能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

「失敗学」畑村教授の最新刊 失敗しても「まあ、いいか」でレジリエンスの力がよみがえります 使える失敗学

2015年01月23日 | 本と雑誌

使える失敗学

畑村洋太郎著 KADOKAWA刊 1400円+税

 

失敗学と言えば、畑村洋太郎東京大学名誉教授。

福島原発の事故調査検証委員会の委員長もつとめられました。

その最新刊が、図解付きで出版されました。見開きで、右ページに解説文書、左側ページに図解があるという親切な構成です。

同書で何回も出てくるのが、「失敗を苦にして人が死ぬことを絶対に防ぐ」ということ。

畑村先生が、日本社会の持つ空気を変えるために打ち出されたシンプルなフレーズ。

本当にそうだと思います。

死んだって何も解決しないのですから・・・その失敗を次に、明日に活かしていく・・・それが世のため、人のためになるのです。

 

この本で、一番おもしろく、心が癒されたのが「失敗に立ち向かえないときに取るべき七つの方法(32~33ページ)」。失敗しても、エネルギーを少しずつ回復させ、自発的に行動するためのコツが記されています。

とても人間的で、しかも畑村先生のお墨付き・・・次の失敗場面では、この7つの順番にやっていこうと思います(笑)。


失敗への「正しい対処」

1.  逃げる

2.  他人のせいにする

3.  おいしいものを食べる

4.  お酒を飲む

5.  眠る

6.  気晴らしをする

7.  グチを言う


ということは、いろいろあった後、「酒飲んで、寝る」というのは、正しい対処ということになります(笑)。

なぜか、失敗学の権威に、背中を押されたようで、何となく嬉しくなります。

 

ちなみに「正しくない対処」は、次のとおりです。

今までの気合いと根性系・・・。

超ストイックです。


1.  逃げない

2.  自分を責める

3.  食事もそこそこ

4.  お酒を飲まない

5.  睡眠を削る

6.  気晴らしをしない

7.  自分でため込む・・・


やせ我慢もスゴイとは思いますが、それが続くとやられます。

やはり、いったん全てを忘れて「酒飲んで寝る」・・・という姿勢が大切だと思います(笑)。

 

目次

ステップ1 失敗に負けない人になる 失敗からの回復

ステップ2 失敗を分析できる人になる 失敗学の基礎

ステップ3 失敗を創造に変える人になる 失敗から創造へ

ステップ4 失敗を活かせるリーダーになる 失敗学応用編

 

同書で興味深かったのが、たくさんの事例。

タコマ橋崩落事件、リバティ船沈没事件、コメット機爆発事件、前田建設事件・・・この本で初めて知った失敗学の事例です。

失敗事例から学べることは、本当に多くのものがあると思います。

 

そして、この本のコアとなるのが、最終章の「失敗を活かせるリーダーになる 失敗学応用編」。

畑村先生の金言が、キラリと光ります。

 

「自分の影(ブロッケン効果)におびえず、変わり続ける」


「魚のいない池から魚のいる湖に向かう大切さ」


「新たな挑戦をするときに覚えておくべき千三つの法則」


「チャンピオンデータは闇夜の灯台になる」


「新規事業は隣接分野でしか成功しない」


「本物のリーダーは失敗から定式化を繰り返す」


「上位概念に上がることで異分野の知識を活用できる」

 

そして、同書の最後には、企業風土を改善するための四つの文化が必要であるということで締めくくられます。

 

企業風土を改善するための四つの文化

1.  自ら意思決定し挑戦する文化

2.  コミュニケーションする文化

3.  マニュアルを磨いていく文化

4.  2.5人称の視点の文化


この四つの文化は、世界最強と言われたニッポン株式会社で持っていた風土、企業文化。

それが、バブル崩壊、リーマンショックなどで次第に消えつつあるように思います。

企業再生も、畑村先生の金言により、もう一度ゼロベースで再構築していく必要があると思います。


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工場法のルールで働く日本のホワイトカラーは生産性を上げられない ホワイトカラーエグゼンプション必要論

