この記事はじめ、何度も取り上げている「千秋トンネル」。
秋田市中央部・千秋公園の下をくぐる、1978年12月に開通した長さ189メートルの秋田市道。ジェットファンの撤去、照明のLED化、老朽箇所の補修が行われながら40年を迎えた。
さて、昨年12月中旬。千秋トンネルの歩道部分で、何かの工事中。
手前の筒は「オリオンジェットヒーター」
歩道の車道寄りに細長い箱状のものが設置され、そこを密閉して、温風を送りこんでいる。
のぞくと、中で高さ数十センチほどのコンクリート製の「台」を作っているらしい。トンネル内の道は緩い坂になっているが、台の天面は水平が取られている。
トンネル内で片側につき2つずつ、計4か所、同じものが作られた。両側とも、車道を基準にしてトンネルに入ってすぐのところと、出口の少し手前。
その分、部分的に歩道が狭くなってしまう。広さは十分なのでジャマではないが、この物体を避けようとした自転車が歩行者と交錯してしまう危険はややある。
台だけに上に何かを置いて、それはトンネルや道路のために必要なものではあるのだろうが、具体的に何のための物体か知りたいところ。あっても良さそうな「○○を設置しています」の看板は見当たらない。
やがて、やはり台の上に箱が置かれた。でも、シートに包まれていて正体不明。
現在の状況。
相変わらずシートのまま
シートの下の物体は、高さは均一ではなく、高い部分と低い部分がある。したがって、ロードヒーティングか何かの制御盤のようなボックスではなさそう。
写真では分かりづらいが、台の前後に1本ずつ棒が設置された。
茶色い棒にコードがつながっている
棒の先には、
センサーらしきもの
シートで覆われた物体の前後どちら側のセンサーも、物体から見て外側方向を向いている。
センサー裏側
裏面には「センサー感度調整方法」の説明書き。それによれば、人や車の存在を検知するセンサーのようだ。
注意書き部分には「常に赤LEDが点灯していると薬剤の散布を行わないので注意して下さい。」とある。「薬剤の散布」???
センサーの底部に銘板があった。
「長野工業株式会社」製、「KBS-005」
情報はこれだけ。ちんぷんかんぷんながら、ネットで調べたら分かった。
「KBS-005」はマイクロ波センサーで、同社自身が販売するわけではなく、他社にOEM供給しているらしい。OEM先は、シートの中の物体のメーカー。物体のオプション扱いの「人・車センサー」。
そして、その物体本体は「まきえもん」。
パンフレットより
「まきえもん」とは、株式会社前田製作所の「定置式凍結防止剤散布装置」。長野工業も前田製作所も、長野県の企業。
充電式バッテリーで駆動し、温度やタイマーに応じたタイミングで、凍結防止剤を路面に散布する。センサーが人や車を感知した時は、散布を後回しにする。
スタンダードタイプとコンパクトタイプの2機種があり、コンパクトタイプ DSF020-3Cが、千秋トンネルのシートの下の形状と一致する。(上のパンフレット右上の写真だが、一部カットされている)
そういわれれば、シートのすき間から、ボディカラーの黄緑色が見えていたかな。
道路の雪対策は排雪作業だけでなく、「凍結防止剤(凍結抑制剤)」の散布も行われる。通称「融雪剤」。
専用の散布車とか、人力でまくのが普通だけど、常設の自動散布機があったとは知らなかった。
そういえば、黄緑色の箱をどこかで見たような気もするが、見たとしてもそんな機械だとは思いもしない。
パンフレットでは、(千秋トンネルではない)秋田県内のトンネル内の設置例も載っているから、あるところにはあるようだ。全国的には露天の坂など道路にも設置されている。
千秋トンネルの設置位置とまきえもんの性能からすれば、車道にだけ散布する。散布するタイミングに歩道を人が歩いていても、まきえもんの裏側に当たるので、直接浴びてしまうことはないだろう。
なお、いったん散布動作に入ってしまうと、センサーが感知しても動作を止めることはできないそうだ。
トンネル出入り口は凍結しやすい場所だし、2018年3月2日には、西行き車線で10台がからむスリップ事故があった。それを受けて、まきえもんを導入することにしたのだろうか。
さて、ここ数日の秋田市は、新たな積雪はほとんどないが、気温は比較的低いまま推移している。
その結果、通行量の多い車道はすっかり路面が露出した一方、多くの歩道や生活道路はツルツルテカテカ。今日など、沿道の塀につかまらないと転びそうで歩けない道もあった。
【10日補足】秋田県内陸南部などでは積雪が増加。中でも湯沢市は90センチほどまで増えた。
千秋トンネル手形側入口。右上が明徳小学校
これも昨年のスリップ事故の影響だと思われるが、「路面凍結によりスリップ注意」の立て看板が入口手前に設置された。でも、この時点では車道は乾いていて、入口の情報表示板に「走行注意」は点灯していない。
歩道はトンネル内は乾燥、前後の外はテカテカだけど、写真の南側・手形寄りは、一定の幅で路面が出ている。前も述べたように、近くのおじさんがひとりで一生懸命に除雪または氷割りをしてくれているのだ。おかげで歩きやすい。トンネル内と合わせて、ひと息ついて安心して歩ける数百メートル。
明日は8度で雨になるが、その後もまだ雪は積もって凍ることもあるだろう。
今こそ、一刻も早くまきえもんのシートを外して稼働させる時では?
