASPECT社製(国産)造形出力装置が2台配備され、大型汎用機の最大造形サイズは50cm角、中型機の最大造形サイズは30cm角まで可能とのこと。造形出力可能な色は変更に手間がかかり過ぎるために大型機が白専用、中型機が黒専用として使っているそうです。黒い樹脂はカーボン繊維が混入されたグレードかも知れない。詳細スペックはASPECT社のサイトが参考になると思います。
ASPECT http://www.aspect-rp.co.jp/
所員の方の説明によると、中型機の方は積層ピッチが極端に小さくすることが出来るASPECT社との共同開発した特注品だそうで、今のところ世界に一台しか存在しないとのこと。デジモデさんが使っている高精細機のように積層パタンが見えないというわけではなく、ナイロン粉末をレーザーで溶かして固める方式なので表面のテクスチャーがどうしてもザラザラしてしまうために模型とか意匠造形には適さないかも知れないけど、強度や靭性があるので複雑な形状の樹脂部品を一品物で作りたい時には良さそうです。
立体造形機は他にも何種類かあるそうで、色つきで立体出力出来るインクジェットタイプもあるらしい。
中小企業の場合は何割か助成金が出るので、割引価格で出力してくれるそうで。民間の造形出力サービスよりも割安で使えそうです。掃除機のボディが一個\70,000-程度で作れるとのことでした。素となるCADデータはSTLファイルなら大抵使えるとのこと。
最近では民間でも造形出力サービスが充実してきたけど、一般人にとってはCADデータの作成がネックになっているのではないだろうか。PixivとかcgといったサイトにCADで作成したデータをレンダリングしたり造形出力したりしているクリエーターもいるので、頼ると安価にやってくれるケースもあるかも知れない。
○
次に案内されたのが実証試験セクターで、主に恒温恒湿槽がズラリと並んで加熱や冷却による製品や部品の温度差に対する耐久試験に用いることが出来るんだそうです。最も大きな恒温恒湿「室」では、6畳程の広さがあるそうで、人が入ったままで寝袋や防寒具の試験にも用いられることもあるそうです。中からも開けられるようになっているんでしょうか、開かなかったら恐いですね。でも大型冷蔵庫7時間\14,000-って高いのか安いのか、防寒具類の試験に使うには微妙な気もしますが、大型冷蔵庫を試験に使わせてくれる施設っていうのも他になさそうなので、妥当なのかも知れないな。
他にも振動試験器や落下衝撃試験器、雷サージ試験器など様々な試験をする機器があるそうです。
恒温恒湿槽や冷熱衝撃試験機の詳細はESPECのサイトを直接参照すると良いかもです。ESPEC http://www.espec.co.jp/
機器利用に際して取り扱い方法を所員さんに教えてもらうのは別料金なので、予め機器の取り扱い操作方法をサイト上に掲載して予習出来るようにしておいてもらうと利用時間短縮にもなって良いんじゃないかと思うんだけどな。
○
一階にある金属材料加工室に案内されると、真新しい施設の中で老舗の町工場にあるようなアンティークなフライス盤が置いてあって、何だか不思議な感じがしました。巨大重量機器類は全て一階にあるみたいですね。津波が来たら全部ダメになりそうですが。
実際には、この加工室での主力はコンピュータ制御加工機で、特殊な超高精度駆動技術を採用しているそうで、ミクロン単位の溝加工をも可能とし、光の波長干渉によって表面をCDのような虹色に光らせることまで可能だそうです。操作コンソールにFANUCのロゴがあったんですが、FANUCのサイトからは見つけられなかった。もしかすると制御装置だけがFANUC製で機械自体は別なのかも知れません。
加工後の研磨加工なしで非球面レンズの金型も作れるとのこと、凄過ぎて嘘みたいな機械です。
一応FANUCへのリンク:http://www.fanuc.co.jp/
◇追記:ファナックのサイトを良く探したら、「ロボナノ」っていうのがありました。
http://www.fanuc.co.jp/ja/product/robonano/index.htm
見学会全体のスケジュール時間が1時間しかないので、古いフライス盤の写真を撮影出来なかったのがちょっと心残り。
○
最後は高電圧実験室に案内され、2階分(普通の建物とは1フロア分の高さもある)の吹き抜けになっている天井の高い部屋に、所狭しと並べられた巨大実験装置が幾つも並んでおり、見た目だけでも充分迫力があります。
サイトの写真だと大きさがつかみずらいんだけど、見上げる程の巨大装置ばかりです。
Fig:
広角35㎜では画面に収まりません。
今回は模擬落雷実験装置を用いた落雷実験も実際に体験させてもらいました。おいらは怖かったので耳を塞いでいたんですけど、爆薬を破裂させたような爆音が実験室に響き渡り迫力満点でした。この模擬落雷実験装置自体がアトラクションとして成立するんじゃないかと思うんですけど、施設規模が大き過ぎて採算性が悪すぎるかも知れませんね。省エネでもないですし。
模擬落雷が発する電磁波ではデジカメなどの電子機器が壊れたりはしないそうですが、心臓ペースメーカーをインプラントされている方は模擬落雷実験には立ち会わない方が良いとのこと。やっぱりアトラクションには向いてないかな。
◇見学会終了後に常設展示物も見てみました。
一階受付の向かいの展示では、分光測定器を用いて様々な照明器具の波長分布を測定出来るようになっていました。もしかすると自作のライトなどを持ち込みで測定することも出来るかも知れません。
Fig:
LEDや蛍光灯というのは電球に比べて波長分布に激しい偏りがあるので、どうしても食べ物や生花とかがキレイに見えない傾向があります。単色LEDを複数組み合わせて電球のような滑らかな波長分布が再現出来ないのかな。秋月電子通商さんで販売しているLEDを一通り測定してみたいですね。
省エネ・節電支援というサービスもあって、電力計やサーモグラフィ、照度計を用いた検証やアドバイスも平成25年3月29日までなら無料でやってもらえるんだそうです。省エネ対策をしたいけれど資金がない中小零細企業さんには有り難いかも。
今回の見学会では案内されなかったんですが、走査電子顕微鏡や核磁気共鳴分析装置(医療用MRIとは違って有機分子構造の解析が可能らしい。)、X線CTスキャナーなども利用出来るんだそうで、さすがに核磁気共鳴分析装置の利用料は数万円単位ですが、走査電子顕微鏡での写真撮影なら1枚\3550-(中小企業の場合は\2760-)から利用出来たりするので、アイデア次第では面白いことも出来そうです。
もしかするとEテレ2355で使ったX線CT画像も、ここを利用したのかも知れない。工業系企業に限らず広告とか出版デザイン関連の企業でも応用利用すると面白いかも。
その他、ハイスピードカメラが1時間\2,200-とか、2㎜厚A4判のアクリル板レーザー加工一枚\960-とか、旋盤1時間\330-とか卓上ボール盤1時間\60-(*旋盤とボール盤は城東支所)なんていうサービスもありました。中小企業と個人では利用料金が異なるのでご注意。
そういえば施設で配備している機器の詳細はサイト上ではほとんど触れられていないので、具体的にどういったことが出来るのかがわかりずらいんだけど。どうも公的機関であるために特定企業名をサイト上では載せられないというシバリがあるのかも知れない。利用した企業さんがブログなどで詳細を公開してくれると利用しやすくなるんじゃないだろうか。せめてボール盤に何㎜のドリルまで付けられるのかとか、旋盤には何㎜の材料までチャック出来るのかも公開しておいて欲しいところ。そもそも「ボール盤」っていうのが何なのかも説明しておかないと、知識のない人は利用出来ないので、公的機関としては詳細に説明しておいて欲しいところ。ちなみにボール盤っていうのは縦に垂直な穴をあけるドリルのことです。
後日受付でパスを借りて5階にある図書室を利用してみました、開架書籍は企業の研究報告みたいのがいろいろあって個人的には面白かったんですが、それ以外の専門書はあまりなくて、Androidプログラミング本もありませんでした。ロフトにある閉架書庫の蔵書はパソコンで検索して係員さんに出してきてもらうシステムだったんですが、今回は残念ながら検索パソコンの日本語システムが使えなくてダメでしたが、以降は多分修復されていると思います。
施設利用者であれば駐車場や駐輪場も無料で使えるようになっています。ただし営業時間終了後に出口が閉鎖されてしまうので注意。公的な「役所」なので5時には終了してしまいます。
Ende;
お台場のテレコムセンターの向かいにある都産技研「本部」に行ったんですが、最初入口がわからなくて建物の周りをグルッと一周してしまいましたが、ゆりかもめ「テレコムセンター前駅」から見て反対側に正面入口がありました。
都立産業技術センター:http://www.iri-tokyo.jp/