2015年01月22日 | マネジメント

名ばかり管理職、残業未払い、月80時間を超える残業による過労死、職場でのパワハラ・・・。

日本の職場は、様々な課題を抱えています。


この苛酷とも言える労働条件から働く人を守るのが、労働法と総称される法律です。

労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法など雇用をベースとした法律群が制定されています。


この労働法の中心となるのが、労働基準法。

年次有給休暇が取れたり、残業代が支払われたり、毎週決まった日に休めたりするのは、この労基法の決めがあるからなのです。

その前提にあるのが、民法第623条以下の「雇用」について定めた条項・・・契約自由の原則、私的自治の原則により基本的には自由に労使で労働条件を定めることが出来るのですが、「何でもアリ」をやれば雇用する側が有利に立つのは一般的には当然です。

働く人の健康や安全を守るために、労基法により民法の規定に縛りをかけているのです。


マンガが大好きな青年がいるとします。

まんが雑誌で有名な漫画家の元に、手弁当でもいい、賃金もいらないから働かせてくれ!という青年の要望を受けて、ただ(無給・無休)で弟子入りということは基本出来ないのです。

1日8時間、週40時間という労働時間の上限があり、賃金も最低賃金法という法律で地域ごとに下限が決められている・・・そして、決まった休みを与え、条件を満たせば有給休暇を与えなければならないのです。


ですが、この労働基準法という法律は、戦後に制定されたもの。

そのおおモトは、大正時代に作られた工場法がベースになったものです。「ああ野麦峠」や「蟹工船」などのプロクタリア文学が発表された頃の過酷な労働がまかり通っていた時代。

子供まで非人間的な環境の中で1日14時間働かせる・・・という大変な時代でした。


そこで、制定された工場法。

労働者を守るための、必要最低限の縛りを付け、雇用サイドの横暴をセープしたのです。

ただ、この労基法の前身とも言える工場法は、あくまで工場を舞台にした規制法。

工員さんが工場の門を入り、制服、安全靴を装着し、ベルトコンベアが動き出す・・・そこから労働時間が算定され、ベルトコンベアが止まると労働が終業・・・となります。

どこからどこまでが労働時間なのか?・・・このあたりは、昔の最高裁である大審院の判例もあり、とても興味深いものがあります。

ただ、この法律をそのままホワイトカラーに当てはめると、かなりのムリが生じることになります。


会社に来て、パソコンを立ち上げキーボードを打つ・・・外出して顧客に営業活動を展開する・・・明日のプレゼンのために企画書を夜遅くまでかって作る・・・直行直帰する・・・お客さんに接待の飲み会をする・・・どこまでが仕事で、どこまでが労働時間なのか結構悩むところです。


工場でさえ、今ではパソコンの画面で現場をオペレーションする仕事が主流になりつつあります。


そんな中、出てきたのが欧米流の「ホワイトカラー・エグゼンプション」というコンセプト。


平たく言うと、労働時間に関係なく仕事内容、成果で賃金を払いましょうという制度。

ヨーロッパや米国では、職務給・・・仕事にお金が付いているため自然に受け入れられる制度なのですが、日本の雇用環境でいうと、少し特殊。

人(年功や能力・・・)にお金が付いている日本では、なかなか受け入れられにくいのです。


労働者側やマスコミからすると、「残業代なし法制」「過労死を増やす制度」などと揶揄しています。

いっぽうの使用者側では、世界で低位にあるニッポンのホワイトカラーの生産性をなんとかしようと躍起になっている・・・というのが現状だと思います。


日本の第三次産業の比率は、67%。

これは経済産業省の十年前の調査なので、今では70%を超えているものと思われます。

米国では、約八割が第三次産業と言われています。

第三次産業のかなりの仕事はホワイトカラー業務。


そうした中、ホワイトカラー労働者を基本に置いた労働法制が必要ではないかと考えています。

もちろん、労働者の健康管理、メンタルヘルス保護というのがセットの話ですが・・・。


厚生労働省では年収1075万円以上の専門職に対して最長10年の有期雇用を認める方針を打ち出し、さらに時間ではなく成果に賃金を払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」を導入予定です。

この年収1075万円というのは、課長級の民間給与で上位の25%の水準にあたるそうです。

労働者全体でいえば5%程度になるのでしょうか?