【9日追記】心霊スポット派のために、まきえもんに凍結抑制剤でなく純粋な塩をセットして散布したら、お清めになっていいかもね。通る車は非常に傷むけど。
※秋田市内にまきえもんのライバルも存在した!
※千秋トンネルのその後。
秋田市中央部・千秋公園の下をくぐる、1978年12月に開通した長さ189メートルの秋田市道。ジェットファンの撤去、照明のLED化、老朽箇所の補修が行われながら40年を迎えた。
昼間なら歩行者も珍しくなく、市民生活に欠かせないトンネルだが、相変わらず「心霊スポット」として扱われているのは不本意。
心霊スポットだと言う人たちは、少なくとも、昼は人も車も通り、LED化されて明るい今の千秋トンネルを知っているのだろうか。ツイッターで自動投稿する「心霊ボット」的なものでも繰り返し投稿されてしまっているようだが、なんとかならないものか。【10日補足】今現在騒ぎ立てている人たちは、「公園周辺なので木が多く人家がない部分もあり、夜は暗くて人が通らない」という当然の事実と、「ナトリウムランプで薄暗く見え、なんとなく怖い」という昔の情報の受け売りだけを根拠にしているように思えてならない。
心霊スポットだと言う人たちは、少なくとも、昼は人も車も通り、LED化されて明るい今の千秋トンネルを知っているのだろうか。ツイッターで自動投稿する「心霊ボット」的なものでも繰り返し投稿されてしまっているようだが、なんとかならないものか。【10日補足】今現在騒ぎ立てている人たちは、「公園周辺なので木が多く人家がない部分もあり、夜は暗くて人が通らない」という当然の事実と、「ナトリウムランプで薄暗く見え、なんとなく怖い」という昔の情報の受け売りだけを根拠にしているように思えてならない。
さて、昨年12月中旬。千秋トンネルの歩道部分で、何かの工事中。
手前の筒は「オリオンジェットヒーター」
歩道の車道寄りに細長い箱状のものが設置され、そこを密閉して、温風を送りこんでいる。
のぞくと、中で高さ数十センチほどのコンクリート製の「台」を作っているらしい。トンネル内の道は緩い坂になっているが、台の天面は水平が取られている。
トンネル内で片側につき2つずつ、計4か所、同じものが作られた。両側とも、車道を基準にしてトンネルに入ってすぐのところと、出口の少し手前。
その分、部分的に歩道が狭くなってしまう。広さは十分なのでジャマではないが、この物体を避けようとした自転車が歩行者と交錯してしまう危険はややある。
台だけに上に何かを置いて、それはトンネルや道路のために必要なものではあるのだろうが、具体的に何のための物体か知りたいところ。あっても良さそうな「○○を設置しています」の看板は見当たらない。
やがて、やはり台の上に箱が置かれた。でも、シートに包まれていて正体不明。
現在の状況。
相変わらずシートのまま
シートの下の物体は、高さは均一ではなく、高い部分と低い部分がある。したがって、ロードヒーティングか何かの制御盤のようなボックスではなさそう。
写真では分かりづらいが、台の前後に1本ずつ棒が設置された。
茶色い棒にコードがつながっている
棒の先には、
センサーらしきもの
シートで覆われた物体の前後どちら側のセンサーも、物体から見て外側方向を向いている。
センサー裏側
裏面には「センサー感度調整方法」の説明書き。それによれば、人や車の存在を検知するセンサーのようだ。
注意書き部分には「常に赤LEDが点灯していると薬剤の散布を行わないので注意して下さい。」とある。「薬剤の散布」???
