司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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阪神・淡路大震災に伴う法人の破産宣告及び会社の最低資本金の制限の特例に関する法律

2011-03-24 07:52:49 | 会社法(改正商法等)
阪神・淡路大震災に伴う法人の破産宣告及び会社の最低資本金の制限の特例に関する法律
(平成七年三月二十四日法律第四十二号)
http://law.e-gov.go.jp/haishi/H07HO042.html

 上記特例法は,実効性喪失法令(法務省大臣官房司法法制部が行う法令の編纂において、廃止等の手続きはとられていないが、i)日時の経過、 ii)関係事務の終了、 iii)規律対象の消滅等により、適用される余地がなくなったか、又は合理的に判断して適用されることがほとんどないと認められるに至った法令)に分類されている。

 上記特例法第1条は,実質的に,「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」(平成8年6月14日法律第85号)第5条に承継されているようである。

cf. 平成23年3月14日付「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置」

 阪神・淡路大震災に伴う商業登記分野の特例は,上記特例法第2条による「株式会社及び有限会社の最低資本金の制限に関する経過措置の特例」のみであったので,今般の東北地方太平洋沖地震に伴う特例は,設けられないものと思われる。

 しかし,被災地の市町村を管轄する登記所においては,登記懈怠の場合の過料を当分の間科さない等の運用が望まれる。


 なお,いまは昔,平成2年改正商法により最低資本金制度が導入されたことにより,改正法施行時に既にあった株式会社及び有限会社は,平成8年3月31日までに,最低資本金を満たさなければならないものとされていたが,上記特例法第2条の適用がある会社(平成7年1月17日において大阪府及び兵庫県の区域内に登記された本店が所在していた株式会社及び有限会社)は,平成9年3月31日まで期限が猶予されたものである。この場合における最低資本金未達成会社は,平成9年6月3日に解散したものとみなされた(5月31日が土曜日,6月1日が日曜日であったことによる。)。
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