職種的には、弁護士・税理士・公認会計士といった資格ホルダー、デザイナー・システムエンジニア・金融ディーラー・アナリストなどの専門職としているようです。


今まで、労基法では、ホワイトカラーの増加に伴い、同法第32条を拡張して対応してきました。

変形労働時間やフレックスタイムなどの例外規定の増設・・・しかしながら、働く環境は、はるかに速いスピードで進化しており法律が置いていかれている状況です。


女性や高齢者を含め、もっと柔軟性を持った働き方が出来る社会を作ること、ダイバーシティ社会を構築することは、ニッポンの未来を創ること。

チャレンジしたい人、自分の限界に挑みたい人、天才や尖がった人、キャリア開発したい人たちには相応な舞台を、また、逆に、身体やメンタルなど仕事する上でハンディキャップを持っている人にはフォローやセーフティネットを担保していくことが大切だと思います。


活力ある日本社会にしていく上で、とても大切なルールづくりが求められているのです。


厚労省と労働政策審議会は、ニッポンのホワイトカラー職場の現実、現場をしっかり見つめて議論していただきたいものだと考えています。


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経営の失敗学 経営は成功例からはあまり学べないが、失敗例からは多くを学べる 菅野寛一橋大学教授

2015年01月21日 | 本と雑誌

長年、ビジネスに関わってきて思うことがあります。

それは、

「成功例をマネしても成功することは、ほとんどない。」

「失敗例から導かれる教訓は、おおいに活用できる。」

ということ。


今回読んだ書籍は、実務家&学者が、豊富な体験と研究の中から、わたしの稚拙な経験則を裏付けていただき、実にすっきりした気持ちになりました。

 

ビジネスの成功確率を上げる 経営の失敗学

菅野寛著  日本経済新聞出版社  1800円+税

 

著者の菅野さんは、一橋大学大学院教授。

日建設計を経てBCGで十数年のコンサルタントを経験された実務家。

学者一筋ではない、現場の体温を伝えることのできる方です。

「ビジネスは本質的に失敗する運命にある」とする著者。

会社は、失敗するようにできているということです。


「同質化による失敗」・・・他社と同じこと、今までの自社と同じことをやっていては成功しない・・・値引き競争に陥り利益が獲得できない。


「異質化による失敗」・・・他社と違う事、今までの自社と違う事をやれば成功しない・・・ノウハウ、経験知がなく空中分解を起こす。


つまり、どちらをとっても失敗のリスクが極めて高いということです。

さりとて、何もしないということは座して死すこと。

同質化と異質化のバランスを取りながら、経営のかじ取りをしていくことが経営の本質であることを指摘しています。

 

目次

第1章 ビジネスは失敗の山

第2章 ビジネスは本質的に失敗する運命にある

第3章 成功学の幻想

第4章 成功は学べない

第5章 失敗学の有用性

第6章 考えるアプローチ、頭の使い方がずれている

第7章 戦略の筋が通っていない

第8章 顧客が求めていない価値を提供してします

第9章 定性的なロジックの詰めだけで満足して、定量的な数字の詰めが甘い

第10章 リスクや不確実性に対処しない

第11章 地雷排除が行き過ぎた結果、戦略が尖っていない

第12章 実行に必要な徹底度が足りない

第13章 実行者の意識、行動を変えていない

終章 失敗する経営から成功する経営へ

 

同書では、ソニーやパナソニック、ユニクロやZARA、トヨタやセブンイレブンの事例が出てきますが、巷に流通している一般論ではなく著者独自の視点が散りばめられています。

 

成功の必要条件

負けない戦略 × 他社を凌駕する努力 × 時の運 = 結果としての成功

 

同書で掲げてある成功法則は、あくまで必要条件であって十分条件ではないということ。


WHAT(何をやるのか)・・・少なくとも負けない戦略

HOW(いかにやるのか)・・・他社よりも徹底して早く速く、しつこく

LUCK・・・運にめぐまれること


最後の「運・ラック」というのが、経営の難しさそのものです。

 

同書の中で最も勉強になったのが、「地雷排除のやり過ぎ」と「徹底度の不徹底」でした。

今の会社組織は、内部統制や意思決定システム等によりリスク回避、冒険をしないマネジメントが主流となり、ありそうな地雷は事前に全て排除・・・出てくる戦略、戦術、施策はカドの取れた、エッジの効いていない一般的なものになりがち・・・これではイノベーションの起こることはほとんどないと言えます。


そして、当たり前のことですが、戦略を立てても戦術を練っても、実行、アクションがなければ、しかも粘り強くやらなければ結果は出ないということ。

経営コンサルタントの波頭亮さんも「執行力の時代」と言われていましたが、まさにそのとおりだと思います。


美しいスライドを作って、立て板に水の流暢なプレゼンをして、あとは誰かがやってくれるのを待っている・・・そんな組織が多いこと、そんな仕事のやり方を認めていることは、その組織の衰退に向けた第一歩になると思います。

 

経営、マネジメントにたずさわっている方にぜひ一読いただきたいスグレ本です。

 

同書の最後、251ページの図表35に、同書のエッセンスがまとめられています。

あまりに分かりやすいチャートなので引用させていただきます。

 

図表35 失敗する経営から成功する経営へ

1.他社、過去の自社と同じことをやっていれば・・・同質化競争に陥って失敗する

2.他社、過去の自社と違うことをやれば・・・不慣れなことに手を出して失敗する確率が高まる

3.失敗する確率を下げるために・・・明らかな地雷を地道に避ける

4.完全に地雷排除をやりすぎると・・・戦略の角が取れて、ユニークさがない同質化競争に逆戻りしてしまう

5.そこであえてリスクを取って、再び戦略を尖らせる その際に重要なのがビジネスの本質。さらに失敗のコストを下げておく

6.その上で、徹底的に実行 競合を凌駕するスピード、資源投入 実行部隊の必死度、本気度

7.競合を凌駕するスピード、頻度でサイクルを回す まず実行・結果の解析・軌道修正して再実行

8.石にかじりついて実行するが・・・ある時点で冷静に判断して、必要ならば潔くやめる

多くの学びを得ることができる・・・まさに、黄金のチャートです。


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秘伝の成功方程式!昭和を生きた能率技師(経営コンサルタント)が残すサクセスの原理原則 数学の方程式

2015年01月20日 | マネジメント

小職の書斎に飾ってある額縁・・・それは、日に焼けた一枚のメモ用紙。

今から四半世紀前・・・25年前に、私の師匠から、喫茶店で書いてもらったメモ帳の切れ端。

その頃は、全然分からなかった謎の方程式でしたが、今、やっと理解することが出来始めた「記号」です。

今まで、いろいろな成功本やサクセスストーリー、ハウツー本などを目にしてきましたが、これ以上のコンセプトに出会ったことはありません。

まさに、自分にとっての秘伝の成功方程式なのです。

 

師匠は、すでに亡くなりました・・・90歳を超える人生をまっとうされた仙人のような人。

小職にとって、映画スターウォーズのヨーダのような存在です。


師匠は、日本で最初の経営コンサルタント(能率技師)上野陽一先生(1883年~1957年/産業能率大学創設者)の愛弟子。

それでも、決して威張ることなく、おごることなく実に笑顔の素敵なおじいさん・・・でした。

「能率技師」として、世のため人のため社会のために尽くされた先輩です。


当時・・・昭和時代初期・・・1900年初期は、「経営コンサルタント」という言葉はなく、「能率技師」と呼ばれていました。

今でいうIE(インダストリアル・エンジニアリング)、科学的管理法(サイエンティフィック・マネジメント)、ガントチャートなどを習得し、クライアントの現場で改革、革新、改善活動を実現のものにしていたマネジメントの専門家です。

 

師匠・・・わたしが最も尊敬する大先輩。

その日に焼けたメモ用紙には、秘伝の成功の方程式が、書いてあります。

 

S={(E・E+CT+SA)DD}²c

 

今から100年前に作られたと言われる「成功の方程式」・・・私の家宝でもあります。

メモ用紙ですが、大切に額縁に入れて書斎に飾っています。

この「成功の方程式」を作ったのは、日本で最初の経営コンサルタント(能率技師)上野陽一かもしれませんし、そのお弟子さんかもしれません。

小職自身、いろいろと調査を重ねましたが、その著作者を明確にすることは出来ませんでした。


でも、その不思議な方程式は、底深い魅力を感じさせる何かがあります。

その師匠は、そのメモ用紙の中に、それぞれのキーワードの説明を加えています。

 

S・・・成功(サクセス)

最初のE・・・経験(experience:エクスピアリアンス) とにかく現場で経験を積み重ねろ!

次のE・・・教育(education:エデュケーション) しっかり学べ、良い教育を受け続けろ!

CT・・・創造力(creative thinking:クリエイティブシンキング) 独創的なアイデアを出し続けろ!

SA・・・営業力(sales ability:セールスアビリティ) 売れ!売れ!そして、売れ!

DD・・・突進力・実行力・執行力(direct drive:ダイレクトドライブ) 前進!前進!突っ込め!

c・・・そのc乗 cとは、「チャンス(chance)」。チャンス(機会)でシナジー効果(相乗効果)を働かせろ!