センサーの底部に銘板があった。
「長野工業株式会社」製、「KBS-005」
情報はこれだけ。ちんぷんかんぷんながら、ネットで調べたら分かった。
「KBS-005」はマイクロ波センサーで、同社自身が販売するわけではなく、他社にOEM供給しているらしい。OEM先は、シートの中の物体のメーカー。物体のオプション扱いの「人・車センサー」。
そして、その物体本体は「まきえもん」。
パンフレットより
「まきえもん」とは、株式会社前田製作所の「定置式凍結防止剤散布装置」。長野工業も前田製作所も、長野県の企業。
充電式バッテリーで駆動し、温度やタイマーに応じたタイミングで、凍結防止剤を路面に散布する。センサーが人や車を感知した時は、散布を後回しにする。
スタンダードタイプとコンパクトタイプの2機種があり、コンパクトタイプ DSF020-3Cが、千秋トンネルのシートの下の形状と一致する。(上のパンフレット右上の写真だが、一部カットされている)
そういわれれば、シートのすき間から、ボディカラーの黄緑色が見えていたかな。
道路の雪対策は排雪作業だけでなく、「凍結防止剤(凍結抑制剤)」の散布も行われる。通称「融雪剤」。
専用の散布車とか、人力でまくのが普通だけど、常設の自動散布機があったとは知らなかった。
そういえば、黄緑色の箱をどこかで見たような気もするが、見たとしてもそんな機械だとは思いもしない。
パンフレットでは、(千秋トンネルではない)秋田県内のトンネル内の設置例も載っているから、あるところにはあるようだ。全国的には露天の坂など道路にも設置されている。
千秋トンネルの設置位置とまきえもんの性能からすれば、車道にだけ散布する。散布するタイミングに歩道を人が歩いていても、まきえもんの裏側に当たるので、直接浴びてしまうことはないだろう。
なお、いったん散布動作に入ってしまうと、センサーが感知しても動作を止めることはできないそうだ。
トンネル出入り口は凍結しやすい場所だし、2018年3月2日には、西行き車線で10台がからむスリップ事故があった。それを受けて、まきえもんを導入することにしたのだろうか。
さて、ここ数日の秋田市は、新たな積雪はほとんどないが、気温は比較的低いまま推移している。
その結果、通行量の多い車道はすっかり路面が露出した一方、多くの歩道や生活道路はツルツルテカテカ。今日など、沿道の塀につかまらないと転びそうで歩けない道もあった。
【10日補足】秋田県内陸南部などでは積雪が増加。中でも湯沢市は90センチほどまで増えた。
千秋トンネル手形側入口。右上が明徳小学校
これも昨年のスリップ事故の影響だと思われるが、「路面凍結によりスリップ注意」の立て看板が入口手前に設置された。でも、この時点では車道は乾いていて、入口の情報表示板に「走行注意」は点灯していない。
歩道はトンネル内は乾燥、前後の外はテカテカだけど、写真の南側・手形寄りは、一定の幅で路面が出ている。前も述べたように、近くのおじさんがひとりで一生懸命に除雪または氷割りをしてくれているのだ。おかげで歩きやすい。トンネル内と合わせて、ひと息ついて安心して歩ける数百メートル。
明日は8度で雨になるが、その後もまだ雪は積もって凍ることもあるだろう。
今こそ、一刻も早くまきえもんのシートを外して稼働させる時では?
【9日追記】心霊スポット派のために、まきえもんに凍結抑制剤でなく純粋な塩をセットして散布したら、お清めになっていいかもね。通る車は非常に傷むけど。
※秋田市内にまきえもんのライバルも存在した!
※千秋トンネルのその後。
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