萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

原野@深夜便

2014-03-31 23:55:10 | お知らせ他


温かい夜です、あと数分で4月だなって実感します。
上は朝霧高原あたりで撮りました、ここも今ごろは緑あわい良い頃だろうなと。
こういう広いトコ好きなんですよね、北海道や東北の原野はカナリ好みです、笑

荒野・・ブログトーナメント

いまAesculapius「Mouseion16」校了しました、
このあと短編連載か雑談でも載せようかな思っています。

深夜に取り急ぎ、



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Short Scene Talk ふたり暮らしact.42 ―Aesculapius act.52

2014-03-31 22:15:11 | short scene talk
二人生活@classroom
Aesculapius第3章act.15の幕裏



Short Scene Talk ふたり暮らしact.42 ―Aesculapius act.52

「吉村の父さん、すげえ脚速かったなーカッコよかった、笑(ほんとすげえ加速だったなカッコイイー)」
「うんっ、雅樹さんは運動神経も抜群の別嬪だからねっ(ドヤ笑顔)(ほんとカッコよかったねっ今夜ご馳走してあげたいねっ、幸)」
「あのアンカーって吉村のお父さんなんだ?父親にしちゃ若いよな、何歳?(転校初日は廊下にいたの遠目でよく解んなかったけど)」
「あ、(おい本庄デリケートなコト聴くなよソレ転校の日に言ってたじゃんバカって俺も何度か地雷踏みかけてるか反省)」
「十五上だから28歳だね、親戚のお兄さんってヤツから父親になったから若いよ?(ドヤ笑顔)(若いってコトは歳の差ソウでもないってコトだねふふんっ、御機嫌)」
「あ、養子って言ってたもんな?だから若いんだ、そっか、(そういえば転校の日にも言ってたよな)」
「本庄、なんか伊藤が呼んでるっぽい(よかった吉村なにも気にしてナイっぽいでも話逸らさせて退場させよっと)」
「なんだろ?ちょっと行ってくる、照ツン(伊藤かわいいよな気が強いトコあるけどソレも照)」
「荒木、やっぱ本庄って伊藤に気があるカンジ?笑(なんか初々しいよね中学生同士って微笑ましいね俺と雅樹さんはオトナの関係だけど照幸)」
「お、吉村から見てもそう想う?(あれ意外だ吉村ってソウイウのも気づくんだ)」
「なんかヨク見てるっぽいからね(ふうん本庄やっぱり伊藤なんだね俺も雅樹さんツイ見ちゃうモンね)」
「そっか(吉村意外と見てるんだじゃあ知ってるかな照)あのさ吉村、美代ちゃんって好きな人とかいる?(うわ訊いちゃったし照)」
「美代?(なんでコンナこと訊くんだろね荒木あそっか)荒木、美代のこと気に入ったんだ?笑」
「え、あー(うわ俺バレバレだし照)かわいいじゃん美代ちゃん、照」
「ふうん?笑(美代けっこうモテるんだねでも)荒木が好みかドウか解んないねえ、笑(雅樹さんの好みは俺だもんねっふふんっ嬉)」
「う、凹(好みかドウかって凹でも可能性ゼロじゃないよな)だったらさ、美代ちゃんまた来ることあったら俺も呼んでくれよ?(チャンス欲しいお願い)」
「もし来たらね?笑(へえ意外とマジなんだ荒木でも美代が都会に来たがるってあるかねえ俺も雅樹さんが居るから居るし)」

運動会だよ!ブログトーナメント



Aesculapius第3章act.15の幕裏より光一@運動会後の教室
中学生のワンシーン+雅樹のことばかり考えている光一5です、笑

Aesculapius「Mouseion15」校了しました、兄の雅人との医学を廻る対話です。
その続き「Mouseion16」加筆まで終わりました、読み直し校正ちょっとします。
それ終わったら第75話か短篇連載かナンカの続き掲載します、

取り急ぎ、笑



にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

にほんブログ村 写真ブログ 心象風景写真へにほんブログ村

blogramランキング参加中!

人気ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚48

2014-03-31 00:51:11 | 雑談寓話
こんばんわ、風雨一過に空が綺麗でした。
また深夜ですけどアッテンボロー博士の翼竜について観てたらコンナ時間です。
この雑談もバナー押して下さる方いらっしゃるので続きまた載せます、楽しんでもらえたら嬉しいです、笑



雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚48

同僚御曹司クン告白より一週間経過して日曜夕刻、
高校時代の友達とドライブしたまま母校に来て、先生と乾杯@職員室
 ↓
友達曰く「先生、こいつバイセクシャルの人に告白されたらしいんですよ?俺だと誘導尋問ひっかけられないから先生のトコ連行してきました、笑」
 ↓
先生宣く「こいつは大丈夫だよ、小林と違って甲斐性あるからな。でも話したかったら聴かせてくれ、おまえの話なら面白そうだし、笑」
 ↓
友達と先生と三人で居酒屋に来た※運転手は友達

「じゃ、カンパイな、笑」

って先生が笑って最初の生中ジョッキから始めたんだけど、
ひとくち飲んで友達が笑った、

「あーノンアルコールだけど気分だけで酔うー笑」
「小林のソウイウトコ良いよなあ、単純で扱いやすい、笑」
「そうやってまた教え子をSるんですねエエええ俺はそういうキャラですから、笑」
「そういう卑屈発言オモシロいけど女の子にはウケないだろなあ、オマエどう想う?笑」
「ですね、笑」
「…俺ホントもうヒットポイントマイナスに突入ですから、凹笑」

なんて雑談で最初の一杯を笑って、
二杯目と肴が出そろったアタリで先生が笑顔で言った、

「で、オマエが告白されたって話、どんな相手なんだ?」

単刀直入に来るね?笑
こういうトコ相変わらずで面白いなー思いながら口開いた。

「職場の同僚で仲良いヤツですよ。席が近くなって話すようになったんですけど、齢も近いから話も合いやすかったんですよね、」

さらっと説明しながら、
そういえばサッキ携帯メール受信したな?
なんて想いだしながら、でも未開封のままジントニック呑んだら先生が笑った。

「社会人になると学生の時より年齢差無くなるけど、同世代ってだけで親近感あったりするんだよな、笑」
「ですね、ソイツも話しやすかったんだと思いますよ、色々、」

ホント色々話してくれるよな?
そんな感想と笑って言ったら友達が訊いてきた、

「職場で同じ部署とかって俺のパターンと似てるな、残業時間とか頭カオスだからキッカケ出来易いよな?」

確かに残業時間って「カオス」混沌な空気にはなる、
でも友達とは意味違う気がして軽くSってやった、笑

「おまえの場合キッカケと言うより、カオスで隙だらけってカンジだろ?笑」
「あっはは、確かに小林は隙だらけだな、焦って引っかかったワケだしな、」
「ああまたそうやってSるワケですねエエええ黙って拝聴しますよ、笑」

なんてカンジに友達は軽くS×2られてノンアルコールビール飲んだ、
そんな相変わらずのヤラレキャラな友達は可笑しくてさ、高校時代懐かしいな思ってたら先生が訊いてくれた、

「その同僚から色んな話聴いてるうちに好かれたんだろうけどな、バイだってこと相談でもされたのか?」
「ソイツが迫った相手から相談されたんですよね、最初は、笑」

なんて正直に応えたら先生「へえ?」って貌になった、
で、簡単に経緯まとめて話したんだけど、

同僚御曹司クンと昼飯よく一緒するようになった
 ↓
御曹司クンが後輩坊ちゃんの教育係になった
 ↓
坊ちゃんからSOS=御曹司クン坊ちゃんに告白メール&セクハラ+微パワハラされたと相談される
 ↓
御曹司クンにストップ掛けたら逆ギレされるも相談されることに
 ↓
飲み行くようになりメール&電話増えた
 ↓
約1週間前に電話で告白された

こんなカンジに取りまとめ話してさ、
そしたらノンアルコールカクテル飲んでた友達が言った、

「うあーソレは惚れちゃうだろ、ホントおまえって無意識タラシだよなあ、微ドヤ笑」

明らかに面白がってるなコイツ?
って感じの微妙なドヤ顔を凹ませたくなってSってみた、笑

「惚れられないヤツより幸せだって思うよ、焦ってガッツクとか無様だしさ、ねえ?笑」
「ううっソレ痛いです出過ぎたこと言いましたゴメンなさい、凹笑」
「アレ?ソンナに痛がるのってナンカあったんだ?報告してよ、笑」
「スミマセンあなたに解決法を伝授して戴きました感謝していますイジメナイデー」

ナンテ感じの遣り取りしてさ、
そしたら笑いながら先生は言ってきた、

「ホントおまえってペース乱されないな、そういうトコが同僚のヤツも安心して告白も出来たんだろな、笑」

マイペース万歳ってコトだよね、笑
そういう解釈面白いなって思いながら訊いてみた、

「先生が告白されたらどうします?笑」
「そうだなー?」

ちょっと考えこんでビール飲んでさ、それで先生は答えてくれた。

「うん、本気で自分が惚れてるならOKだろうけどな、でも男から告白されるってシチュエーション俺は無いからなあ?キャラも違うだろ、笑」

確かに先生はそういうキャラ違うかも?
なんて納得から可笑しくてさ、笑っちゃったら友達も笑いだした、

「先生が男と~とかキモイ無理、マジ想像無理っす、笑」

ああコレは小林の意見に賛成だ?笑
とか思っちゃったから尚更に可笑しくて笑ってたら先生は満面笑顔で言った、

「小林に言われたかねえよなあ、おまえナンカ女の子とも無理キャラだろが?S笑」
「う、ソレ反論余地ナシデスネってええー俺女の子からも無理キャラですかあ?凹」

凹んだ友達の顔は「ヒットポイントもうマイナス」ってカンジに萎れて、笑
そんな教え子に先生は愉しそうに反撃を始めた、

「告白されたコト一回くらいあるなら反論許すぞ?ってそうだ最近あった言ってたなあ、S笑」
「だからソレは言わない約束でってサッキも言ったじゃないですかあトラウマなりそうなんすから凹」
「ほお、おまえは選り好みするほどモテる自信がついたのか?ドーテー卒業で自信もついたならケッコウなこった、なあ?S笑」
「うええ、だからそのネタはホント勘弁して下さいよお凹半ベソ笑」

ホント先生は先生だなって思う、笑
だけど歳の差もあまり無いんだよね、そういう気楽さも楽しくて笑ってたら友達が縋ってきた、

「お願い援けて俺ヒトリ先生の餌食とか今無理マジ精神的抹殺される明日仕事する気力ゼロんなるう凹半ベソ笑」

コイツ相変わらずヘタレだ?笑

でも人の好いとこやナンカ色んな良いトコあるんだよね、
そういうヤツだから別々の大学に行っても異業種でもナントナク続いてる、で、いつも通りSった、笑

「ドーテー卒業でオトナになったんだろ?だったら一人で頑張れ、笑」
「うええっヒドイよ、もしかしてサッキの俺の発言ネにもってる?凹」
「ふうん、ソンナ心当たりあるクセにお願いしたんだ、ねえ?笑」
「すみませんゴメンナサイ全面降伏します、敵認定しないでー」