 

そして、そのメモ用紙の最後には、一言・・・。

ハジライヲ、ステルコト」の一語。

このカタカナは昭和初期を感じさせますし、また、上野陽一氏が推進していたカタカナ運動から来ているように思います。

カタカナ運動というのは、漢字習得で多大な時間がかかり、欧米のアルファベット26文字で表現できる欧米に追い付くためにカタカナ50文字で代用しようという昭和初期の試み。

確かに、漢字、ひらがな、カタカナ、数字などをマスターしなければならない日本語の習得には多大な時間と努力が必要となります。

 

経験をしっかり積み、教育をきちんと受け、創造性を身につける・・・そして、その積み重ねをしっかりと世間様に伝えていく・・・そして最も大切なのがダイレクトドライブ・・・突進力・実行力、執行力・・・そして、そのチャンス乗によって「成功」が獲得されるという方程式です。

この「チャンス乗」というのが、数学ぽくって、とても素敵です。

実行力、執行力が、成功の最終的に最も大切なことであり、最後の決め手は、「恥じらいを捨てて実行しろ!」という教えです。

 

この成功の方程式は、まさに秘伝。

自分の中で大切にしていきたいと思います。


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部下なし管理職が生き残る51の方法 中高年シニア社員のためのサバイバル法を説く一冊

2015年01月19日 | 本と雑誌

なんとも衝撃的なタイトルの一冊。各章のタイトルにも「!」マークが頻出しています(笑)。

 

部下なし管理職が生き残る51の方法

 麻野進著  東洋経済新報社  1400円+税

 

著者の麻野さんは、中高年管理職問題を専門とする人事コンサルタント、特定社会保険労務士。

自ら部下をリストラした経験とともに、自身が会社からリストラされた経験を持たれているとのこと。

生々しい事例も、麻野さんの経験、体験から導き出されたものだと思います。

 

第2章の「時間の問題!こんな正管理職は外される」のセッションでは、

「ナニナニ課長」というネーミングがなかなか秀逸・・・胸が痛みます(笑)。


・丸投げ課長

・抱え込み課長

・評価修正課長

・ナメられ課長

・ナメてる課長

・コピペ課長

・残業放置課長

・悪評課長

・囲い込み課長・・・


確かに、組織にとって、こんな課長は、不要ですよね。

そもそも、部下なし管理職が存在し始めたのは、複線型人事制度、職能資格制度が日本企業に普及し始めてからのこと。

ライン管理職のポストが不足し始め、管理職以外の第2の処遇のため、専任職、エキスパート職、主査、担当課長などのポストを作ったことに始まります。

専門職、スペシャリスト職も、その運用が難しく、ある意味、部下無管理職の一種ということが出来ます。

ライン管理職より少ないながらも管理職手当も付き、賞与評価も一般社員とは異なるスケールで査定されます。


ただ、急速な社員の平均年齢の高齢化により、部下無管理職が蔓延しているのも事実。

給料、基本給が上昇が見込めなくなった若手社員にとっては、まさに「敵」・・・です。

昔あげた成果、実績の反対給付として、役割<給与ながらも職場に君臨しているのです。


目次

第1章 部下なし、責任なし、権限なし・・・なのに、なぜ管理職なのか

第2章 時間の問題!こんな正管理職は外される

第3章 ヤバイぞ!こんな部下なし管理職

第4章 この17の知恵で生き残れ!

第5章 これが部下なしメリット。この17を頭に叩き込め!

第6章 部下無限定 17のセルフマネジメント

終章 ぶらさがるな!しがみつけ!


あれっと思ったのが、「17」という数字。

17の知恵、17のセルフマネジメント・・・。

これは、聖徳太子の17条の憲法に見られるよう、日本におけるパーフェクトな数字の一つと言われています。

著者のこだわりがあるのでしょう。

 

著者は、部下なし管理職の働き方として、3つを提示します。

当たり前の話なのですが、それが本人のプライドや加齢によるモチベーション低下、体力低下でなかなかうまく発揮されていないのが実情だと思います。


1.  いち担当者として、自身に与えられた業務に専念すること 最低限課長を上回る成績が必要・・・

2.  これまで培ってきた経験、専門性を持って、会社から与えられた特任業務を遂行すること

3.  正管理職のサポート役になること・・・新任課長の後見人、課長のミスをカバー・・・

 

