旅にしあれば

人生の長い旅、お気に入りの歌でも口ずさみながら、
気ままに歩くとしましょうか…

先の旅で読んだ本~新ハムレット

2023-06-18 19:09:00 | 図書館はどこですか




「新ハムレット/太宰治著」は、前回の旅、北海道春編の帰路、フェリー内で三分の二
ほど読み進め、帰宅後残りを読み終えました。

表題作の中編のほか短編四作を収めた本書は、太宰中期にあたる安定して作品を
生み出していた時期のもので、西洋の古典や歴史をベースにし、新解釈した作品が
収められています。同じような形式では、教科書にも載っている『走れメロス』が
有名で、その発展型、変則バージョン、もっと手が込んでいて読解がやや高難度な
作品群といいましょうか。


         

戯曲形式の『新ハムレット』は、これまで何度も舞台化されているようで、帰宅後
読んだ夕刊記事で、たまたま現在も、再度舞台上演されていることを知りました。
悲しいかな私は不勉強で、このハムレットを含め、元ネタのいずれの古典的名作を読んだ
ことがないので、どのように太宰が再構築し、飛躍させているのか、違いがわからない
のですね。

全5編中、私が特に気に入ったのは『乞食学生』と『待つ』でしょうか。乞食~は
いわゆる「夢オチ」で、やや拍子抜けする結末なのですが、非常にユーモラスな展開、
ありえないような、いや、太宰だったらシャレでやりそうなハチャメチャな場面が
多々あり、引き込まれて読み進められました。待つは極々短い掌編で、それだけに
無駄がいっさい省かれた研ぎ澄まされた文章に、人生の真理を突きつけられます。
    

コメント
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