なんてカンジの会話で飲んで、明日月曜だなって早めに切り上げて、
で、友達が運転する車内で先生が言ってくれた、

「話戻るけどな、バイセクシャルの知り合いは俺には居ないから解らんけど、簡単な道じゃないだろなっては思うぞ?ソレを彼はおまえに話したんだ、
そういう信頼は大切にして欲しい、でも俺はオマエの子供見てみたいから普通に結婚してほしいよ、オマエが思い切り恋愛する貌を見てみたいなあ、笑」

なんか父親みたいな台詞でもあるな?
そんな感想ごと有難いなって思いながら笑って応えた、

「先生、それと同じようなコト卒業式でも言ってくれましたよね?本くれるとき、笑」
「言ったなあ、懐かしいな?笑」

笑って先生も頷いてくれて、そういう呼吸が嬉しかったよ。
共通の記憶に一緒に笑える、そんな当たり前のようなコトが自分には当り前ってもう思えないから嬉しかった。
それから改めてまた考えた、あの本を先生が選んでくれた意味と願いと、今も言ってくれた言葉たちに何を伝えてくれてるのか?

たぶんあのコト言ってるんだよな?

そんな答だけしか結局解らなくて、すぐ解けるモンでも無いなって想って。
ソンナコト考えながら他愛ない話して、先生を家まで送る途中の駅で降ろしてもらってさ、
電車乗って文庫本いつものように開きかけて、そういえばメール着てたなって思い出して開封した。

From:御曹司クン
本文:今夜ちょっと電話とか無理?
    嫌じゃなかったら都合いい時間に架けてよ、架け直すから。



とりあえずココで一旦切りますけどまだ続きます、
おもしろかったらコメントorバナー押すなど頂けたら嬉しいです、気が向いたら続篇載せます、笑

第74話「傍証9」校了しました、周太との電話@奥多摩の森です。
Aesculapius「Mouseion15」の加筆校正まだ途中、ちょっとテレビ観ちゃってたので、笑
終わったら短篇連載かナンカの予定です、小説ほか面白かったらバナーorコメントして続き急かして下さい、笑

取り急ぎ、



にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

blogramランキング参加中!

人気ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山岳点景:春の陰翳

2014-03-30 23:38:12 | 写真:山岳点景
黄昏、花の翳



山岳点景:春の陰翳

梅のマイナー名所にて撮影しました、昨日だけど、笑
農道みたいなルートで着く収穫用の梅林@某山なんですけど、
丹沢を遠望する梅林は近くに桃、秋なら尾花=ススキの綺麗なところもあります。



萬世に 年波岐ふとも 烏梅の花 たゆることな久 咲き渡るべし 筑前介佐氏子首
よろづよに としはきふとも うめのはな たゆることなく さきわたるべし

いつの世にも、年は波のよう訪れては岐れても、
梅の花は絶えることなく久しく咲き続けてほしいよ、この愛しい花は
春告げて咲く梅の花、この花が幾年も咲いて実り与えるように想いの縁も続けたい、
初めて恋告げた君との想い、この戀結んだ実りに子を授かるなら想い絶えることなく命の花は咲く

これは『万葉集』第5巻、旧暦一月に詠まれた迎春の歌です。
新たな年、新たな春に永遠の繁栄を願う祝歌として詠われたんだろなってカンジですが、
梅の花=春告げる花・実りある花=初恋・子孫繁栄 の意味を採って相聞歌に意訳してみました、笑



Aesculapius「Mouseion15」加筆校正もまだします、
その合間に雑談の続きまたUPの予定です、

深夜に取り急ぎ、





にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

にほんブログ村 写真ブログ 心象風景写真へにほんブログ村

blogramランキング参加中!

人気ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚47

2014-03-30 01:59:05 | 雑談寓話
こんばんわ、
また深夜ですけど出掛けた&世界フィギュア観たらコンナ時間です。
この雑談もバナー押して下さる方いらっしゃるので続きまた載せます、楽しんでもらえたら嬉しいです、笑



雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚47

同僚御曹司クン告白より一週間経過して日曜日、
高校時代の友達とドライブしたまま母校に来て、先生と乾杯@職員室したんだけど、

「で、ガッコまで会いに来てくれるなんてな、二人して何か俺に用か?」
 ↓
「先生、こいつバイセクシャルの人に告白されたらしいんですよ?でも俺だと誘導尋問ひっかけられないからさ、先生のトコ連行してきました、笑」

なんで友達が高校まで引っ張って来たのか?その理由ハッキリしたなあと、笑

どっちかいうとお人好しな友達だけどコノ時は手段を択ばなかったらしい、
そういう事態が面白いな思いながら貰った缶ビール飲んでいたら、先生が笑った。

「あっはっは、おまえは小林と違ってモテるなあ、笑」

先生それSってますよね?笑
ってツッコもうとしたら友達が凹んだ、

「せんせい、ホント俺いまヒットポイント零になりそうなんすけど?凹笑」

デスマスク笑顔で訴えながら友達はアヤシイペットボトル口つけてさ、
また「うえっ?」って複雑な貌してるトコに先生は追撃した、

「なんだ小林、おまえまたフラれたのか?ばかだなー笑」
「うーフラれたのとは違いますけどね、でもフラれたよりある意味ダメージが凹」
「ははあ、おまえ焦ってガッついて変な女にでもひっかかったんだろ?ばかだなー笑、」
「…ああ俺ってホントSに挟まれていますよねえエエそうですよ俺はバカですよ笑って下さいよ、凹笑」

ってカンジで話は逸れてくれて、
その間コッチはのんびり缶ビール飲みながら、先生の駄菓子ボックスから煎餅もらってツマミにしてた。

あーこういうカンジ懐かしいな?笑

なんて一人のんびり寛ぎながら見まわした職員室は高校時代と同じで、
けれど異動になった先生たちも多いことが出退勤のネームプレートに寂しくてさ、
こういうのも公立のガッコなら仕方ないよな思いながらビール飲んでたら、友達が言った。

「センセイ、俺よりコイツの尋問して下さいよお、俺のアホ話なんてドウでも良いですから!」

ドウでも良くないから先生も訊いてくれてるのにね?笑
そんな感想と笑ったら缶ビール片手に先生も笑ってくれた。

「こいつは大丈夫だよ、小林と違って甲斐性あるからな。でも話したかったら聴かせてくれ、おまえの話なら面白そうだし、笑」

なんかハードル上げちゃってくれてるし、笑
こういう言い方が先生らしくて懐かしいな思いながら、こっちも言ってみた。

「先生が興味あるなら話しますよ、匿名ですけど、笑」
「お、職場関係とかってカンジだな?よし、ちょっと残務片づけて飯で話すか、」

そんな提案に飄々と笑ってくれてさ、
缶ビール片手でデスクに向かうとペンを走らせ始めた。
こういうフットワークの軽さが面白いなって見ながら缶ビール飲んで、その隣から友達が笑った。

「先生、俺のコト思いっきり運転手にするつもりだよ?ビール飲んじゃってるしさ、家まで送るコースだコレ、笑」
「自分も駅まで送ってね、先生ん家の最寄のトコでイイから、笑」

とか話しているうちに先生はデスクを片づけて、
戸締りチェックして施錠して、外に出ると先生は友達の肩ひとつ敲いて飄々と笑った。

「じゃ、運転手よろしくな?俺呑んじゃったから車置いてかんと、笑」

ってコトで三人一台に乗ってさ、
先生は家=奥さんに電話して、相変わらず愛妻家だなって友達と笑ってたんだけど、
そんな合間に自分の携帯もメール受信振動したから画面開いて、でも案の定な送信人名に未開封でトリアエズ放置した。



とりあえずココで一旦切りますけどまだ続きます、
おもしろかったらコメントorバナー押すなど頂けたら嬉しいです、気が向いたら続篇載せます、笑

第74話の読み直し校正したらAesculapiusの続きか短篇連載かナンカの予定です。
小説ほか面白かったらバナーorコメントして続き急かして下さい、笑

取り急ぎ、



にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

blogramランキング参加中!※バナー押す→跳んだ先[blogram]の「萬文習作帖」を押して下さい
人気ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第74話 傍証act.9-side story「陽はまた昇る」

2014-03-29 23:30:00 | 陽はまた昇るside story
hidden 隠匿



第74話 傍証act.9-side story「陽はまた昇る」

昏い森、それでもコール音が響きだす。

携帯電話あてる耳元に電子音が呼ぶ、その数カウントする。
ひとつ、ふたつ、そして三つめに繋がれた電話に英二は綺麗に笑った。

「周太、誕生日おめでとう、」

今日は大切な唯ひとりの誕生日。
だから何処にいても声を聴きたかった、そんな想いに穏やかな声が笑ってくれた。

「ん、ありがとう英二…昨夜は電話ごめんね、寝ちゃってて、」
「いや、俺の方こそ架けるの遅くなってごめんな?ほんとごめん、」

ごめんと二度告げて謝ってしまう。
本当に昨夜は架けたかった、その本音ごと夜の梢を見上げため息吐いた。

「周太の誕生日最初の声、俺が聴きたかったな。聴けなかったのは俺の所為だけどさ、」

昨夜、午前0時に電話したかった。
けれど架けられなくて、その理由を告げることすら出来ないまま優しい声は微笑んだ。

「ん、僕も…えいじのこえききたかったから、今うれしいよ?」

ああそんな可愛いこと言ってくれるんですね?

なんだか恥ずかしそうなトーンで言ってくれる、その言葉に声にスイッチ入ってしまう。
今すぐ顔を見て跪いてしまいたい、そんな本音に笑って夜の森の底から東の空を仰いだ。

「周太の嬉しい貌ほんと見たい、逢いたいよ周太?」

逢いたい、本当に今すぐ逢いたい。
けれど逢えない現実の距離が隔たってしまう、それでも繋がれる声が笑ってくれた。

「ん、逢いたいね…英二、いま外に居るの?」
「うん、周太がいる方を見てる、」

笑って答えて、けれど本当の居場所はぐらかしてしまう。
今どこに自分が居るのか?それを告げることが少し今は苦しくて言えない。
この場所に名残らす記憶たちが電話の声に鮮やか過ぎる、だから言えなくなる。

―去年の今頃を思い出させるだけだ、今の周太には辛い、

去年の秋この場所で、ふたり幸せだった。

ここで初めて名前を呼んでもらった、初めて唇ふれてくれた。
幾つもの幸福な初めてを去年ここに育んだ、だからこそ独りきりの今が痛む。
それでも電話に繋いだ声から幸福は浮びあがってくれる、そんな記憶の映しに大好きな声が羞んだ。

「…だからそういうこといわれるの恥ずかしいから…でもうれしいけど、」

こんなふうに言われると自分こそ辛いかも?

―こういう周太の言い方って俺ほんと舞い上がるよな、

すこし突っ張るような棒読みの話し方、けれど含羞ごと素直な想い零れてしまう。
そんな意地の張られ方が嬉しくて微笑んでしまう電話ごし、優しい声そっと伝えてくれた。

「英二、僕ね…生まれてきて英二に逢えて、幸せだよ?」

生まれてきて幸せだ、そう今この時に言ってくれる。
この言葉が見つめる時がどこなのか?その不安に鼓動ひとつ呑みこみ問いかけた。

「幸せなのは周太、今日より前?それとも俺との未来?」

過去なのか、未来なのか?