そして、最終章では、「ぶらさがるな!しがみつけ!」と助言。


ぶらさがり・・・支給されている給料に比べて会社業績に対する貢献意欲が低く、法律や会社の労務管理ルールに守られて辞めないで済んでいる社員。現実逃避の人。

しがみつき・・・給料に比べて会社業績に対する貢献意欲が低いというところまでは同じだが、会社に対する執着度合が違う社員。忠誠心がなく恨みを持つブラック社員と、高い忠誠心と滅私奉公で組織貢献するホワイト社員に分類される。

なかなか鋭い分類・・・です。


滅私奉公、忠誠心、真面目な勤務態度、一所懸命・・・ニッポンのサラリーパースンの歴史と伝統。

結果がでなくとも、その努力が全否定されないという会社の風土は、まだまだ残っているような気もします。

ただ、その努力の方向が全く違うというパターンをよく見ますが、それはラインのマネジャーが修正指示を出し、それを素直に聞けるかどうかということ。


万年係長でも万年課長でも、この「しがみつき」のスタンスは有効であるように思います。

 

最後に、中高年のサバイバル活動として、次の3点を取り上げています。


1.  豊富な社内、社外人脈

2.  これまで培ってきた知識、スキル、経験の更新

3.  自身の強みの発見と強化


中高年社員、雇用延長で働くシニア社員は、もう一度、組織への貢献、後進へのバトンタッチという観点から仕事への姿勢、進め方、成果のとらえ方等を再定義し、行動に移していくことが必要であると考えた次第です。


ニッポン株式会社の管理監督者として組織貢献してきた方々に、ぜひ一読いただきたい一冊。

日本の企業組織ならではの「高齢化」という大きな課題。

麻野さんの次に出される続編にも期待です。


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「ナノ市場」突破法 日経ビジネス誌らしくないマーケティング特集記事

2015年01月18日 | 本と雑誌

日経ビジネス誌2015.1.19号の特集は、「二極化どころか一万極 ナノ市場突破法」。

同誌の「シリーズ 逆転の経済」の一環です。


ナノ」とは、十億分の一のこと。

ビジネスの枕詞として、「顧客の多様化」「市場のソフト化」などという言葉がありますが、

今では「ナノ」レベル・・・国民一人10通りのカスタマーに対応していかなければならない時代になったということらしいです。


最初には、キャバクラ風の写真が・・・。

「瞬間セレブ」「お姫様需要」ということで、リムジン姫会の紹介。

ドレス貸出料と8メートルのリムジンカーのレンタルで一人9800円とのこと。


「百花繚乱する、多極化する消費」という点からの取材だったと思います。

具体的に、「国内良品回帰」「ネオ・チープ」「新時代リア充」など8つのシーンも取り上げられています。

そして、これらの「迷宮市場」に向き合うために4つの策があると提言しています。


方法論1 愚直に顧客に聞く 事例/旭化成ホームズ

方法論2 現場至上主義 事例/ルミネ

方法論3 データで徹底検証 事例/すかいらーく

方法論4 究極のカスタマイズ 事例/ダイハツ・ハウス食品


そして、

非常識を見つけて、受け入れる。過去の成功から脱却できずに低迷する企業の逆転劇は、そこから始まる

と結論づけます。

 

う~ん・・・いつもロジカルな同誌の特徴とは、かなり異なる切り口と結論。

この特集は、外部にアウトソースした記事かも・・・と感じた次第です。

(そういえば、最近、同誌の広告量が減少しており、薄くなっているような・・・)

 

ドラッカー博士も言ったように、今ある些末な事象が未来の端緒になっている可能性もあるとは思いますが、

中には、一過性、ブーム性、一発性のものも多々含まれており、帰納的に結論づけることには無理があります。


また、方法論として、「ナノ市場となる」という前提が正しいとして、そこへの切り込みが方法論1~4でブレークスルー出来るか?というとこれもまた疑問です。

膨大なマーケティングリサーチをして多量のエクセルデータ、パワポを作って結論として駅前で広告入りティシュを配りましょうというマヌケな広告代理店に近いものがあります。

特に、企業内で新しいチャレンジがなかなか進まないのも、過度な!?内部統制、ピンボケのインディケータ、コンサバティブなマネジメント、極端なリスク排除・・・などの「壁」が主因。