今回の見学会では、
○システムデザインセクターの造形室 3F
○実証試験セクター 2F
○第一金属材料加工室 1F
○高電圧実験室 1F
の4ヵ所を案内してもらいました。
○
先ず案内されたのはシステムデザインセクターの造形室、
ASPECT社製(国産)造形出力装置が2台配備され、大型汎用機の最大造形サイズは50cm角、中型機の最大造形サイズは30cm角まで可能とのこと。造形出力可能な色は変更に手間がかかり過ぎるために大型機が白専用、中型機が黒専用として使っているそうです。黒い樹脂はカーボン繊維が混入されたグレードかも知れない。詳細スペックはASPECT社のサイトが参考になると思います。
ASPECT http://www.aspect-rp.co.jp/
所員の方の説明によると、中型機の方は積層ピッチが極端に小さくすることが出来るASPECT社との共同開発した特注品だそうで、今のところ世界に一台しか存在しないとのこと。デジモデさんが使っている高精細機のように積層パタンが見えないというわけではなく、ナイロン粉末をレーザーで溶かして固める方式なので表面のテクスチャーがどうしてもザラザラしてしまうために模型とか意匠造形には適さないかも知れないけど、強度や靭性があるので複雑な形状の樹脂部品を一品物で作りたい時には良さそうです。
立体造形機は他にも何種類かあるそうで、色つきで立体出力出来るインクジェットタイプもあるらしい。
中小企業の場合は何割か助成金が出るので、割引価格で出力してくれるそうで。民間の造形出力サービスよりも割安で使えそうです。掃除機のボディが一個\70,000-程度で作れるとのことでした。素となるCADデータはSTLファイルなら大抵使えるとのこと。
最近では民間でも造形出力サービスが充実してきたけど、一般人にとってはCADデータの作成がネックになっているのではないだろうか。PixivとかcgといったサイトにCADで作成したデータをレンダリングしたり造形出力したりしているクリエーターもいるので、頼ると安価にやってくれるケースもあるかも知れない。
○
次に案内されたのが実証試験セクターで、主に恒温恒湿槽がズラリと並んで加熱や冷却による製品や部品の温度差に対する耐久試験に用いることが出来るんだそうです。最も大きな恒温恒湿「室」では、6畳程の広さがあるそうで、人が入ったままで寝袋や防寒具の試験にも用いられることもあるそうです。中からも開けられるようになっているんでしょうか、開かなかったら恐いですね。でも大型冷蔵庫7時間\14,000-って高いのか安いのか、防寒具類の試験に使うには微妙な気もしますが、大型冷蔵庫を試験に使わせてくれる施設っていうのも他になさそうなので、妥当なのかも知れないな。
他にも振動試験器や落下衝撃試験器、雷サージ試験器など様々な試験をする機器があるそうです。
恒温恒湿槽や冷熱衝撃試験機の詳細はESPECのサイトを直接参照すると良いかもです。ESPEC http://www.espec.co.jp/
機器利用に際して取り扱い方法を所員さんに教えてもらうのは別料金なので、予め機器の取り扱い操作方法をサイト上に掲載して予習出来るようにしておいてもらうと利用時間短縮にもなって良いんじゃないかと思うんだけどな。
○
一階にある金属材料加工室に案内されると、真新しい施設の中で老舗の町工場にあるようなアンティークなフライス盤が置いてあって、何だか不思議な感じがしました。巨大重量機器類は全て一階にあるみたいですね。津波が来たら全部ダメになりそうですが。
実際には、この加工室での主力はコンピュータ制御加工機で、特殊な超高精度駆動技術を採用しているそうで、ミクロン単位の溝加工をも可能とし、光の波長干渉によって表面をCDのような虹色に光らせることまで可能だそうです。操作コンソールにFANUCのロゴがあったんですが、FANUCのサイトからは見つけられなかった。もしかすると制御装置だけがFANUC製で機械自体は別なのかも知れません。
加工後の研磨加工なしで非球面レンズの金型も作れるとのこと、凄過ぎて嘘みたいな機械です。
一応FANUCへのリンク:http://www.fanuc.co.jp/
◇追記:ファナックのサイトを良く探したら、「ロボナノ」っていうのがありました。
http://www.fanuc.co.jp/ja/product/robonano/index.htm
