旅にしあれば

人生の長い旅、お気に入りの歌でも口ずさみながら、
気ままに歩くとしましょうか…

残像

2008-07-21 21:35:48 | 老人のつぶやき


朝、駅に向かう時間、昨日の今頃は糠平湖でタウシュベツ橋を見ていたはずだ。
すっかり古びて錆び錆びになってあまり使われなくなったけど、あれはただの鉄橋。

ホームの階段、まだ疲れが抜けきらない足を引きずるように上る。
五色の水場を越えた急坂、年々土がえぐれ歩きにくくなる一方。
こちらの体力も衰えるばかりで、重い荷物を背負って登るのがつらい。
今朝は荷が軽いはず、足取りが一層鈍いのは、職場へ向かう気分が重いから。

車窓から遠くに見えた山影は、化雲岳から見た表大雪か? まさかね。
たいしていい眺めじゃないけど、真冬にはたまに雪化粧する和泉山脈。

夕方6時半、ひびきちゃんが階段を上ってくる足音が聞こえる。
「お食事の用意ができました!」
今夜は洋食の日。食前酒のワイン&サッポロ・クラシックで乾杯!
明日の天気はどうだろう? どこの山へ登ろうか?
悪ければ悪いで「グルメ&温泉ツアー」もそれはそれなりに楽しい。
でも、残念ながら君の明日の予定は決まっている、「お仕事」。
選択肢はないんだ。


残像が残っているうちに、はやく実像を見に行かなきゃ。
ここでの生活のすべてが虚像なんだとそろそろ気づいてよ。
熊と間違えそうな課長の顔に「撃退スプレー」を吹きかける前にさ…


♪ 何がそんなに悲しくて 憎みあったというのか
   今となっては訳なんて どうでもいいんだ
   寒いプールで溺れかけて 死んでゆくんだと思った
   水面の光だけが 目に焼き付いてる
  
   長い長い夜の闇の中で 絶望の影に怯える
   眠れない苦しさを 分け合いたいんだ
   溶けだした雪が 土の中にしみ込んでいくように
   君の心を少しずつ解りたいだけ
 
   いったい君はどこから 生まれてきたの
   いったい君はどこまで ゆくつもりなの
   愛してるよ 勘違いかな
   形のない温もりを 抱きしめている



   (残像/詩:天野滋)


*昨日今日と赤みを帯びた丸い月が東の空低く昇る和歌山の夜空。
  北にいる間にちょうど満月を迎えたのに、 見えなかったのが心残りです。

コメント
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