リーマンショック以降、多くの会社が、「何でもアリ」でやっていた過去のニッポン株式会社とは違う会社になってしまったのです。


個人的には、ICTの進歩によるビッグデータ、コトラー博士の言うマーケティング3.0・・・ソーシャルマーケティングの方向に向かうのが妥当解ではないかと考えています。


一発屋のミュージシャンではなく、大ヒットはないけれど多様なファンに支えられているミュージャンを目指すべきではないかと考えているところです。

ジョブズのような天才を目指すことは無謀だし、社会に向かった地道な努力をしていれば、たまたま長打がでるかもしれない・・・。


社会に対する大義名分、錦の御旗、ビジョン・・・それを統計的データと結び付けていくことが必須だと考えています。


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誰でもできる 新ビジネス発見法 「シンプル イズ ベスト」・・・経営に難しい言葉は不要ですよね

2015年01月17日 | 本と雑誌

「スモールビジネスを始めるすべての方へ 誰でもできる 新ビジネス発見法」

飯田順著 税務経理協会刊 1600円+税

 

著者の飯田さんは中小企業診断士。

131ページのコンパクトな一冊ですが、一般の人たち目線のとっつきやすい書籍です。

サラリーマンを定年して起業しようとする町のおじさん、子育てをしながら実は自己実現のために事業を起こしたいお母さん、会社を辞めて再就職も厳しいので会社を設立し生活を立て直したいと思っている若者・・・そんな人が公的な支援施設の相談コーナーにやってきた・・・。そんな人たちにゼロベースでビジネス、起業を助言していく・・・そんなスタンスの身近な一冊です。


著者も中小企業診断士として独立した際に、かなりのご苦労をされたとの記述があり、とても興味深く読みました。

わたしの友人の診断士も「この資格は、足の裏の米粒・・・取っても食えない」というツマラナイ冗談を言っています。

経営コンサルタントの国家資格の所有者が、自分が食えない・・・ではシャレになりません(笑)。

でも、食える人、食えてる人は本当に何をやっても食っています。

喫茶店やホームページ作成屋、日本酒販売店やビジネスホテル・・・本当にたくましいと思います。


同書は、経営学の怪しい横文字やアルファベット3文字などは使わず、平易な言葉で書かれています。

これは、著者が経営相談の現場で感じた経営コンサルティングのコツのようなものに起因しているようです。

また、図解や絵を豊富に使っていることも、読みやすく理解しやすい工夫です。


目次

第1章 誰でもできる思考法

第2章 自分の立ち位置を見直す!

第3章 関係者の声をいかす!

第4章 スモールビジネスの特性をいかす!

第5章 ビジネスをイメージする!

 

同書のコアとなるのが、第4章「スモールビジネスの特性をいかす!」。

現実的なアプローチが紹介されています。


1.  常識から少しズレる

2.  ニッチを攻める

3.  スピード、小回りをいかす

4.  顧客の心に訴える

5.  中小企業支援策を活用する

6.  フレームワークを活用する


また、ドメインを「誰に・何を・どのように」と解説。

そのシンプルさが、とても分かりやすいです。


難解な・・・自分でもよく理解できていない経営用語、専門用語、横文字、アルファベット3文字を駆使して経営やマネジメントを語ろうとする人たちに、ぜひとも目を通していただきたい一冊です。


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放送大学大学院博士後期課程(1期生)の倍率は21倍・・・3名の指導教員が付く充実の指導体制です

2015年01月16日 | 学問
 
放送大学大学院博士後期課程で岡部学長がメッセージ 地域のリーダーを育成する博士課程

 放送大学通信「オンエア」の112号の巻頭で、放送大学の岡部学長が大学院博士後期課程設置についてのメッセージを掲載されています。 岡部学長は、この博士課程は「地域におけるリーダ...
 

放送大学通信「オンエア」116号が届きました。

一面には、岡部学長の「大学院後期課程第1期生入学にあたって」が掲載されています。

これによると第1期生の入学倍率は20倍を超えたとのこと。合格された方は本当にすごいです。

同紙の5ページには、選考結果で出ていましたので紹介させていただきます。

*

募集人員・・・10名

出願者数・・・263名

 内訳

  生活健康科学プログラム・・・53名

  人間科学プログラム・・・60名

  社会経営科学プログラム・・・57名

  人文学プログラム・・・53名

  自然科学プログラム・・・40名

合格者数・・・12名

入学者数・・・12名

入学者の職業内訳・・・教員5名、公務員等4名、会社員等2名、自営業等1名

ちなみに、放送大学のホームページによると、2015年4月入学は、110名の応募で12名が合格。

下がったものの、やはり二桁に近い倍率があります。

 

これを見ると、各プログラムともまんべんなく志願者を集めており、職業もさまざまな方が集まっていることが伺えます。

岡部学長のコメントも、倍率も徐々に安定化していくだろうとのこと。

修士ホルダーは、費用対効果の高い放送大学の博士課程を検討されてはいかがでしょうか?

