最近、かなり普及してきたポジティブ心理学。
ハーバード大学で先行研究が進んでいる心理学です。
ダニエル・ギルバート博士、タル・ベンシャハー博士、ショーン・エイカー博士などの心理学分野の専門家、そして、同書ではイノベーションのジレンマの著者クレイトン・M・クリステンセン教授、ファイブフォース、競争戦略などで有名なマイケル・ポーター博士も登場します。

ハーバード流 幸せになる技術
悠木そのま著 PHPビジネス新書 870円+税
著者の悠木さんは、ワークスタイルデザイナー。
大学卒業後、商社や銀行シンクタンク等を経て、独立開業。
ポジティブ心理学を中心としたコンサルタント、研修講師をされているようです。
ポジティブ心理学Positive Psychologyは、サイエンス・オブ・ハピネスthe Science of Happinessという学問分野。
精神疾患や病理的な研究からはじまった心理学とは異なり、ポジィティブ心理学は、健常者の心理にスポットをあてたもの。
米国らしい、プラグマティズムを感じさせる研究分野です。
ただ、この学問体系は、実学ということもあり、多少の怪しさもあります。
科学的なフロイト心理学に対して、スピリチュアルなユング心理学が出てきたように、伝統的な心理学から離れ、行動科学的な側面からもアプローチしていくポジティブ心理学・・・さらなる研究が期待されます。
一言で言うと、
「人間って、どういう時に、幸せを感じるの?」
という問いに対する答え探しということだと思います。
◆目次
メソッド1.幸せを導く成功の技術
メソッド2.幸せ増やすお金の技術
メソッド3.ソウルワークと出会うキャリアの技術
メソッド4.幸せな人生を築く目標の技術
メソッド5.幸せを創る行動習慣の技術
同書では、メソッド・・・方法論にこだわっています。
各章には、具体的方法論が散りばめられており、自身でワークすることもできます。
アクティブリスニング、マインドフルネス呼吸法、無作為の親切活動、感謝の日記などなど・・・。
仕事やプライベートで悩みや課題を持たれている方には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
わずか870円と2時間ばかりの時間で、ハピネスを手にすることが出来るかもしれません。
同書でマーカーを引いた部分を紹介させていただきます。
幸せの神話から脱却する
億万長者をめざさない「人生ゲーム」
幸せは成功の結果ではなく、成功に先行する ション・エイカー
富のランニングマシーンから降りる
倹約が幸せをもたらす
たまの楽しみよりも、たくさんの小さな楽しみを味わう
モノより経験にお金を使う
他人のためにお金を使う
本当の可能性は、行動をとおして見出される H.イバーラ
報酬をもらえなくても、やりたいと思えることは何かを考えなさい マイケル・E・ポーター
感謝をすると、ポジティブな人生を味わえるようになる S・リュボミアスキー
ただ、よくよく考えてみれば、ポジティブ心理学には東洋思想的な要素も多々あることに気づきます。
老子の思想、足るを知る、感謝・報恩の精神、もったいないの精神・・・。
西洋思想と東洋思想が、うまく融合しつつあるポジティブ心理学の研究フィールドです。
最後に、同書161ページに掲載されている「メソッド5 幸せを創る行動習慣の技術」より、科学的な根拠のある「幸せ活動」を紹介させていただきます。
S・リュボミアスキーによる「12の行動習慣」
1. 恩恵に感謝し、感謝を伝える
2. 楽観性を養う
3. 考えすぎや社会的比較を避ける
4. 親切な行いを実践する
5. 人間関係を育む
6. ストレスやトラウマへの対処法を身につける
7. 赦すことを学ぶ
8. 夢中になる活動を増やす
9. 人生の歓びをじっくりと味わう
10. 目標達成に打ち込む
11. 精神的または宗教的な活動に関わる
12. 健康に注意をはらう。
日本で一番やさしく書かれたポジティブ心理学の新書・・・お勧めの一冊です。
また、さらに突っ込んで学びたいという方は、次の本をお勧めします。
タル・ベンシャハー博士著

ショーン・エイカー博士著