その時間次第で「幸せ」と言われた意味が変ってしまう。
この返事次第に選ぶ明日を見つめた樹幹は闇に沈んで、けれど大好きな声は笑ってくれた。

「ん…前もこれからもだよ?英二、来年の今日は一緒にいてくれる?」

一年以内に周太を辞職させて療養させる、この約束を喜んでくれるなら頷いて?

そう約束を告げてから1ヵ月もう過ぎて、けれど今も頷いて笑ってくれる。
こうして笑ってくれるなら何でもしたい、ただ笑顔ひとつ護りたくて約束へ笑った。

「必ず一緒にいるよ、周太?絶対の約束だ、」

絶対の約束を、もう自分は幾つ願ったろう?

どんなに願っても叶わない、そんな現実があると今は知っている。
晉の肉筆、馨の日記、田嶋の言葉、そして祖父ふたり対照的な過去の功罪。
そこに見つめる軛は願いを奪う、それでも諦めるなんて出来ない我儘に英二は笑った。

「絶対の約束だよ周太、来年の誕生日は一緒に家で過ごそう?約束だ、」
「ん、ありがとう英二…楽しみにしてるね、」

微笑んでくれる声すこし恥ずかしそうでも澱まない。
この呼吸音に確認しながら安堵すこし出来る。

―呼吸に雑音は無いな、思ったより悪化は遅いけど、

喘息は悪化すると呼吸音が変化する。
その兆候は夏の終わり、最後に逢ったとき少し見えていた。
けれど今の会話に雑音は感じられなくて、そんな経過に希望ひとつ見つめ笑いかけた。

「周太、今夜もよく眠ってくれな?疲れちゃんと貯めないように、」
「ん、もうベッド入ってるから…、」

応えてくれる声の向こう衣擦れ微かに聞えてくれる。
いまベッドで寝返りをうつ、その気配に本音つい零れた。

「その隣に入れてほしいよ周太、同じベッドで一緒に寝たい、」

一緒に眠ることが出来たなら、どんなに幸せだろう?

ふたり同じベッドに眠る、それは恋人同士なら普通の幸せかもしれない。
けれど今の自分には遠すぎる、それでも願いたいまま笑った先から答え返った。

「っ…だからそういうのはずかしいでしょばか、でも…うれしいおやすみなさい、」

叱って恥ずかしがって、けれど素直に頷いてくれる。
こういう応答つい嬉しくなってしまう、ただ幸せで笑いかけた。

「おやすみ周太、夢で逢ったらキスさせて?」
「っ、えいじのばかしらない…ゆめでまたね、」

恥ずかしがる声ひと息に言って、ぱちり通話が切れる。
そんな切り方すら可愛くて嬉しいまま携帯電話ポケットに入れて木下闇から踵返した。

かさり、

踏みしめる落葉が登山靴に鳴る。
一歩ごと乾いた香そっと燻らし甘くて、梢ざわめく風音から懐かしい。
この匂いも音も今いる場所を教えてくれる、その全て求めていた本音に微笑んで闇を出た。

「おかえり英二、お誕生ラブコール終わった?」

からり澄んだテノール笑ってくれる。
揺れる火影の向こう笑顔は明るくて、その陽気に笑いかけた。

「ただいま光一、おかげで声聴けたよ、ありがとな、」
「どういたしましてだね、」

飄々と笑いながら薪ひとつ炎くべる。
ことり崩れる燃殻の声に腰下して、斜向かいマグカップ手渡された。

「コーヒー淹れといたよ、」
「ありがと、」

笑って受けとり口付けて、ほろ苦い芳香すべりこむ。
喉おちてゆく熱が快い、そんな季節のまま白い吐息に英二は笑った。

「もう冬が来るな、奥多摩も、」
「だね、」

相槌うつ笑顔の雪白へ火影うつろう。
澄んだ瞳も炎きらめく、その眼差しこちら見つめ微笑んだ。

「で、昨日はズイブン締め上げたみたいだね?周太に必死なんだろうけどさ、」

昨日、確かに「ズイブン締め上げた」自覚はある。
それを言い当てられた信頼に笑いかけた。

「どうして締め上げたって解かるんだ?」
「目つきだね、他のヤツは気づいてないだろうけど、」

さらり答えた唇マグカップを啜りこむ。
湯気くゆらす影が白い、その揺らめきにテノール笑ってくれた。

「昨日帰ってきてからのオマエの目、ドスが利いちまってるよ、容疑者を締め上げた刑事みたいにさ?そのカンジが山でも変わんないって余程だね、」

言われる言葉に反論は難しい。
そう認めながらアンザイレンパートナーに笑いかけた。

「いま訓練で現場に居ますけど、俺個人の機密を話して大丈夫ですか、国村小隊長?」

にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

にほんブログ村 写真ブログ 心象風景写真へにほんブログ村

人気ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山岳点景:山水冬来

2014-03-29 23:14:16 | 写真:山岳点景
And hear the mighty waters rolling evermore



山岳点景:山水冬来

こんばんわ、今まだ加筆校正中なんですけど、
お待たせがてら今冬の写真で好きなヤツ載せてみます。
上は三富村@山梨県→秩父@埼玉県へ抜ける途中のルートにて。



戦場ヶ原@栃木県奥日光↑雪ふる朝のワンシーンです。



八ヶ岳から北岳方面↑遠望です。



払沢の滝@奥多摩



蝋梅の花が雪中一輪、こういうコントラストは好みです、笑




日付け変わる前には加筆終る予定です、
そしたら雑談or短編かAesculapiusの続きUPします、

取り急ぎ、





にほんブログ村 写真ブログ 心象風景写真へにほんブログ村

blogramランキング参加中!

