台風は予想進路を外れることなく一目散に北を目指していて、これをどこでやり過ごすかが課題であったが、
北海洋さんが一夜の宿を快く提供してくださったので、この難題はすぐに解決した。
その上、夕食から翌日の昼ごはんまでご馳走になってしまった、恐縮至極である。しかもほぼすべて彼の
手作り、頭が下がる。私は積極的にできあいのおかずは食べてこなかったので、先のことが思いやられている。
スーパーの惣菜に頼る気がないのならば、料理を覚えねばと前々からわかっていながら、この課題は
先送りしたままなのだ。
夕食はボリュームたっぷりの中華丼と温泉卵とキュウリの和え物と卵&わかめのスープである。
数日間欠落していた生野菜と肉をたらふくいただいた。
朝食は、卵サンドとジャムパンに茄子の中華風和え物と前日のスープの残り。
ジャムは手作りで、素材のイチゴ、それと茄子は、彼の父が家庭菜園でつくったものだ。
昼食はギョウシャにんにくのマヨネーズ和えスパゲティとジャガイモとオニオンのスープ。
ギョウシャにんにくのスパイスが効いて、これが無茶苦茶うまい! 茄子など野菜もたっぷり入って、
お腹いっぱいになった。浅漬けのキュウリも彼の家でとれたものだ。もちろん、ギョウシャにんにくは
山菜取りで得たもので、私からしたら、ハイレベルなワイルドライフである。
ダラダラ長居してすんまへん。避難及び栄養補給完了!
以前なら下山中、日帰り登山者をそこのけそこのけといった風に追い抜いたものであったが、今じゃ落ちぶれ
マッポの手先の不倫騒動、「お急ぎの皆さま、どうぞお先に」である。好天の休日、予想通りたくさんの登山客で
にぎわっていて、赤岳山頂には40人くらいはいたか。
それでも途中から登ってくる人は少なくなって、すれ違いは思ったよりは楽であった。日帰り下山者に紛れ込むように、
私も疲れた体に鞭打って、先に足を進めた。
ナナカマドの紅葉はこの数日でさらに落下速度を早め、第四雪渓はもう終焉。第三は美しかった
面影を残しつつも、やはりピークは過ぎていた。
第三雪渓を下から見上げる。
東峰斜面の紅葉がきれいだ。
奥の平。ややピークは過ぎつつもまだまだ美しい。
そしてやはりこれも予想通り、いまは銀泉台(第一花園)が一番の見頃であった。今年はとにかく状態がよく、
特にナナカマドの赤色が見事で、壁一面まっ赤である。意外にカメラマンが少なかったので、
私も撮ろうかと迷ったが結局一眼レフは出さなかった。この時間では光の加減で赤色が飛んでしまい、
撮影が難しい。やはりここは早朝写したい場所だ。
このブログの12月号の表紙に昨年度の同じ場所の写真が登場する予定だが、苦労して無理やり
望遠レンズで切り取った工夫を痛々しく思われるだろう。今年の条件なら、広角で全面真っ赤な写真が
撮れたに違いない。しかしながらせっかくのこの美しい紅葉も、もったいないことに台風と共に去りぬだろう。
今回はタイミングが合わず残念、また別の機会に持ち越しだ。
9月16日(土) 晴れ時々くもり
この日も未明から緑岳山頂へ出かける。先行した北海洋さんに追いつき、さらにしばらくしてOさん合流。
放射冷却で厳しく冷え込み、霜がすごかった。遠く高根ヶ原稜線で広範囲に白く輝いているのがすべて霜だと
わかり驚いた。あんなのいままで見たことなかった。
草に霜がびっちり。
この朝はトムラウシも見えていたが、薄いベールに包まれているようでくっきりとはいかない。
朝日も平凡。あとはもう、構図などで工夫するしかない。
真っ赤なウラシマツツジに白い霜が付いてきれいだった。
小屋近くのクモイリンドウの名残。これはこれでたたずまいが美しい。
戻ったら、あれだけあったテントのほとんどがすでに撤退済みだった。台風の接近を皆知っているので、連泊者は
おそらくゼロなのだ。
休憩後我々もテント撤収。北海洋さんとは別々の登山口に向け同時に出発。下山時刻に約一時間差がついた。
これがそのまんま体力差なのだ。