タカ長のタカの渡り観察

タカが好き、山が好き、花が好き、心はいつも旅もよう。日々移ろいゆく心もようを綴るナチュラリストのつぶやきです。

ハチクマの渡り~春はやっぱり韓国だ

2007年11月19日 | タカの渡り観察
 今年熊本で行われた鳥学会で、私たちタカの渡り観察の愛好家にとって大変興味ある発表がありました。「ハチクマの春秋の渡り衛星追跡ー10羽の成鳥の記録ー」(時田賢一・樋口広芳他)のことです。



 これがネットに公開されているその航跡図です。2007年春の渡りの追跡結果です。少し見難いでしょうが、全体的な動きは把握することが出来ます。以下はこの図を見てのタカ長の個人的な感想です。

 ここに示された7羽が7羽とも韓半島を縦断しているのは、タカ長の予測とは少し外れていました。メインは韓半島を縦断しても、黄海を横断して韓半島に入るハチクマもいるようですから(韓国鳥類研究センターKS研究員・私信)7羽の航跡図を取れば1羽や2羽は黄海上を横断するのではないか、と言う思いがありました。黄海上を横断する個体は想像以上に少ないのかも分かりません。

 タカ長とトビ吉は黄海上の天気とハチクマの日本への飛来数の関係の検証を試みていますが、今のところハッキリとした関係を見出していません。関係があるといえばありそうだし、無いと言えばないようだし、と言う程度の答えしか見つかっていないのは、上記のような追跡結果と符合するのでしょうか?

 韓半島からの飛び出しが南東部に集中しているのは、その先日本に入って東進することを考えると容易に理解できます。しかし、よく見ると韓半島南東部のプサン辺りから一端西方向に渡り、巨済島方面から南東方向へ大きくコースを変えているのもいますが、その理由は私には理解できません。現場での観察経験とはピッタリと符合しているのですが、、、、。

 プサンの太宗台展望所で観察していると、間違いなく西もしくは西南西方法へ渡って行くハチクマ(秋期のハイタカ属の渡りでも同じような傾向が見られる)がいるのです。現場で視認できる距離は限られているので、海上に出てからコースを変える可能性を否定できないでいましたが、この航跡図から巨済島あたりを経由して九州に入っているハチクマがかなりいることが確認されたと言えそうです。

 ともあれハチクマの春の渡りは韓国が面白そうです。プサンや巨済島での観察が面白そうです。過去に私たちの視認による調査の実績もあります。08年春のハチクマの渡りは韓国に注目しましょう。

 とは言ってもそこは外国、気軽にはいけないのですが、、、、