人気ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚46

2014-03-29 02:19:00 | 雑談寓話
こんばんわ、
こんな時間でもエアコン使うこと無くなったアタリ春な今夜です。
この雑談もバナー押して下さる方いらっしゃるので続きまた載せます、楽しんでもらえたら嬉しいです、笑



雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚46

同僚御曹司クン告白から一週間後、
12月の日曜に高校時代の友達とドライブしたら友達は職場恋愛に困っていた。

「好みじゃない職場先輩とヤっちまった結婚迫られそう助けて凹」相談されて、
 ↓
「オマエ最近ドウよ?」って質問されて、
「バイセクシャルのひとに告白されたら、おまえドウ反応する?笑」って答えたら、
 ↓
「おまえ男にも女にも惚れられるよなーナンカ納得、このまま高校に遊び行こ?センセイにソレ話してみろよ、笑」

なんてカンジで急に母校へ行くことになったんだけど、
ソイツの四駆でガッコに行く道すがら、ちょっと気になって訊いてみた。

「男にも女にも惚れられるの納得ってオマエ言ったけど、なんでそう思う?」

なんで「納得」なんだろな?
その根拠を聴いてみたくて訊いたら友達アッサリ答えた、

「だって高校ン時もそんなカンジだったし、笑」
「ふうん?」

そんなカンジだったんだ?
って何気なく相槌うったら逆に訊かれた、

「ってオマエ、もしかして高校ン時ナンも気づいてなかったとか??」
「おまえはナンカ気づいてたってコト?笑」

質問で返したらフロントガラス越し友達がコッチ見た。
まじかよーってカンジの物珍しげな眼で見てきてさ、それで笑われた、

「あははっ、おまえって意外と自分のコト鈍いよなー他人のコトは話だけでも解かるクセにさ、自分への視線とか気にしなさすぎ、笑」

確かに気にしてないトコ自分は多い、
そういう自覚もあるから否定しないで笑ったら友達は言ってきた。

「おまえとは委員会ずっと一緒だったけどさ、あの中でもオマエ見てた子いたよ?卒業式の時も泣いてた子いたじゃん、笑」
「あの子は泣きっぽいダケだよ、笑」

思ったまんま流しながら高校の記憶ひっぱりだしてたんだけど、
そんな車窓の運転席から友達ちょっとドヤ顔で笑ってきた、

「川本と沢田も高校ン時から言ってるよ、おまえって笑顔でキツイ事も言ってくれるけど、顔のオカゲで優しく聴こえるからモテるってさ、笑」

言葉自体はキツイ、でも言い方と笑顔でキツク聴こえない。
そう言われること多いけど同じこと御曹司クンも言っていたな?なんて考えながら笑った、

「ふうん、本人居ないトコでソンナ話してくれちゃってるんだ?笑」
「いやーだから今ちゃんと本人にも言ってるじゃん、笑ヤヤ焦」

ちょっと焦ったカンジに笑ってきてさ、
その奥にあるナンカに友達を見て、ストレートに訊いてみた。

「男にも女にも惚れられるの納得ってヤツも実例あるだろ?本人のいないトコでさ、ねえ?笑」

あんな発言するのは何かしらある?
そんな推定と笑って目を見たらアッサリ白状してくれた、

「いやーだからほらヨクあるじゃん?仮定形でさ、もし~だったら恋人にしたいヤツだなーみたいなカンジ、な?笑ヤヤ焦」

なんか昨日も同じ様な発言を聴いたな?笑
とか思いながら笑ってさ、そのまんま言ってみた。

「昨日もソンナコト言われたよ、女の人だけど、笑」
「うわ、デートかよ?くっそーなんだよ羨ましくないからな、凹笑」
「友達とゴハンしてきたダケだよ、美人だけど友達なら羨ましくないだろ?笑」
「う、らやましいですケドなんだよくっそ、その笑顔ホント余裕かましてムカつくでも反論できねえー笑」

なんて会話しながら高校に着いて、
車ごと校門くぐって受付窓口で卒業生確認して訪問先=先生の名前を言って、職員室に行ったら待っててくれた。

「おー久しぶりだなあ、ガッコで会うのは実習以来だな。まあ飲め、笑」

なんて言いながら冷蔵庫からビール2本と炭酸のナンカ出してくれたんだけど、
その炭酸モンが見慣れないアヤシイ感じでさ、友達が先生に訊いた。

「あのお先生?このアヤシイヤツが俺の分ってカンジですかね?」

たぶん生徒に押しつけられたんだろう謎のペットボトルに友達は尻込み、
で、先生は相変わらずの飄々とした貌で笑った。

「運転手はオマエなんだろ?おまえは部活でまた会うから酒はそん時でイイ、今はノンアルコールで我慢しろ、笑」
「ノンアルコールは良いんですけどコレちょっと俺さすがに、ええー?」
「あーもう蓋開けちまった、ほら小林、おまえ責任とれな?笑」
「先生もマジSですよね、ええエエ解りましたよ俺が責任もって飲めばいいんですよねえ、」

なんて会話で友達は謎のペットボトルを手に取ってさ、
ホントこいつお人好しだよなあ思いながら自分もビールのプルリング開けて、
皆で軽くぶつけて乾杯して、で、ひと口飲んだら友達すぐ変な貌しながら笑った、

「うーコレ買ってきたヤツ、もしかしてウチの部員ですか?」
「来週コーチするとき、感想ちゃんと言ってやれよ?笑」

飄々とした貌は愉しそうに笑ってさ、
相変わらず気さくでイイなあ思ってたら先生は訊いてきた、

「で、ガッコまで会いに来てくれるなんてな、二人して何か俺に用か?」

用って程でもないんだけどな?笑
この質問どう答えようかなって考えかけて、でも友達が言ってくれた。

「先生、こいつバイセクシャルの人に告白されたらしいんですよ?でも俺だと誘導尋問ひっかけられないからさ、先生のトコ連行してきました、笑」

なるほどね?笑



とりあえずココで一旦切りますけどまだ続きます、
おもしろかったらコメントorバナー押すなど頂けたら嬉しいです、気が向いたら続篇載せます、笑

第74話の読み直し校正したらAesculapiusの続きか短篇連載かナンカの予定です。
小説ほか面白かったらバナーorコメントして続き急かして下さい、笑

取り急ぎ、



にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

blogramランキング参加中!※バナー押す→跳んだ先[blogram]の「萬文習作帖」を押して下さい
人気ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第74話 芒硝act.10―another,side story「陽はまた昇る」

2014-03-28 23:55:00 | 陽はまた昇るanother,side story
Though inland far we be 遠く、近く、



第74話 芒硝act.10―another,side story「陽はまた昇る」

ひとり、夜の部屋に携帯電話ひらいて架ける。

あわいオレンジ照らすシーツに寝返りうつ、その耳元コールが呼ぶ。
かちり、小さな電子音に繋がれてブランケットの温もりにアルト微笑んだ。

「こんばんわ、周?」
「お母さん、こんばんわ…今日はありがとう、」

懐かしい声に笑って告げる言葉は、毎年いつも伝えている。
この習い初めては何歳だったろう?その歳月に母が嬉しそうに笑った。

「こちらこそよ?お誕生日おめでとう周太、生まれて来てくれてありがとう。お花もありがとうね、朝に届いたわ、」

本当は今日、手渡したかった。
いつも自分の誕生日には母へ贈物する、けれど今年は帰られなくて謝った。

「ううん、家に帰れなくてごめんね…大学の演習に行っちゃって、」
「謝らないで?周が好きな勉強してくれてるの嬉しいもの、きっとお父さんも喜んでるわ、」

アルトやわらかに笑ってくれる言葉が温かい。
母も、今もう居ない父も共に喜んでくれると信じられる、その温もりに今日知った事実が痛む。

『環は雅樹の息子だよ、戸籍では父の養子で弟になってるがな。雅樹が死んだ後に生まれた試験管児だから、』

試験管児として生まれた子供には、いま自分が受けとった言葉も想いも誰が贈ってくれるのだろう?

自分の父は亡くなった、けれど母が想い伝えてくれる。
この伝言は夫婦の共に歩んだ時間と記憶が温かい、そして自分も父の記憶に真実の想いだと信じられる。
けれど今日託された一人の少年に預る伝言は、両親たち夫婦の時間も記憶も「父親」への信頼すら何も無い。

「…っ、」

嗚咽そっと呑みこんで頬もう温もり零れてしまう。
いま母の言葉に改めて気づかされた少年の現実は哀しい、それでも幸せに笑っていた白皙の顔は眩しかった。
あんなふう笑える心が何に支えられているのか?そこにある願いごと託された伝言は温かくて、その温もりへ母が微笑んだ。

「周、今日は後藤さんと雅人先生にもお会いしたんでしょう?」

訊いてくれる想いは伝わってしまう。
この質問には正直に応えると信じてくれている、そこにある母の真摯へ微笑んだ。

「ん、お会いしてきたよ?…あのね、思ったより悪くなってないって。9月に家でゆっくり出来たのが良かったって教えてくれたよ?」

夏9月の終わり、実家で喘息発作を起こしてしまった。
あのとき母がどれほど心配してくれたのか、それを解かっているから隠せない。
もう知られてしまったのなら正直に話す方が良い、そんな想いに電話越し微笑んでくれた。

「そう、診てもらえたなら良かったわ。周、無理しないでね?」
「ん、今もベッドに入っているから、」

正直に笑いかけた向う、そっと溜息かすかに聞える。
こんなにも心配かけてしまう、それが哀しくて、けれど今日ひとつ知った現実に心配すら温かい。

―僕には心配してくれるお母さんがいる、僕を産んでくれたお母さん…僕に命をくれたお父さんの記憶も、想いも、

父と母、ふたりが出逢い時間と想い重ねてくれた。
その時間たちが自分という命を産んだ、そして両親ふたりに自分という心が育った。
この全てに感謝することは当然だと今朝も想って、けれど今日自分の誕生日に知った生命の現実は「当然」が無い。

試験管児は、環は、どうやって「親」に感謝すればいいのだろう?

「っ…、」

想いまた廻って涙ひとつ、また頬を伝ってゆく。
いま独りの部屋でベッドの上、それでも電話向うに母は居てくれる。
こうして命も心も自分に繋いだ人の声を聴く、こんなふう自分は孤独じゃない、この当然じゃない現実に涙こぼれるまま母が微笑んだ。

「周、どうしたの?話せるなら聴かせて、」

ほら、母は気づいて訊いてくれる。
なにも言わないでも解かってしまう、そんな理解は体温から響くよう温かい。
この共鳴は血の繋がりが呼ぶのだろうか、記憶の時間が呼ぶのだろうか?この呼応ただ優しくて周太は微笑んだ。

「ん…お父さんとお母さんの子供で僕、嬉しいんだ…ありがとう、お母さん、」

託された秘密は言えない、けれど想いだけは伝えられる。
ただ想い素直な言葉に微笑んだ向こう、母も笑ってくれた。

「うん、お母さんも周のお母さんで嬉しいわ、ありがとう周、」
「ん、」

頷いて頬の涙ぬぐい、そっと寝返りうつ。
かさりシーツの衣擦れ聴きながら周太は今日の出来事を声にした。

「お母さん、今日の演習は2つの森を歩いたんだよ?杉の切株から小さな芽が出ていてね…演習の後は美代さんの家に僕、お呼ばれしたよ?」

ふたつの森を友達と恩師と、四人共に歩いた時間は愉しかった。
その後も楽しかった時間に笑いかけた電話ごし母も微笑んだ。

「そう、美代ちゃんのご家族もお元気だった?」
「ん、みんな元気だったよ、それで夕飯ご馳走になったんだけどね、美代さんつい受験のこと話しそうになって、」
「あら、ご家族にはまだ話せていないのでしょう?大丈夫だったの?」
「ん、なんとか誤魔化したの、公開講座でテストがあるって言って…ふたりで嘘吐いちゃって、」
「ふふっ、そういう嘘は仕方ないかな?その分も頑張れたらいいね、」

交わす会話に笑って応えてくれる、その声ひとつずつ温かい。
この温もりを自分は当り前のよう呼吸してきた、それが今ただ有難くて、だからこそ考えてしまう。

―僕は「いつか」どうやって環くんに話せたら良いのかな、光一にも…雅樹さんの伝言を、

環の実父で光一の伴侶、その存在を自分は直接知らない。
けれど彼の伝言は自分に託された、そんな運命の廻り合せは軽くなくて、けれど何か温かい。
その温もりを信じて「いつか」話せたら?そんな思案を母との会話に辿りながら誕生日の電話を終えて、ふっと声こぼれた。

「そうだ…僕もお祖父さんは知らなかった、ね、」

数ヶ月前、自分は祖父が誰なのか知らなかった。

けれど以前から「湯原晉博士」は知っている、著名な仏文学者で人格者だと知っていた。
それでも実の祖父だとは知らなくて、そんな自分と祖父の関係は環と雅樹の関係と似ているかもしれない。

―環くんも雅樹さんがどんな人かは知ってるんだ、お兄さんとして知っている、立派な医学生で山ヤさんだってこと、

実の父親が誰なのか?
それを環は知らない、その現実と温かい嘘を雅人は話してくれた。

『試験管児なことは環も知ってるよ、でも俺の両親の受精卵を環の母親に産んでもらったと話してあるんだ、子供がもう一人欲しかったからってな。
妊娠出産したのは環の母親だけど本当の親は吉村の父と母って事にしたんだ、環の母親が亡くなって返してもらったから養子縁組になったと話してる、』

試験管児である事実を環は知っている、けれど両親の真実を知らない。
まだ中学生に現実は重たすぎるから嘘を事実と告げられている、その嘘にある真実は哀しくて温かい。

『自分の誕生を望んだ男に捨てられて、実の母親も死んでドナーの父親も死んでいたら、自分が生まれた意味が解らないだろ?だから嘘を吐いてるよ、
この嘘を親戚や周りには話してる、亡くなった雅樹の代りに本家を継ぐ子供がほしくて代理母をお願いしたってな。だから俺の弟ってことになってるよ。
でも父の隠し子じゃないかって疑う人も多くてな、それで環のことは知られるまで話さないんだ、誤解がメンドウだからな。光ちゃんも話してないだろ?』

自分が生まれた意味が解らないだろ?

そう告げた雅人の眼差しは穏やかに哀しくて温かだった。
あの瞳に言葉に想ってしまう、叶わないと解かっていても願わずにいられない。

―雅樹さんが生きてくれていたら誰も嘘を吐かなくて良かったのに、雅樹さんがいたら光一も環くんも、

ひとりの青年が死んだ、その生と死から広がってゆく運命たちの変転は果てしない。
そんな変転の渦中にある少年は自分と少し重なるようで、ただ言葉も無い想い天井を見つめてしまう。

そして気づかされる、環も、自分も、不幸なんかじゃない。

「ん…想ってくれる人がいるもの、ね?」

ひとりごと確かめるよう家族たちの俤を天井になぞる。
祖父の写真はまだ見ていない、けれど開いた本たちに幾度も会って肉筆も見た。
あんなふうに環も雅樹と会っている?そんな思案に微笑んだ掌のなか着信音が呼んでくれた。

「あ…英二?」

流れだした旋律に名前を呼んで鼓動、ことり弾みだす。
昨夜は声を聴けなくて、だから今夜を待ちかねた想いごと繋いだ通話に懐かしい声が笑った。

「周太、誕生日おめでとう、」

ほら開口一番、大好きな声は名前を呼んで祝福をくれる。

いま電話の向こう何kmも離れて、けれど声ひとつ距離は繋がれて想い結ばれる。
そうして独りの部屋もベッドも今は温かい、こんなふうに唯ひとつの声は自分を幸せに攫う。
この声が自分を孤独から救ってくれた、そして知った現実の感情たち全てが今は幸福で周太は微笑んだ。

「ん、ありがとう英二…昨夜は電話ごめんね、寝ちゃってて、」

ありがとう、

この言葉一つに想いも時間もすべて伝えたい。
こんな願い見つめられる相手と出逢えたのも生まれて生かされた時間にある。
その現実と祈りは今日に出逢った少年の、命ひとつに温かく哀しく響き続けて、ただ優しい。




【引用詩文:William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」】

にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

にほんブログ村 写真ブログ 心象風景写真へにほんブログ村

blogramランキング参加中!

人気ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

深夜休題

2014-03-28 23:50:15 | お知らせ他


こんばんわ、
ちょっとテレビなど見ていて加筆校正ほか遅れています、
で、お待たせ中にウチの同居者を貼ってみました。トンデモナイ悪戯坊主なヤツです、笑

取り急ぎ、



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする