萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

K2補記:冬麗、波くだけて、

2013-01-26 22:48:00 | お知らせ他
海、瞬間に光を



こんばんわ、今日は晴天でも風の強かった神奈川です。
久しぶりに海へ行きました、が、強風かつ波浪に注意といった感じで。
強い冬の太陽は温かで、けれど雪の丹沢から下りる風にカメラ持つ手が冷えました。
そんな海は蒼と碧に透けて、白く光砕かす飛沫と波紋から雄渾の美が眩しかったです。

「天気晴朗、波高し」

そう言った人が昔、明治の男にいます。
ドラマにもなりましたが『坂の上の雲』という小説をご存知ですか?
軍人として生きた秋山兄弟を描いた、司馬遼太郎の代表作と言われる1つです。
近代騎馬隊の父と謳われる兄・好古と、海軍の俊才で友人に正岡子規を持つ弟・実之。
この弟が日露戦争において、戦中の通信文に上述した一文を用いました。

連載中の「K2」主人公、国村光一のイメージは明治の男です。
信条のために真直ぐ道を進む意志と努力、強靭な自律を徹す精神力。
涙も弱音も他に見せないプライド、妥協を赦さぬ厳しい潔癖、一途な真摯。
そんな勁さに隠した繊細な無垢は、少年のままに透明な誇りに満ちています。
文学青年のように繊細な風貌と大らかな笑顔は、端正な姿勢を簡単には崩しません。

こんな光一サイドの短編「望郷の雪、師走―Lettre de la memoire,another」の加筆校正が終わりました。
こちらは光一の「another」である雅樹、山ヤの医学生が抱いている山と医学の夢と、山っ子への想い綴る物語です。
もう本篇では亡くなっている雅樹ですが、短編では1人の男として人間として笑い、悩み、人生を向きあいます。
彼の生涯は二十三年と五ヶ月、早逝の天才と謳われ惜しまれる男の等身大を描いてみたくなりました。
クリスマス特別編、光一サイド「K2」の回想シーン、短編2つ。
そこに描かれる雅樹の生きる瞬間に、何を感じますか?

今夜は第59話「初嵐K2」の続きをUPする予定です。
取り急ぎ、




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