2016年度の募集は、今年6月頃から開始するとのことでした。


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こんなに喜んでもらっていいのかなあ!? 人の役に立つこと・・・自分がちょっと嬉しくなる真実の瞬間!

2015年01月16日 | 日記・エッセイ・コラム

仕事が終わり、雨の中、帰宅を急いでいると・・・。

住んでいるマンションのエントランスで、カードキーが落ちているのを発見。

雨の中、カードキーが濡れています・・・。

その鍵は、自分の住んでいるマンションのカードキーと同じ種類のもの。

ダブルロックになっています。

そのカードキーには、マンション名と部屋番号まで書かれたシールが貼ったまま・・・危ないよなあ・・・。

 

マンションに入ると、入口のところで二人の若い女性が、困惑した様子。

ハンドバックやポケットを探しながら、深刻な表情・・・。

姉妹なのか・・・友達なのか・・・。

 

「鍵を落とされませんでしたか?」と聞いたところ、「はい」という返事。

カードキーにあった部屋番号を確認し、お渡ししたところ・・・

自分自身、今まで見たこともないような満面の笑み・・・。

「ありがとうございました!!!」。

何度もお辞儀をされていました。

こんなに人が喜んだ姿を、久々に見ることが出来ました。

人が心から喜ぶ姿というのは、本当にいいものですね。

 

もし、ちょっと変な人が拾っていれば悪用するかもしれませんし、鍵をなくしたらなくしたで携帯電話でマンション管理会社に連絡し、かなり時間をかけて管理会社の方が合い鍵を持って駆け付け、その後、鍵を変えるなどの大事になっていたかもしれないことを考えると、自分が拾ってよかったと思った次第です。

「気を付けてくださいね。」

思わず一声かけて、お別れしました。

 

たったこれだけの事だったんですが、「仕事も同じだよなあ」と感じた次第です。

(ちょっとオヤジしています・・・なんでも教訓に結びつけるんだよなあ・・・笑)

自分の貢献で、クライアントやお客さんが、いたく喜ぶ・・・感動する・・・

それが、仕事人にとっての最大の幸せだと勝手に思った次第です。


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富士山を真上から見ると・・・一年前に見た富士山・・・その雄大さ、美しさは普遍的です 美しい!

2015年01月15日 | 旅行記
 
787の素敵な翼 世界遺産富士山を上空一万メートルから堪能しました
 噂の787型機。 なかなか快適な飛行機です。離陸のスピード感、加速感・・・新しいテイストを感じさせます。  日本製の美しい翼の真横に乗ることが出来ました。  ...
 

gooからメールをいただきました。

一年前に書いたブログについて、感想を書きませんか?という内容。


ちょうど一年前、全日空機から見た富士山について、つれない文章を綴りました(笑)。

まだ新しかった787機に搭乗した時のウキウキ感で書いた文章でした。


あれから、1年・・・月日の経つのは早いものです。

今週アタマに乗ったANA機・・・美しい富士山を見ることが出来ました。

やはり、地上一万メートルから、霊峰富士を見る幸運に恵まれました。


東京・羽田空港から西に飛ぶ航空機は、多摩川に沿って飛び、横田基地の空域を避けて山梨県へ・・・ちょうど富士山の北側を通って西に飛行します。


逆に、西日本方面から東京に返る便は、富士山のはるか南、駿河湾、伊豆半島、房総半島南端を経て北上・・・羽田への着陸となります。


先週末搭乗したANA機は、羽田管制空域が混み合っていたため、南方面に上昇・・・湘南上空を経由して、富士山の北側を目指しました。


ちょうど、富士山の真上・・・やや北側からの光景です。


どすんと安定感のある富士山・・・その山頂部分を飾る積雪が美しく、心が現れるような景色を堪能することが出来ました。

富士山を見て、思わずうなってしまう・・・「やっぱり日本に生まれて良かったなあ・・・(笑)」

いつまでも心に残る、ニッポンの富士山でした。


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