歴歩

歴歩 歴史は歩く。ゆっくりと歩く。それを追いかける。

筑紫野市・堀池遺跡 平安時代9世紀半ば~後半の木炭槨木棺墓と越州窯系青磁の唾壺が見つかる

2012年11月06日 | Weblog
 筑紫野市教委は5日、同市二日市西1の堀池遺跡(ほりいけいせき)で、平安時代9世紀半ば~後半の木炭槨木棺墓(もくたんかくもっかんぼ)と呼ばれる墳墓が見つかり、副葬品として越州窯系青磁の唾壺(だこ)と呼ばれる青磁の壺(高さ9.0cm、口径14.8cm)が国内で初めて完全な形(注1)で出土したと発表した。 平城宮跡(奈良市)と太宰府市で破片が出土しているが、完全な形で見つかったのは初めて。
 青磁の唾壺は木槨の上に置かれたとみられ、遣唐使がもたらしたものが、後世に被葬者の手に伝わった可能性もあるといい、埋葬者は大宰府の有力者で、長官クラスの可能性もあるとしている。
 漆器表面に塗ったとみられる漆の被膜片も出土した。
 墳墓は、大宰府の条坊(街区)の南端から南に500mの地点で発見された。 墓壙は長さ2.6m、幅1.2m、深さ0.8mで、墓の周囲には直径約6mの円形の溝と、一辺が17m、幅2mの方形の溝が二重に巡らされていた。 平安時代としては大規模という。
 埋葬施設は、木棺(長さ1・8m、幅40cm)を木槨(長さ2m、幅80cm)で囲み、湿気を防ぐために外側に大量の木炭を敷き詰める「木炭槨木棺墓」という珍しい構造で、畿内に18例ある以外は、上越市(注1)と太宰府市に継ぐ3例目という。
 木炭槨木棺墓の被葬者には古事記を編纂した太安万侶(おおのやすまろ)などもいる。
 現地説明会が10、11両日の午前10時と午後2時に開かれる。 また、23日(金・祝)午前10時から、市生涯学習センターで特別講演会が開かれる。
[参考:共同通信、西日本新聞、朝日新聞、毎日新聞、RKB毎日放送]

(注1) 朝日新聞に掲載されている出土時の写真を見ると、唾壺上部の唾壺羽が1/4程のところで2つに割れているが、他の写真では接合されて写っているようだ。
(注2) 新保遺跡の柿崎古墓(9世紀後半)

過去の関連ニュース・情報
 越州窯系青磁出土
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする