朝、駅に向かう時間、昨日の今頃は糠平湖でタウシュベツ橋を見ていたはずだ。
すっかり古びて錆び錆びになってあまり使われなくなったけど、あれはただの鉄橋。
ホームの階段、まだ疲れが抜けきらない足を引きずるように上る。
五色の水場を越えた急坂、年々土がえぐれ歩きにくくなる一方。
こちらの体力も衰えるばかりで、重い荷物を背負って登るのがつらい。
今朝は荷が軽いはず、足取りが一層鈍いのは、職場へ向かう気分が重いから。
車窓から遠くに見えた山影は、化雲岳から見た表大雪か? まさかね。
たいしていい眺めじゃないけど、真冬にはたまに雪化粧する和泉山脈。
夕方6時半、ひびきちゃんが階段を上ってくる足音が聞こえる。
「お食事の用意ができました!」
今夜は洋食の日。食前酒のワイン&サッポロ・クラシックで乾杯!
明日の天気はどうだろう? どこの山へ登ろうか?
悪ければ悪いで「グルメ&温泉ツアー」もそれはそれなりに楽しい。
でも、残念ながら君の明日の予定は決まっている、「お仕事」。
選択肢はないんだ。
残像が残っているうちに、はやく実像を見に行かなきゃ。
ここでの生活のすべてが虚像なんだとそろそろ気づいてよ。
熊と間違えそうな課長の顔に「撃退スプレー」を吹きかける前にさ…
♪ 何がそんなに悲しくて 憎みあったというのか
今となっては訳なんて どうでもいいんだ
寒いプールで溺れかけて 死んでゆくんだと思った
水面の光だけが 目に焼き付いてる
長い長い夜の闇の中で 絶望の影に怯える
眠れない苦しさを 分け合いたいんだ
溶けだした雪が 土の中にしみ込んでいくように
君の心を少しずつ解りたいだけ
いったい君はどこから 生まれてきたの
いったい君はどこまで ゆくつもりなの
愛してるよ 勘違いかな
形のない温もりを 抱きしめている
(残像/詩:天野滋)
*昨日今日と赤みを帯びた丸い月が東の空低く昇る和歌山の夜空。
北にいる間にちょうど満月を迎えたのに、 見えなかったのが心残りです。