見学会全体のスケジュール時間が1時間しかないので、古いフライス盤の写真を撮影出来なかったのがちょっと心残り。
○
最後は高電圧実験室に案内され、2階分(普通の建物とは1フロア分の高さもある)の吹き抜けになっている天井の高い部屋に、所狭しと並べられた巨大実験装置が幾つも並んでおり、見た目だけでも充分迫力があります。
サイトの写真だと大きさがつかみずらいんだけど、見上げる程の巨大装置ばかりです。
Fig:
広角35㎜では画面に収まりません。
今回は模擬落雷実験装置を用いた落雷実験も実際に体験させてもらいました。おいらは怖かったので耳を塞いでいたんですけど、爆薬を破裂させたような爆音が実験室に響き渡り迫力満点でした。この模擬落雷実験装置自体がアトラクションとして成立するんじゃないかと思うんですけど、施設規模が大き過ぎて採算性が悪すぎるかも知れませんね。省エネでもないですし。
模擬落雷が発する電磁波ではデジカメなどの電子機器が壊れたりはしないそうですが、心臓ペースメーカーをインプラントされている方は模擬落雷実験には立ち会わない方が良いとのこと。やっぱりアトラクションには向いてないかな。
◇見学会終了後に常設展示物も見てみました。
一階受付の向かいの展示では、分光測定器を用いて様々な照明器具の波長分布を測定出来るようになっていました。もしかすると自作のライトなどを持ち込みで測定することも出来るかも知れません。
Fig:
LEDや蛍光灯というのは電球に比べて波長分布に激しい偏りがあるので、どうしても食べ物や生花とかがキレイに見えない傾向があります。単色LEDを複数組み合わせて電球のような滑らかな波長分布が再現出来ないのかな。秋月電子通商さんで販売しているLEDを一通り測定してみたいですね。
省エネ・節電支援というサービスもあって、電力計やサーモグラフィ、照度計を用いた検証やアドバイスも平成25年3月29日までなら無料でやってもらえるんだそうです。省エネ対策をしたいけれど資金がない中小零細企業さんには有り難いかも。
今回の見学会では案内されなかったんですが、走査電子顕微鏡や核磁気共鳴分析装置(医療用MRIとは違って有機分子構造の解析が可能らしい。)、X線CTスキャナーなども利用出来るんだそうで、さすがに核磁気共鳴分析装置の利用料は数万円単位ですが、走査電子顕微鏡での写真撮影なら1枚\3550-(中小企業の場合は\2760-)から利用出来たりするので、アイデア次第では面白いことも出来そうです。
もしかするとEテレ2355で使ったX線CT画像も、ここを利用したのかも知れない。工業系企業に限らず広告とか出版デザイン関連の企業でも応用利用すると面白いかも。
その他、ハイスピードカメラが1時間\2,200-とか、2㎜厚A4判のアクリル板レーザー加工一枚\960-とか、旋盤1時間\330-とか卓上ボール盤1時間\60-(*旋盤とボール盤は城東支所)なんていうサービスもありました。中小企業と個人では利用料金が異なるのでご注意。
そういえば施設で配備している機器の詳細はサイト上ではほとんど触れられていないので、具体的にどういったことが出来るのかがわかりずらいんだけど。どうも公的機関であるために特定企業名をサイト上では載せられないというシバリがあるのかも知れない。利用した企業さんがブログなどで詳細を公開してくれると利用しやすくなるんじゃないだろうか。せめてボール盤に何㎜のドリルまで付けられるのかとか、旋盤には何㎜の材料までチャック出来るのかも公開しておいて欲しいところ。そもそも「ボール盤」っていうのが何なのかも説明しておかないと、知識のない人は利用出来ないので、公的機関としては詳細に説明しておいて欲しいところ。ちなみにボール盤っていうのは縦に垂直な穴をあけるドリルのことです。
後日受付でパスを借りて5階にある図書室を利用してみました、開架書籍は企業の研究報告みたいのがいろいろあって個人的には面白かったんですが、それ以外の専門書はあまりなくて、Androidプログラミング本もありませんでした。ロフトにある閉架書庫の蔵書はパソコンで検索して係員さんに出してきてもらうシステムだったんですが、今回は残念ながら検索パソコンの日本語システムが使えなくてダメでしたが、以降は多分修復されていると思います。
施設利用者であれば駐車場や駐輪場も無料で使えるようになっています。ただし営業時間終了後に出口が閉鎖されてしまうので注意。公的な「役所」なので5時には終了してしまいます。
Ende;