自身も気をつけていることなのですが
ある範囲の知識を持っていて それに関した検討議論がはじまったとき
つい 曖昧な知識のまま やや 暴走的に発言を拡げてしまうことが
ときに あったりします
『理事会には 執行部としての 裁量権というものがある
総会は管理組合の最高議決機関
だからといって 全ての事項を隅から隅まで決めなければならないということは困難すぎる
執行部の裁量に基づき事をすすめることを委ねる ということも 妥当なことといえる
判例にも 総会議決と執行部裁量など そうしたことに関して述べたものがある
それらのことをふまえて この場は執行部を信頼して 議決成立ということで 収めてもらいたい』
こうした発言があったとして
内容を見ての感想として とても曖昧なものを含んでいそうで 後々 心配 と 感じられると
思わざるを得ない とも言えそうですが・・・
皆さんの感覚では どのようにな解釈に落ち着きそうでしょうか ?
総会で 修繕工事を実施するということが 議案として登場
反対者の 威力ある?発言 により 会場が騒然とした状態となった
執行部の一部の者が なんとか場を収めようと
『 総会で議決されても 必ずしもそれを決行しなければならない
わけではなく 実行してもいいのだ というお墨つきをもらうことにすぎないのです
それなので ここでは 一応 工事承認の議決をさせてほしい 』
このような進行の下での総会終了後 しばらく経って 工事開始となって
反対者は “御墨つきだけだ ナンゾと言っていたのに 騙された” と 反発を強め
妨害行為が始まってしまうかも ? しれません
執行部追及が起こりかねません
理事会の裁量権に関しての判例として <東京地判平成24.3.28> があります
事案の概要は
大規模修繕工事の施工が総会で決まったが 一部組合員の店舗前の共用部分のタイル張替等の工事
は その組合員のそれまでの規約違反に対する扱いなどの諸々の事情から 理事会決定で 留保された
というものでした
総会で決められたことを なぜ 実行しないのだ という主張と損害賠償請求等に対し
裁判所は
《 総会での工事決定とは すべてについて理事会がその実施を義務付けられたというものではなく
執行(実施)する権限が授与されたもの というべきで 実施するにあたって 理事会には
一定の裁量が認められているというべき 》
と判断したのです
要するに 総会決定のことでも すべてについて実行すべき義務を負っているわけでは
ないのだ
実行することはかまわない という許しを得た ということなのだ
という趣旨
と 解されましょう
いずれにせよ
理事会の裁量権とはいえ 総会での工事実施決定を全面的に撤回するような裁量が不当
であることには 異論が無いと考えられます
あくまで 事案によっての 一定の裁量 のことを認めている ということでしょうから
総会は 管理組合における 最高の意思決定機関です
あくまで 一つの判例 事案によって どのような適応となるのかも定まっているわけではありません
持っている知識を 正しく よく調べて
採用するか否か
その知識を適用すべき場面なのか
そのことに気をつけなければいけません
集合体としての 管理組合運営 後に タイヘンなことになり得ます
学習しているから大丈夫 という人ほど その点 十分に注意する必要があると思います
なんとか この総会を収めて 自分の務めを全うしなくては ということで どちらかというと
几帳面すぎるような ? 責任感が強すぎるような ? そうした方にみられるような傾向 ?
特に 新人役員さんに ありがちなのですが 中途半端な にわか理論を持って走ってしまうことが
ありますので そうしたことの関連事例を記してみました
それにしても 〔裁 量 権〕 と 〔一定の 裁 量 権〕 との違い 重いですね
http://toku4812.server-shared.com/